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ある日超能力が突然使えました  作者: グリム
第一章 変化する日常
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第3話「話し合い」

「どうすっかなぁ~。」


頭を抱えながら登校中の山道を歩く俺、波多野零。

普通の高校生だ。

…と言いたいところだが昨日の夜から俺は普通の人間とは呼べなくなってしまったかもしれない。

 何せ物体に触れなくても物体を動かせる事ができるのだ。昨日のペン以来何も動かしてないが、おそらく俺は超能力が使えると言う事で今のところいいだろう。


これからどうするか…などと考えながら重い足取りで登校していると前に楓を見つけた。

 息抜きがてら楓に話しかけてリフレッシュするか。

俺から楓に話しかけることはほとんどないのだが。


「おはよう楓」


楓に後ろから声をかけてみるが反応がない。

 寝ながら歩いてるのかこいつは。


少しイラッとした俺は後ろから楓のほっぺを両方ともつねった。


「痛い!ちょっと何するのよ零!!」


当然ながら怒った。


「楓が寝ながら歩いてるのがいけないんだろう。頬をつねってくださいと言ってるようなもんだ。」


楓は「寝てないもん!」と言うが目の下が少し黒い。寝不足なのは明らかだろう。

 別に楓の事など気にしてないが心配になったので聞いてみる。別に心配してるだけで気にしてないからな。


「楓、どうやら寝不足のようだが何か寝つきが悪いことでもあったか?」


楓は「えぇ!?」と言った後目を隠しているがもう遅い。

 俺は早く言えと視線を送る。

だが楓は


「ちょっと面白いテレビ番組があってね!なかなか寝れなかったんだ!」



嘘だな。小さい頃から俺はお前の事を知ってるんだ。嘘つく仕草なんかもなんとなくだがわかる。

 俺は無理に聞き出そうかこのまま流そうかで悩んでる間に学校に着いたので流すことにした。


手早く上履きに履き替え、教室に着くと既に担任がいた。


げ。もうホームルームの時間か。


時計の方を見るとあと30秒ほどだった。

俺は急いで席に座ると相楽の席に自然と目がいった。


相楽の荷物はあるが本人がいない。どこいったんだと思ってあたりをきょろきょろしたら相楽がちょうど教室に入ってきた。


よかった。学校に来ている。


俺は安堵しながら昼休みに5人で弁当を食べるときに昨日の話を楓、竜輝、光の3人に話そうか考えるのであった。



昼休み。

俺たちは今日屋上で昼ご飯を食べるために屋上に移動している。

 いつもは教室で机を囲んで食べているのだが、昨日の話をするなら人が少ないほうがいいだろう。

という事を考えて俺が提案した。


屋上の扉を開けると屋上は誰も使っていなかった。

 いつもは何人かで屋上に飯を食べている姿を見るが、今日はいないようだ。ちょうどいい。


俺が適当なところに座ると4人は俺を中心に円になって座った。

おい。なんだこの陣形は。めっちゃ恥ずかしいんだけど。


俺は4人の円に加わろうとするが楓が邪魔してくる。

え!?邪魔すんの!?


楓は俺を円に加えるつもりはないようだ。仕方ないので円の中心にいる事にする。

 よっこらせと座ったら前にいる光と目が合った。

光は恥ずかしかったのか少し紅くなって目をそらす。

 おい。なんだそのリアクションは。まさか光ってホ…。

俺はそこから考えるのをやめた。


それを見た楓がポンポンと自分の横を叩いてこっち来てもいいよとアピールする。

 なんか誤解されているような気がしたが気にしたら負けだ。


5人で飯を食べていたら竜輝がすぐに俺に話をふってきた。


「零、わざわざ屋上でお昼にするって事は何か言いづらいことでもあるのか?」


さすが竜輝。付き合いが長いだけ合って俺の事もわかっている。

 俺は言うか言わないか迷っていたが、どうせいつかは言わなければならないのでこのタイミングでいいだろうと判断した。


「ああ。実はちょっと言いづらい事があって屋上で飯にしようと言った。」


さすがにストレートに俺、実は超能力が使えるかもしれない。なんて言っても笑われてお終いだろう。

どうすればいいか。

 だが俺は遠回りな言い方はあまり得意ではないし、超能力が使えるなんて話誰も信じてもらえないだろう。


俺は唸って考えていたが、竜輝が早くしろと言いたそうな顔で見てくるので、俺はストレートにいう事に決めた。


「今から言う事は誰にも言うなよ?それと信じられないかもしれないが笑うなよ」


笑われたくないのであらかじめ言っておいたが、竜輝は真面目な顔でうなずく。

 楓はなぜか知らんが顔が青い。体調でも悪いのか。

光はおどおどしている。なぜだ。

 相楽は俺が今から言おうとしている事がわかるのか真面目な顔だ。


俺は全員の顔を見まわしてから言った。


「俺、超能力が使えるかもしれない。」



笑われるか…。


しかしそんなことはなかった。


楓は一回ビクッと震えて予感が当たったみたいな顔をしている。

 相楽は俺も超能力が使える事に驚いたのか、驚いてる顔になってる。

光も俺のいう事を信じてくれているのか真顔で驚いている。

竜輝は「やっぱりか…」とか言うので俺は竜輝に驚いた。


「おい竜輝、やっぱりってなんだ。」


驚いたまま俺が聞くと竜輝は何か考えるような仕草をしてから口を開いた。


「実は僕も超能力とまではいかなくても超人的な力を手に入れたかもしれないと思ったんだ。」


何言ってるんだこいつは。超人的な力?どんな力だ。


俺が頭にはてなマークを浮かべていると竜輝が俺の心を読んだかのように説明してくれた。


「毎日筋力トレーニングをしているんだけどね、その筋力トレーニングが最近苦にならないんだ。」


とか言っているが、それだけでは超人的な力の説明がつかない。毎日筋力トレーニングした苦労が身に付いた証拠だけだ。俺はもっと詳しく超人的な力の説明を求めた。


「そうだね。昨日家に40㎏の重りがあったから試しに片手で持ち上げてみたんだ。そしたら案外簡単に持ち上がってね。少し違和感を感じた。」


なるほど。確かに40㎏の重りを軽々持ち上げるのはよほどの力がないと無理だな。

確かに竜輝は筋肉馬鹿だが、40㎏の重りを軽々持ち上げるのは無理だろう。しかも片手で。


俺はこの事を楓がどう考えていたのか意見を聞くために横を向いた、そしたら楓が青い顔をしていた。

 やはり体調が悪いのかと思い楓を保健室に連れて行こうと思った瞬間、楓が声を出した。


「実はあたしも…零みたいに超能力が使えるかもしれないんだ。」


なに。楓もか。零みたいにって事は竜輝みたいな40㎏の重りを軽々と持ち上げるマッスルパワーとかそうゆう事ではないのだろう。


「楓、その話詳しく聞かせてくれ。」


楓はあまり話たくないのか下を向いていたが、すぐに話始めた。


「夢ちゃんに電話しようとスマホを探していたらね。テレビの横にスマホがあって取りに行くのちょっとめんどくさいなぁ。こっちに来ないかなって考えてたらスマホがこっちに向かって飛んできたの。」


これは間違いないな。相楽の件と似ている。

 だが指クイクイしなくても物体を移動させる事ができるのか。これは新しい発見だ。

もしかしたら念じるだけで俺も相楽も物体を移動させることができるかもしれない。


「楓、速度はどのくらいだった?」


もし仮に、楓がスマホを自分のところに移動させても、相楽のような当たったら即死するような速さだったら今頃死んでる。


「普通の速さだったよ。ふわーってこっちきて手の中に納まった。」


いまいちわかりづらい。


「移動してから手の中に納まるまで何秒ぐらいだった?」


質問を変えてみる。


「えーとね…4秒くらいかな。」


4秒か。4秒なら即死するような速さじゃない。


楓は隠していた事を喋りスッキリしたのか、もう顔色は悪くなかった。


あとは光だけだな。竜輝と楓が知っていたという事は光も知ってるかもしれない。


「光は何か変わったことはあったか?」


光はおろおろしてなんか焦っていたが、すぐに何も変わったことはなかったと言った。


光は知らなかったと言う事か。

 だが現状俺と楓と竜輝と相楽の4人が超能力あるいは超人的な力が使えているんだから光も何かしらできるだろう。

できなかったらできなかったでこの事は他言無用にしてもらえればいい。


「光、このペンを自分の手の中に来るよう念じてみてくれないか。」


光は「そんな事できないよ」とか「無理だよ」とか言っていたが俺が「頼む」と言うと


「できなくてもがっかりしないでよ」


了解してくれた。光は押しに弱いからな。


俺はペンを床に置いて光に念じてもらうように目で合図した。


光は頷いき目を閉じて手を顔の横に突き出した。招き猫状態だ。おそらく念じているんだろう。


しばらく変化がなかったので光は超能力が使えないかと思ったが、ペンに変化があった。


ペンがゆっくりとだが動き、光の手の中に収まった。


俺はあらかじめ予想してたのであまり驚かなかったが、4人は驚いていた。


その後光以外の4人。楓、竜輝、相楽、俺でペンを念じて動かすことに成功した。 俺と相楽は指クイクイをしなくても念じるだけで物体が動いたので、日に日に力が強くなっているかもしれないと俺は感じた。


まぁもっと大きい物体を動かそうとすればある程度の動作は必要になってくるかもしれないが。慣れかもしれない。



全員が自分は超能力が使えることをあらためて実感した。俺達は昼飯がほとんど食えなかった。

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