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12.蹂躙戦


 うおおおおおおおおぉ! 四度(よたび)レム君だよゴラァ!


 受けきってやったぜコノヤロウ!

 さすがアダマント! 何ともないぜコノヤロウ!


 よく考えりゃ律儀に全部受けるこたぁなかったぜコノヤロウ!

 なんだバカヤロウ!

 プロレス関係ないぜコノヤロウ!


 敵が面制圧兵器を撃ちだした。今度は全弾発射のようだ!

 まとめて面倒見てやるぜ! 数打ちゃいいってもんじゃねえ! 漢の武器は拳一個で十分だ!

 弱いヤツほど、水滴が石を砕くとか何とか言うもんなんだよ!


 五行エンジン全開! 回れ右腕ッ!

 足を引き、腕を引き、胸を張り詰め――、力を溜めたバネが放たれる。

 遠い敵に向けて右ストレートを放った!


「ニュー・バニシング・ゲイザーッ!」

 ど派手な音を立て、漢の拳が飛び出した。


 今宵のバニシング・ゲイザーはひと味違うぜ!

 こないだの回廊でちょいと仕入れた秘密の仕掛けが仕込んであるのだっ!


 唸りを上げ、空間に螺旋を刻みながら、ロケットなパンチが真正面に飛んでいく。

 面で迫ってくる制圧兵器に対し、点で突っ込む漢の拳。数千対1が接敵する。


「吠えろ! バニシング・ゲイザーッ!」 

 俺の叫びを合図として、拳が空を打った。


 ゴウーン・ン・ン・・・


 重厚な鐘を鳴らす音が、戦場に響く。

 拳の入角に対し、垂直方向へ向かう波が発生した。


 その波に突っ込んできた魔槍が一度に爆発。

 爆発で生じた嵐の様な風はこちらへ来ない。全て向こう側へ吹き戻る。


 百基を超す面制圧兵器が、紙くずの様に飛んでいく。


「見たか! これが俺の空中殺法だ!」

 ミル・マスカラス万歳!

 

 




「巨神が腕を回転させています!」

「腕を飛ばす気か? だが遅い! 我らの方が一手早い! バースト・ジャベリン発射!」 2500発の魔槍が飛び出した。


 ゴルバリオンの騎士が突撃を開始する。バザムも剣を手にして走っていく。

 魔神も遅れて拳を放った。


 バースト・ジャベリンは、言わば散弾。弾幕面積は広い。

 一方、魔神が放つ拳は強力だが、効果の範囲は狭い。

 大きいとは言え、効果を与える面積は拳一個分なのだから。


 2500発の魔槍と一個の拳がぶつかろうとしている。


 両者が点で交わる直前、魔神の拳が不可視の壁を殴った。


 ……そうとしか思えない現象が起きたのだ。


 魔神の拳が0距離停止。何かを殴った様に見えた。

 その場所の空気が、拳に対し垂直方向に歪んだ。景色が歪んで見えたのだ。

 同心円状に広がっていく景色の歪み。それは魔槍の占める面積より大きい。


 歪みに突入した魔槍は、壁にぶつかった様にして爆発していった。

 爆風は巨神の方へ流れない。全ての威力が飛来してきた後方へ――つまりゴルバリオン陣営側へと雪崩れ込む。


「へぐっ!」

 バザムは、重い鎧ごと吹き飛ばされた。10メットルは宙を飛んだであろう。


 落下の衝撃。意識が飛ぶ様を実感できた。

 バザムが最後に見た物は、嵐の様な風により、本陣の天幕が飛んでいく絵と、バースト・ジャベリン発射台が悉く薙ぎ倒されていくシーンだった。







 五度(ごたび)レム君だよ!

 ヘイヘイヘイ! 俺の足がとまらないぜ! ピッチャー、ヘボだぜ!


 無謀神に取りつかれた俺の快進撃が続く。

 それほどゴルバリオン陣内への侵入は簡単だった。


 なんだなんだ? ボロボロじゃないか! 誰にやられた? 俺だよ、俺!

 さあ、これから蹂躙が始まるぜ。てめえらが言う蹂躙が、赤い顔して裸で逃げ去る真の蹂躙が始まるぜ!


 俺は、己が持つ破壊の力を遺憾なく発揮した。

 自分で言うのもなんだが、徹底的、かつ執拗であった。

 俺は、度重なる不遜な攻撃に、怒り狂っているのだ。


 もはや組織だった戦闘が出来ぬゴルバリオン軍に、豪腕を振り下ろす。真っ先に破壊しようと決めていたのは面制圧兵器の発射台。

 手近なものは間もなく破壊し尽くせるが、遠くの物は時間がかかる。辿り着くまでに復活されちゃ厄介だ。


「ディオスパーダ!」

 両肩のガードが音を立てて跳ね上がる。


 みっちりと詰まった破壊因子が、時間差をつけて飛び出していく。

 噴煙を上げ個々の軌跡を描きながら、改良型ディオスパーダが空へ上がる。

 改良点は、一発一発が低度な意思を持ったゴーレムを仕組んだ事。着実に一基ずつ潰していってくれる。


 おやおや、なんか足下が騒がしいと思ったら、騎士達の集団が突っ込んできてた。

 骨のある騎士である。褒めて使わそう。

 それ、褒美を受け取れ「岩バルカン!」


 はじき飛ばされる騎士達。

 そう、俺は褒めて芽を摘み取る教育者タイプなのだ!


「行ってこいバニシング・ゲイザー!」

 腕を水平発射させる。50基ばかりまとめて粉砕してやった。


「ギロチン・ドローップ!」

 足を落とす。一基しか壊せないが、威力は新大阪-博多間を3往復分だ!


「岩バルカンッ!」

 頭の中がカラになりそうだ。群がる兵士達を蹴散らしてやる。


「レッグ・ダイーブ!」

 これはただのタックルだ!


「以外と早やかったじゃねぇか」

 ストリと軽い着地音だけでガルが現れた。


「中距離はあらかた潰した! 遠距離は毒竜さんが引き受けてくれるって寸法だ!」

 残像現象を起こし、ガルが敵陣深くへ突き刺さっていく。

 上空を影が通り過ぎる。敵の退路にサリア姐さんが舞い降りて、なんかヤバそうな煙を吐きだしはじめた。


「よーし! 徹底的に掘り返してやるぞ! 無謀神、我に力を!」

 防御ってモノを捨てた鋼鉄の固まりが、敵中心部に突入したぁッ!






 悪魔の右腕が飛ぶ。鋼鉄の足が踏み下ろされる。


 それは戦いではなかった。


 人は、それを「蹂躙」と呼ぶ。


 ゴルバリオンの悲劇には、実は続きがあった。


 不滅の魔神レムに続き、神を狩る狼、フェンリル狼のフェリス・ルプルが混乱の戦場に現れた。

 高速で走り回り、兵をはじき飛ばし、魔槍の発射台を破壊する。


 混乱に、さらなる輪が掛かる。

 黒い影が、太陽を横切った。


 紫煙の罠、ベノムドラゴンの スイートアリッサムが、退路に降り立ち毒煙を吐き出しはじめた。


 右往左往するゴルバリオンの兵士達。


 本陣の天幕が引き倒され、踏み荒らされ、見る影もない。指揮系統は完全に崩壊した。

 陣営だった場所は血と死体と土砂で埋められていく。もう、どれが誰の死体なのかも判らない。




 剣を振るっていたハンネス皇帝の姿も、いつしか混乱の中に埋もれて消えていた。





謎は終わらない。


次話、最終回「興きる国・終焉」


お楽しみに!

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