久しぶりに見た幼なじみ
「なんなんだそれ?」
「まぁ、要するに桜第一高校で一番の美少女を決めようという企画なんだよ紅道くん。分かる?」
初対面なくせに妙に俺を馬鹿にしているところがあるなコイツ。
「まぁ、大体は分かったよ。で、誰が出てるんだ?」
「結構な美女がでてるけど、僕は白星さんかな~」
白星?どっかで聞いたことあるようなないような……と考えてると佐藤が心配そうな顔をした。
「どうしたんだい。そんなに悩んだ顔をして」
「いや、白星ってやつ知ってるかも。そう滅多に聞く名前じゃないしな。っていうか、俺の幼なじみかもしれない」
「えぇっ!」
まぁ、普通は驚くだろうな。でも、そこまで驚かなくても…
「君みたいなヤツが白星さんと幼なじみだって!?」
「おい、喧嘩売ってんのかお前?」
こめかみに血管を浮かべる俺を無視して佐藤は続ける。
「でも、白星さんといえば成績は学年トップクラスで趣味は読書なのに運動神経抜群で美人で欠点なんてないって言われてるんだよ?ほら」
佐藤が指差す方にいたのは、クラスの連中とお喋りしたりせずに、黙々と本を読んでいる美少女だった。
スラリと腰まで伸びる艶やかな黒髪。人形のように整えられた鼻、口、目。
一瞬、本当にあれは人間なのか?と思った。
俺が知ってる白星は髪の長さが肩ぐらいまでのどこにでもいる少女だった。
だけど、今、この教室にいるあいつは誰もが認めるような美しさだ。
久しぶりに会う人間は変わって見えると言うが、あれは変わりすぎだろ。
「もしもし~。現実に戻ってきなよ~」
気がつくと、俺の顔の前で佐藤が手を振っていた。
俺としたことが思わず白星に見とれてたようだ。
「わ、悪りぃ」
「いやいや、白星さん相手だったら誰でも見とれるよ〜」
「本当に、あいつは白星なのか?」
「桜一中からだったら、彼女しか白星はいないよ?」
俺が中一までいたのは桜第一中学だ。だとしたら、間違いないんだろう。
「そっか。じゃあ、あれは俺の知ってる白星だ」
三年で、人ってあんなに変わるんだな。
「そうだ!幼なじみで久しぶりに会ったなら挨拶の一つくらいしたほうがいいんじゃないかい?」
「それもそうだな。じゃ、ちょっくら挨拶してくるか」
佐藤にそう告げて俺は本を読んでいるの白星の横に立った。
しかし、幼なじみとは言え少し緊張するな。
「よ、よう。久しぶり」
「…………(ペラ)」
俺を無視して白星はページをめくった。
あれ?もしかして、俺の声のかけ方が駄目だったのか?
「おいみろよ。あの転校生、白星さんに声掛けてるぜ」
「いや、大丈夫だろ。だってあいつ無視されてるぜ」
やっぱりそうなのかもしれないな。声のかけ方間違ったな。もう一回、声かけるか。
でも、なんか周りの連中が注目してんな。 よし、所を変えたほうがいいのかもしれないな。うん、そうだな。
「なぁ、白星。俺と付き合ってくれ」
もう一話投稿します。