第3話 さぁ、ゲームは始まったばっかだぜ!!
奥のコートの中に俺たちが入ると中にいた人たちがざわめきだした。
「おいおい、あれって”幻惑の魔女”じゃね!?」
「俺も月刊バスケットボールの特集で見たことある!」
うわっ、由香里は本当に有名なんだな。
てかそこの人たちその名前で呼ばないであげて!!
チラリと横を見ると由香里がどんどん機嫌が悪くなっていくのが分かる。
「・・・・・・さっさと準備して始めるわよ。」
「ア、アイアイサ~。」
そう言われさっさと準備する俺。
俺の立場っていったい・・・・・・・・。
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準備が終わりコートの中に足を運んでいく。
周りを見てみるとギャラリーかなり沢山集まっていた。
「”幻惑の魔女”のこと天野由香里が1on1するってよ!見なきゃ損だぜ!」
「キャーーーーーーーー!!由香里様頑張って!!」
「てか、相手する男誰だよ。」
すごい数だな。
明らかに最初に居た人よりも数が多いぞ。
というよりギャラリーの人たちは俺のこと知らないのね。
グスン・・・。
なんて思っていると由香里も準備が終わりこっちにやって来た。
「さぁ、始めるわよ。勝敗は先に3本入れたほうが勝ちでいいかしら?」
「いいぞ。先行はくれてやる。」
そう言って由香里ボールをパスする。
「ありがとう。」
由香里がボールをパスしてくる。
これで俺が由香里にパスをしたら1on1が始まる。
さっきまでかなり煩かったギャラリーが静まりかえっていた。
俺が由香里にパスをした。
その瞬間、由香里がドリブルで抜こうとしてくる。
――――ダムダム
だが海斗はしっかり由香里について行った。
由香里のヤツ、流石に強豪校でキャプテンをしていただけあってドリブルに入る時の速度がかなり速い。
普通のヤツが相手なら今ので抜いていたぞ。
「考えている暇があるのかしら?」
由香里がレッグスルー抜いてこようとする。
貰った!!
そう思い海斗がボールをカットしようとする。
しかし海斗の手は空をきっていた。
そして海斗はあっさりと抜かれてしまった。
――――スパッ!!
由香里の綺麗なレイアップシュートが決まる。
「まずは1本ね。」
と由香里が言ってくる。
その瞬間ギャラリーから歓声が沸き起こる。
「すっげー!!」
「由香里様ーー!!」
「流石”幻影の魔女”!!華麗なドリブルであった!!」
「てか今何したの!?」
「由香里ちゃんはレッグスルーからのバックチェンジで抜いたんだよ。」
と、ちゃっかり説明をしている源さん。
源さんが説明したとうり由香里はレッグスルーで俺にボールのカットを狙わせ、バックチェンジでパスカットの回避とタイミングを完全にずらしたのだ。
そして速いドリブルで抜いてくる。
完全にずらされた状態であの速いドリブルをされたら、誰でも抜かされるのは当たり前である。
「あちゃー、完全にやられたぜ由香里!」
「当然よ。海斗がアメリカに行ってる間何もやっていなかったわけじゃないの。」
海斗が由香里にボールをパスしてくる。
「さぁ、次は海斗の番よ。あまりがっかりさせないでよね。」
由香里が海斗にボールをパスする。
――――ダムダム
海斗は由香里と違いドリブルで抜こうとはしてこなかった。
しかし由香里は海斗なら何かをしてくると思い警戒する。
すると海斗が突然
「なぁ、由香里?」
と話かけてきた。
「何よ?」
急に話しかけられたさらに警戒しながら話返す。
「ディフェンス、そんなに遠くていいのか?」
「えっ!?」
その瞬間、ボールは中に舞っていた。
この空間にいたギャラリーと由香里は驚愕した。
なんせ海斗はコートのハーフラインより少し後ろからシュートを撃ったのだ。
誰もがこのシュートは入らないと思った。
しかし・・・・・
――――スパンッ!!
結果、シュートは入った。
誰もがこの出来事に驚愕してしまい驚いてしまい動けないでいた。
由香里もその内の1人だった。
由香里は頭の中を整理した。
ハーフラインからのシュートはNBAでも滅多に見られなく、とても難しいプレーの1つだ。
しかし海斗は、何も力が入ってないようなシュートフォームで軽々とやってのけた。
さすがアメリカで3連覇をやってのけただけはある。
そんなことを由香里が考えていると
「さぁ、まだゲームは始まったばっかだぜ。」
と笑顔って言ってきた。
その笑顔を見た由香里は緊張の糸が切れてしまい、改めて自分の幼馴染はバスケバカだと感じるのであった。
レッグスルーとバックチェンジが分からない人はYouTubeで見てください。