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ある日超能力が突然使えました  作者: グリム
第二章 超能力者
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第23話「《BABEL》」

「じゃあね……零」


憐みの目で俺を見下ろす光。


「待て…行かないでくれ!」


必死に手を伸ばすが、その手は光を掴まずに何もない空間を掴む。

 必死にもがいてる間に光は闇に溶け込んでゆく。


「あぁ…待って…待ってくれ!」


懸命に手を伸ばすが、光は無表情にその手を見つめ、闇の中に消えていった……。


◇ ◇ ◇



「………ハッ!」


ガバッ!と起き上がり、意識が覚醒する。


「夢か……」


胸に手を当てると、シャツに大量の汗が染み込み、べっとりと肌にくっ付いていた。


「……ここは、どこだ?」


ベッドがこんなに大きくふかふかではないし、部屋も広い。明らかに俺の部屋ではない。


「……目が覚めた?」


声のする方を見ると、一条時雨がドアを開けて立っていた。


「…ノックぐらいしてくれ」

「あたしの部屋よ」


そのままズカズカと俺のところまで来ると、何かを俺の胸に押し付けてきた。


「…あんたの着替え。酷い汗よ」

「……サンキュー」


俺の事を心配…してくれてるのか?

 まぁあんな事があったばかりだし…。


「あたし後ろ向いてるから、さっさと着替えちゃいなさい」


手にTシャツを持ったまま動かない俺を見て、一条はそう言った。


「俺は別に見てくれても構わないぞ?」

「……!?ば、馬鹿言ってんじゃないわ!殴るわよ!」


ボンッと顔を赤くしたと思ったら急にプイッとそっぽを向いてしまった。

……冗談で言ったつもりなんだが。まぁここは素直に着替えさせてもらうとしよう。



Tシャツを脱ぎ、一条から手渡されたTシャツを着ている時、一条は言った。


「……ありがと」

「…何が?」


はて、あんなにふてぶてしかった一条がこんなにもしおらしいなんて……変な食べ物でも食べたのか?


「…私が前島光に殺されそうになった時に、助けてくれたでしょ?」

「あぁ…別に気にするな」


あの時か。


「あんたが気にしなくても私は気にすんのよ……だから、その…ありがと」

「……おう」


…今日の一条はなんか変だ。会話がしづらい。


「……こっち向いても大丈夫だぞ」


着替え終わったので一条にそう報告する。


「…じゃ、行くわよ!」


クルッとこっちを向いた一条は、俺の知っている一条に戻っていた。


「行くって…どこに?」


すると一条はよく聞いてくれましたと言わんばかりに胸を張る。

 その動作で豊満な胸がさらに豊満に……おっと危ないついつい目が胸にいってしまった。


「もちろん、《BABEL》のところよ!!」



一条の部屋を出て階段を降りる。

 長い廊下を歩き、厳重そうな扉の前にきた。


一条はカタカタと暗証番号打ち指紋認証を手早く終える。


カチャリ、という音と同時に扉を開け、中に入ると前に見た時と同じ光景が広がっていた。


「こっちよ」


一条に付いていくと、地下に行く階段にたどり着いた。


「なんか…ドラクエの地下へ降りる階段みたいだな」

「ドラクエ…?何よそれ」

「……知らないならいい」

「あっそ」


階段を下りるとまた長い廊下があった。

 長い廊下を一条に付いてゆきながら歩く。


「地下は2階まであるわ」


今1階降りてきたから…ここは地下1階か。


「地下2階は武器庫と、拷問室よ?」

「へぇー………って、武器庫と拷問室!?」

「そうよ」


武器庫があるなんて、どこのヤクザだよ。いや、ヤクザでも武器庫なんてないか。


「なぁ…どこまで歩くんだ?」

「安心して、用があるのは地下1階よ」


地下1階って確か武器庫と尋問室だよな。武器庫でも見せてくれるのか?


「ここよ」


ガチャリ、と扉を開け中に入る一条に俺も続く。後ろで扉がガチャン、と閉まる音がした。


部屋の中は………何これ。


鞭とか猿ぐわとかいろいろある。あれは、まさかギロチンか…?

まるで拷問室のようだ。

…………ん?まさか、いや……まさかね、ははは。


「座って」


お言葉に甘えて近くのパイプ椅子に座る。


「…さてと」


一条はそう言うと壁にかけてあった鞭と猿ぐわを手に取る。おい、なんでそれを手に取る。

まさか、もしかしてここ武器庫じゃなくて………。


「これから拷問を始めるわ!」


満面の笑顔で一条は言った。




「ちょ、待て待て待て……!!」

「何?」

「何?じゃねぇよ……!何で俺を拷問する…!」

「冗談に決まってるじゃない」


冗談かよ……!!


「でも、これからいろいろ聞くわ。それに答えないようだったら……拷問は覚悟しなさい」

「………わかったよ」


俺から聞きたい事があるとすれば超能力の事ぐらいだろう。

運動はできるが、部活とか入ってない。勉強だってできるわけじゃないしな。

……自分で言っててすげー悲しい。


「まず、超能力者イディオムになった経緯を教えなさい」

「……昔、俺と楓と竜輝で遊んでた場所があったんだよ。そこに相楽と光も含めた5人で行こうって話になってさ。そこに行くことにしたんだ。そこで……洞窟を見つけた。」

「洞窟?」

「あぁ…最初は1人ぐらいしか入れない大きさだったんだが、進むたびにどんどん広がってってな。

 その洞窟の奥で、猫地蔵を見つけた。」

「その話、嘘じゃないでしょうね」


半信半疑の目で一条は俺を見た。


「信じられないかもしれないけど……こればっかりは信じてくれとしか言いようがない」


黙って一条は頷く。


「それで猫地蔵を触ったりして調べたんだが、何もないって結論になって他に何もなかったんで洞窟を出た。それから一週間ぐらいして……超能力が使えるようになった」

「原因は……その猫地蔵に触ったからって事でいいのね?」

「いや、じ――――――――」


……どうする、ヴァーリの事を言うか?いや…まだヴァーリの事は話さない方がいい気がする。

 一条が知ると《BABEL》の奴にこの事を言うかもしれない。それに……考えすぎかもしれないが、この部屋に盗聴器がある可能性考慮すると、言わない方がいい。


「…何よ」

「……あぁ、猫地蔵に触ってから超能力が使えるようになったと考えてる。」

「ふ~ん………」


一条は完全に疑っている目で俺を見る。


「ま、いいわ!」


そう言うと一条は疑っていた目をやめた。


「で…あの火柱は前島光が意図的に出していたものなの…?」

「……そうだ」

「…あたしが知ってる超能力者イディオムっていうのは、物体を触らないで動かしたり死体を操ったりできるって事ぐらいなんだけど……まさかあんたも火柱が出せるの?」


…この話をするには、特殊能力の話をする必要があるな…。

まぁそこら辺は濁していくか。


「いや…火柱が出せるのは光だけだ。俺はできない」

「ふーん…」


………再生世界ダ・カーポについては何も聞いてこないのか…?

 …あ、もしかして俺が再生世界ダ・カーポを使う直前に気絶した……?

一条は……俺の再生世界ダ・カーポについて知らない。


「…あんた―――――――」

「失礼します!」


一条が何か言おうとしたところで誰かが急いで入ってくる。


「今拷問中だわ!後にしなさい!」


ギロッと一条が入ってきた人を睨みつける。

いや、拷問してないけどね?


「それが…急いで報告した方がいいと思いまして……」

「…言ってみなさい」

「はっ…!《BABEL》本部から『煙男スモークマン』と名乗るものがこちらに来るそうです」

「『煙男スモークマン』……!?」


一条は驚き、顔がちょっと青くなっている。

 『煙男スモークマン』…?誰だ…?どこかの芸能人か…?


「……下がりなさい」

「…はっ!」


報告を終えた女性は綺麗な敬礼を残して部屋を退室した。


「……『煙男スモークマン』って何だ?」


一条に問うと、溜息をつきながら答えた。


「それを答える前に……《BABEL》について話さないといけないわ」


そうえば…対超能力者組織ってだけで何も知らない。

 超能力者イディオムを倒す、あるいは捕獲するために作られたんだろうが、具体的には何も知らない。

………近いうち敵になるかも知れないしな、知っておきたい。


「《BABEL》は…超能力者イディオムを捕獲するための組織よ。そして……殺害、あるいは捕まえた超能力者イディオムを《BABEL》本部に搬送するのがあたし達の役割」


本部……?って事は、他にも《BABEL》が存在するのか?


「……《BABEL》とか言う組織が存在するのは、ここだけじゃないのか?」

「そうよ、ここは《BABEL》日本支部。本部は……あたしも実際に言った事ないんだけど、アメリカにあるらしいわ」

「日本支部って事は……日本にある《BABEL》はここだけ?」

「そうよ」


よかった……。日本にいる間は狙われずに済みそうだ…。


ホッと安堵すると、一条は顔をしかめた


「それが……安全でもないのよ」

「………何…?」

「さっき『煙男スモークマン』って言ってたでしょ?」


あぁ、話してたな。


「そいつ……サイコメトラーよ」

「サイコメトラー………?」


…何だそれ。


超能力者イディオムを捕獲、および殺害する超人達……!あんた、超能力者イディオムは自分達だけだと思っているみたいだけど、15年前から確認されてるわ」

「……マジ?」

「マジよ。最初に発見されたのは……アメリカのシカゴね。若い男が食べ物を窃盗したんだけど、その時追っていた警官がその男に目掛けて撃ったの。

 窃盗した男はその弾丸を………弾き返した」

「………!?」


そんな芸当ができるのは、超能力者イディオムしかいない……!


「弾丸を弾いた男はその後倒れ、病院に搬送されるも死亡が確認。解剖の結果……脳が破裂していたらしいわ」


脳が…破裂……。


「…超能力者イディオムのあんたなら、なぜ脳が破裂したかわかるんじゃないの……?」

「……物を動かした後、軽い頭痛がする。たぶん、使えば使うほど頭痛は悪化する。その男は……頭痛によるショック死で死んだんじゃないのか……?」

「でも、あんた生きてるじゃない」

「……まぁ、そうなんだけどな」


そんな事言われても俺に死因がわかるわけない。


「あ、話を戻すわね!……何の話だっけ」

「……『煙男スモークマン』の話だろ」

「あ、そうそう!その『煙男スモークマン』が……日本に来るそうよ」

「何……!?」


サイコメトラーの煙男スモークマンが日本に来る…?何のために…?

………もしかして、俺達を捕まえるために…?

 いや、でもどうして俺達が超能力者イディオムだとわかるんだ……?


「……超能力反応をキャッチしたら、本部に伝えるのが決まりだから…。日本に超能力者イディオムの存在を確認した本部が、あなた達を捕まえるために『煙男スモークマン』を派遣するんだと思うわ」

「アメリカから、わざわざ…?」


すると一条は苦虫を潰したような顔になる。


「……今まで、超能力者イディオムを捕獲、あるいは殺してきたのは全部《BABEL》本部の人達なの……。

 普通、超能力なんて敵わないじゃない?」


確かに…銃の1つや2つでは超能力者イディオムは倒せない。


「……『本部』は超能力者イディオムに匹敵する"力"を持ってるらしいわ。それがなんなのかは、あたしたち『支部』は知らない」

「なるほどな…」


超能力者イディオムを倒すほどの力ってのは……やっぱり一条みたいな特殊スーツの事か……?

 でも特殊スーツを着用して使う能力、真空刃かまいたちは3発しか出せないし……あ、でも1発でも当たれば致命傷になる。


「『煙男スモークマン』の狙いは……間違いなくあなた達、超能力者イディオム。あなた、本当は戦うつもりかもしれないけど……隠れてやり過ごしなさい」

「……理由は?」

「……『煙男スモークマン』が、プロのサイコメトラーだからよ。今までに2桁の数超能力者イディオムとやり合って……勝ったらしいわ。

 そんな奴と戦うより、隠れて『超能力反応をキャッチしたのは偶然でした。ここには超能力者イディオムはいません』って方が確実だわ」

「……そうだな、無理して戦う必要はないんだ」


正直そんな化け物と戦えって言われても、戦いたくない。逃げる一択だ。


「……もうこんな時間ね」


一条が腕に巻いていた腕時計を見る。


「…今何時だ?」

「21時よ」


うげぇ、もうそんな時間かよ……。俺どれくらい寝てたんだ?


「……一条、俺どれくらい寝てた?」

「3日よ。私も1日気絶していたからよくわからないけど、爺が一番に目覚めて12時間以内に帰って来なかった場合伊豆鳥島まで迎えに来いって言ったらしいわ」


さすが爺、準備がいい。

 ……3日も寝込んでたって事は明日学校じゃねぇか。俺の休日が………。


「家まで送るわ、付いてきて」


一条に付いていき玄関まで行くと、リムジンの運転席に爺が既にスタンバイしていた。


「爺、こいつの家までお願い」

「…かしこまりました」


エンジン音を響かせながらリムジンが発進した。


「……さっきの話、氷室竜輝達にも伝えておきなさいよ。《BABEL》の事は伏せて」


さっきの話………『煙男スモークマン』が来るって話か。

 《BABEL》の事を伏せるって言うのは……俺と同盟関係を組んでるとは言え、竜輝達は《BABEL》の存在は知らないし、あまり知られたくないのだろう。


「……了解」


それから窓の景色を見ていると、家に着いた。


「じゃ、明日学校で」

「…おう」


……月1で学校登校するって聞いたんだが、まぁ気にしてもしょうがないか。


一条と別れて家に入る。


「ただいま~」


時刻は既に22時を過ぎている。3日も何の連絡もなしに家を空けたしな……怒ってないだろうか。


「おかえり~、大変だったでしょ?」


ひょこ、と台所から母さんが顔を出す。


「大変だったって……何が?」

「あら……?一条の所で住み込みのバイトしてたんでしょ……?」


あぁ……一条が上手く根回ししてくれていたのか。


「……そうそう!人使い荒くて困っちゃうよホントに…」


それから母さんと軽く雑談をして自分の部屋に入った。

 扉を開けてベッドにダイブする。


「はぁ~……」


今までの疲れが全部ベッドに沈んでゆく感覚に陥る。


「………」


数分ほどベッドに寝転がると、今までの出来事が甦ってくる。


《BABEL》という俺達を捕まえる存在……。しかも《BABEL》はここだけじゃなく、世界各地にあると来たもんだ、たまったもんじゃない。

それに……《BABEL》本部から俺達を捕まえに来る『煙男スモークマン』の存在。一条の話じゃ今までに何人もの超能力者イディオムと戦ってきたと言うが……、そんな奴が俺達を狙ってるなんて夢のようだ。いっそのこともう何もかも夢であって欲しい……。

光が………俺達から離れてどこかに行ってしまった事。

 光は…天神高等学校には何か『ヤバい事』が行われていると言った。その『ヤバい事』がなんなのかは今は想像もできないが……きっと何か手がかりがあるんだろう。

 これからは天神高等学校についても詳しく調べないといけない。


………やることが山積みだ。


軽く溜息をつくと、携帯が目に付いた。

 そういえば携帯を持って行き忘れた。


電源を付けると、新着メールが12通来ていた。


「……迷惑メールか?」


ムカムカしながら受信ボックスを見ると、全部同じ宛先だった。


『氷室竜輝』


メール内容は「月曜日には学校に行けそうだ」とか、「他のみんなの様子はどう?」とかだ。

 

………光の事を話すのが億劫おっくうになりそうだ。



携帯を放り投げ、ベッドに再ダイブするとそのまま深い眠りについた。


最近プレ4の「ウォッチドックス」というゲームを買いました。今までに5本ぐらいプレ4のソフトをやっていますが、これが一番自分の中では面白いですね。

とにかくリアルです。アメリカには行った経験がないですが、アメリカってこんな感じなのかぁ、とわかる感じにすごい。

一番難しいなと思うのは警察からの逃走ですね。警察マジぱねぇす。

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