嵐のような少女
やれやれやっとこいつを登場させれるな
「簡単に言うとお掃除部の活動は校内や近隣の地域の清掃活動が主な活動と生徒のお悩み相談ってところ」
へぇ~。てっきりほとんど活動もせずに予算を喰ってるだけの幽霊部かと思ったら、きちんとした活動もしている部なんだな。
「まぁ、最近はもっぱら相談無くて、僕達は暇なんだけどね。アハハハハ」
駄目じゃん。
「でも、それは私達とっては建前にしか過ぎない」
真剣な表情で白星が言う。
「建前って言ったか?じゃあ、本当の活動は一体何なんだ?」
「動物観察」
「ストーキング」
…………やばい。帰りたい。どうしようこの二人。すごくどうでもいい。いや、どうでもよくはないけど、今すぐこの混沌とした変態サークルからの脱出を試みたい。
「へぇ、そうなんすか。じゃ、俺はこれで」
ぎこちなくも素早くこの部屋から脱出するために、ドアに手を伸ばしたのだが、
「やっほー!遅れてごめん‼︎」
勢いよくドアを開けて入った来たそれは、まるで狙ったかのように俺の腹目掛けて飛んできた。
…………腹?
ズドム!!
勢いよく飛び込んできたのが何かが、腹にぶつかってあら不思議。マンガのようにブッ飛ぶ俺は壁にぶつかってその勢いを殺すが、全身打撲もんのダメージを負った。
「げふっげふっ」
どうやら俺にダメージを負わせたのは人のようだ。
「ごめ〜ん。大丈夫? 立てる?」
ぶつかってきた人物が手を伸ばして来たので、その手を掴もうと顔を見上げると、そこには小さな女の子が立っていた。
肩に届く位のショートカットは少しクセっ毛。透き通った大きな瞳が幼さを感じる。身長は140あるかないかだろうが、思わず見てしまったのは、身長に不釣合いなDかEカップに発育した胸部。だが、それ以外はまるで小学生だった。
「竜さん。どうして小学生がここにいるんですか?」
と質問すると、竜さんと白星は驚いたように目を見開いて「ああ、やっちゃったな」の表情をする。
「だ、誰が小学生だって……私はこの学校の生徒よ!」
………高校生?
「君、嘘をついちゃいけないって習わなかったのか」
「嘘じゃないわよ!!これを見なさい!」
そう言うと自称高校生の女の子は胸ポケットから学生証を取り出して俺に突き付けた。
「桃園春奈第三学年二組…………」
「どうよ。これで信じたでしょ」
少女は自信満々に腕を組んだ。
「君! 落とし物は持ち主に返さないとダメじゃないか!!」
「うにゃ~~~!!」
少女はいきなり自分の頭を掻き回した。すると竜さんがやれやれと言った様子で割って入って来た。
「まぁまぁ。ハル、彼が新しい入部希望者だよ」
入部希望者と聞いた瞬間、少女の態度が変わった。
「新入部員! それを先に言ってよ竜!」
「いやいや。そんなの聞いてませんからね!?俺」
衝撃事実に全力否定をする俺。
しかし、春奈ちゃん? は俺の話を聞いてなかったのか何処からともなく入部届けとペンを取り出して押し付けてくる。
「あの……。話を聞いてた? 聞いてましたか? 俺、入りませんよ」
「大丈夫よ。ちゃんと新入研修もしてあげるから」
その瞳には星がキラキラと輝いていた。
こ、この顔をされて断るのは少し罪悪感がある……。
周りをみても竜さんは仮面をしているから表情はわからないし、白星は「入部しなかったらどうなるかわかってんの?」みたいな目で俺を睨み付けている。
「あ、あの、部活には入る気はないので……」
「お断りを……」と言おうとすると、目をキラキラさせていた顔から星が消え、代わりに少し涙目になって上目遣いで少女は恐る恐るこう言った。
「だ、だめなの?」
これが止めの一言だった。
やっと春奈を出せました!作者的にはこのキャラ考えてから話の内容を考えたので、一安心です。
小説説情報からアクセス解析を見ると、どれぐらいの方が見てくださってるかわかるんですね。合計で70人くらいの人が見てくださっていて、恐縮です……