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ある日超能力が突然使えました  作者: グリム
第一章 変化する日常
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第1話「猫地蔵」

夏休みが終わり、学校が始まるこの時期。


「眠いな・・・」


目を擦りながら明るい山道を眠そうに歩いている少年。

彼の名前は波多野零はたのれい

高校2年で帰宅部。田舎に住んでいるだけで普通の高校生である。


「昨日夜遅くまで楓と電話してたからなぁ」


彼がだるそうに歩いていると後ろから


「おはよ!元気ないね零~。どうしたの?」


元気に挨拶をしてきた彼女の名前は佐倉楓さくらかえで。ツインテールで金髪。

お前それ地毛かよ。と昔聞いたことがあるが本人は「地毛だよ」とあっけらかんに言うのでそうなんだろう。

俺と同級生で運動できるし勉強もできる。文武両道である。

小さい頃から仲がいい。


「お前が夜遅くハイテンションで電話してたからだろ」


あきれた声で俺は答える。

それから楓とどうでもいい話をしながら歩いていると学校が見えた。


ここが俺たちの通っている学校、天神てんじん高等学校だ。

天神高等学校は生徒数が毎年少ないためクラスが2クラスしかない。


下駄箱で手早く上履きに履き替え教室に向かう。

後ろで楓が何か言っているようだがこっちは眠いんだ。早く教室に行って机にぐったりしたい。


教室に着くとまだ登校時間まで余裕があるせいか、半分ほどしかいない。


俺の席は一番後ろの窓際だ。寝心地がいい。

机の横にカバンを置き、机にぐったりしようとしたら前の席にいたやつが挨拶してきた。


「おはよう零。今日もいい天気だね。」


爽やかな笑顔で挨拶してきたこいつは氷室竜輝ひむろりゅうき

楓と同じで幼馴染で昔からよく3人で遊んだ。

小さい頃から何かと意見が合わず喧嘩して、おかげでだいぶ拳を鍛えられた。


「あぁそうだなー」


適当に答えながら竜輝の隣にいる相手に目を向ける。

そこには俺より先に気持ち良さそうに寝て涎を垂らしている女子高生がいた。


「俺より先に寝てるとは、いいご身分だなぁ相楽さがら。」


頭をぐりぐりしてやると相楽はさすがに起きたようで


「ひゃあ!痛いです!痛いです先輩!」


飛び跳ねて起きた。さすがに強くやりすぎたか。まぁ後輩だからいいだろう。

こいつの名前は相楽夢さがらゆめ

俺より1年下なのだがなんで同じクラスにいるかって?


この学校は生徒数が少ないのかそれとも教師が少ないのか知らないが、学年別にクラス分けはされていない。


相楽は頬を膨らまして何か言いたげな感じだったが、すぐまた机に顔を伏せた。よほど疲れているんだろう。いつもはこんな感じじゃないのだが。

 俺も寝るか…と思ったがそうだ。まだ少し残っている宿題をやるために早く登校したんだった。


俺は前の席にいる竜輝に宿題を見せてもらうようお願いする。


「竜輝。すまんがちょっと宿題見せてくれないか。」


すると竜輝が軽く睨んできた。


「零。そんなんでいいのかい?努力しないと実にならないよ。」


とかなんとか言ってまったく見せてくれないので、適当に聞き流して一番前の席にいる友達に声をかけた。


「光、おはよう!いい天気だな!こんな天気のいい日には宿題を見せてもらうにはピッタリだと思わないか?」


宿題を見せてもらおうと必死だった俺は勢いよく声を掛けた。

するといきなり声かけた俺に驚いたのか光はビクッ、とした姿を見せたが俺とわかった瞬間安堵しながら返事をした。


「脅かさないでよ零。また宿題忘れたの?いいよ。」


そう言うと光は俺のやっていない宿題を手渡してくれた。

なんて優しいやつだ。竜輝とは大違いだ。まぁ今回が初めてじゃないのだが。


こいつの名前は前島光まえじまひかり。天神高等学校に入学してからの友達だ。おろおろしていたので声を掛けたら引っ越してきたばかりだと言うので、竜輝と楓と俺の3人でこの田舎を案内してるうちに仲良くなった。

光と相楽を含めた3人で最近はよく下校している。


俺は光のノートを手に自分の席に座り宿題を写そうとしたら楓が教室に入ってきた。


「もう零!待ってて言ったのに先行かないでよ!」


無視。こっちは写すので忙しい。

文句を言っているが俺が聞く気がないと判断したのか、諦めてみんなに挨拶をしてから席に着いた。


思った以上に量が多かった宿題を写し終わり、寝ようとしたら担任が入ってきた。ホームルームだ。

もうそんな時間か。と思いながら時計を見たらもうホームルームの時間だった。


始業式を終えて帰りのホームルームも終わった。授業は明日からなので今日はそのまま帰る予定だった。

無事宿題を提出し終わった俺は礼を光に言い荷物をまとめていた。すると竜輝が横から声をかけてきた。


「零。帰り道に少し遊んでいかないか?」


家に帰って寝ようと思ったので断ろうとしたが、俺以外の4人はすでに行く気だったようなので俺も付き合うことにした。


「わかった。集合時間は何時だ?」


この近くには大きなショッピングモールが一つだけあり、大抵遊ぶときはそこになるので一回家に帰り着替えてきた方がいいだろうと思ったのだが、竜輝が首を横に振った。


「今回はショッピングモールじゃない。昔3人でよく遊んだ場所があるだろう?光と夢も連れて行ってあげたいと思うんだ。」


確かにあそこには遊具があるしデコボコしていて楽しいが、高校生が遊ぶにはちょっと恥ずかしい。


「遊びたいとかじゃなくてね。昔3人が遊んでた場所に興味があるからその場所を見てみたいって言うか。」


俺があまり乗り気じゃない雰囲気が顔に出ていたのか、相楽がフォローを入れてくる。

見るだけと言うなら別に俺もそこまで抵抗する気はない。みんな行く気のようだしな。

わかったと言うと、一回家に帰らずそのまま向かうようだ。


校舎を出て学校に来た道とは反対に進んでいく。

歩いて30分もしないうちに着くので適当に話してれば着くだろう。


最初は楓が俺に話しかけていたのだが、俺が適当に流しているのがわかったのか途中から竜輝に話しかけていた。竜輝はそれをさして嫌という感じもなく楽しそうに話していた。

 それを後ろから見る夢の目がちょっと怖かったが。こいつもしかして…いや、変な詮索はやめよう。


光は一番後ろで自分から何も話さなかった。体調が悪いのかもしれないと思った俺が話かけたが「大丈夫だよ」の一言で終わったのでとくに話すこともなく進んでいく。


ほどなくすると昔3人で遊んでた場所に着いた。すべり台などが昔遊んでた時よりさびていた。


「うわぁ~ここが昔3人で遊んでた場所なんですね。広いですね~。」


相楽が感動したように言う。夢が走り出していくのを楓が見て、


「夢ちゃん。そこら辺転びやすくなってるから危ないよー!」


楓が警告するにも関わらず相楽は「大丈夫ですよー!」と言いこっちを見て手を振っている瞬間。




落ちた。



……は?


何が起きたかわからない。という顔をしている3人を放置して、俺はすぐさま相楽の落ちた場所を確認しに行った。


すると相楽は落ちたというより滑り落ちたという感じでそこにいた。見た感じ怪我もしてなさそうだったので俺は安堵した。


「…いてて、もう!誰がこんなところにおとし穴なんて仕掛けたのよ。」


滑り落ちたんだから、落とし穴ではないだろう。と思いながら相楽の横に洞窟らしきものがあったのだ。

昔遊んだ時はこんな洞窟あったか?と思ったので楓と竜輝に確認しようと後ろを向いたが、既に3人はいた。


「楓、竜輝。昔こんな洞窟あったか?」


楓と竜輝は腕組みして数秒ほど考えたあと「こんな洞窟なかった。」と言った。

光は相楽が無事なようで安心している。


とりあえず俺はあの洞窟が気になったので入ってみないかと提案してみると竜輝が


「あの洞窟にも何があるかわからないから危険だよ。もしかしたらおとし穴みたいのがまたあるかもしれないし。」


竜輝の意見も一理ある。だが、好奇心には勝てなかった。


「俺が先頭で行けば問題ない。大丈夫だ。」


竜輝はいい顔をしなかったが他の3人も興味があるようなので、反対は竜輝1人だけだ。

竜輝は仕方ないな。と言いながら首を縦に振った。


洞窟の入り口は1人ぐらいしか入れなかった。進んでいくほど最初は1人ぐらいしか入れなかったが横に広がっていった。



5分ほど歩くと何か大きく広がった場所に出た。もう先に進む道はない。

俺は工事の途中か何かかと思い、回れ右して帰ろうとした。

しかし、竜輝の一言でそれはなくなった。


「零。前に何か見えないか。地蔵のようなものが。」


なに……?

回れ右した体をまた回れ右して、前を見た。


 …確かに何かあるな。ここからじゃよく見えない。


気になった俺はおとし穴がないかどうか注意しながら近づいてみる。

 何事もなく地蔵の前にやってきた俺は、手招きして4人を呼んだ。


それは猫地蔵のようなものだった。

ような物。というのは完全に猫には見えないからだ。大きさは猫なんだが、なんと表現したらいいか…。

猫とドラえもんを合わせた感じだ。よくわかんないだろうが俺の表現力だとこれが限界。


「なんか不気味だね。なんか石みたい」


ぺたぺた楓が触っているが変化はなにもない。


「みんなも触ってみる?」


楓がひょい。と猫地蔵を持ち上げた。おい。それ持ち上がんのかよ。

 相楽がぺたぺた触る。


「なんか思ったより軽いね~」


相楽が光に渡すと光はおろおろしながら「ほんとだ、軽い。」と言った。

 竜輝も猫地蔵を光から渡してもらって同じ感想。

重そうに見えるけど、軽いのか。

 俺は竜輝から猫地蔵を渡してもらった。

軽い。確かに地蔵かと思えるほど軽い。


俺もぺたぺた触ったが、なぜ軽いのかはわからなかった。

猫地蔵は元の位置に戻しておいた。


「さて、ここから先進めそうにないし、戻るか。」


俺の言った言葉に4人はうなずいた。


「なぁ~んだつまんないなぁ。世紀の大発見ができるかもしれなかったのに」


こんな工事現場を途中で放り出したようなところで大発見できるか。と俺は相楽に軽いツッコミを入れて戻った。




―――この時の俺は洞窟に入らなければよかった、なんて微塵も思っていないだろう。

超能力まったく関係ないじゃないかと思いますが、超能力が出てくるのは第2話からです。第1話は超能力を使うための伏線です。

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