表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
疵魂の聖人は異世界に眠る  作者: 怠惰
幼少期編
12/12

10/明日の為に今日はある?

 成人した後貴族として必要な知識を得ることが目的であるこの学校では実に多くの分野についての学習が可能となっているが、逆にだからこそ学べないこともある。

 その第一の項目が武術である。一応科目として取り入れられており専用の教師もいることにはいるのだが、彼らが教える武術というのは戦うための技術ではなく、礼儀作法に則ったスポーツや競技的なそれである。

 武を貴ぶこの国の気風にしては妙なことかもしれないが、実際過度に実践的な剣術などを教え込もうとすればある程度の怪我や事故は当然起こる。そしてその責任を取ることが学園側としてはなかなか難しい。

 それ以前に貴族たちは私兵を組織して独自の武力を持つことには興味があっても、自らの手で剣を握ることは嫌がるだろう。そんな理由から、本格的な武術の訓練というものは本来ならば受けることは出来ないのである。


「はあっ!」


「ふっ!」


 屋外に設けられた運動場に一組の鋭い声とそれに続いて鈍い激突音が響く。私はその発生源を横目にしながら運動場の外周をのんびりとジョギングする。

 時刻は日の出を迎えて少しといったところ。平民なら起き出して仕事の支度を始めているが、貴族であればまだまだ眠りに就いているような頃合いである。

 学校に入学してから体力作りの一環として始めた早朝ジョギングは最初私と姉、ユーゼリカの三人で行っていた。

 授業の後に行うという手もあるのだがそれだと人の目についてなんだか嫌だというのと、これまでの習慣で早く目が覚めてしまい時間を持て余していたので毎朝の日課に取り入れることとなった。

 始めてからしばらくはユーゼリカが起きられずに姉と二人で行うこともあったが、そうすると仲間外れにされたと思ったのかユーゼリカの機嫌が悪くなり、叩き起こしてでも一緒に連れて行けと言い出した。

 その発言の後なかなかベッドから出てこないユーゼリカを実際に無理矢理起こしたのだが、それはそれで騒ぎ出して何故か私の説教となりその日は休みになってしまった。

 叩き起こすといっても女性に暴力を振るうのは気が引けるので優しくいたずらして起こしたのだが、むしろそれがいけなかったらしい。下手にアドリブを利かせるとろくな結果にならないという良い見本だろう。

 具体的に何をしたかと問われたならば、まあ、唇とだけ答えておく。マウストゥマウスではないよ?


 話を戻そう。一月近く三人で行ってきたジョギングだが、それにリュカが参加したことで少々変化を生じることとなった。彼女がジョギングだけでなく、ユーゼリカに剣を教えてほしいと言い出したのだ。

 ユーゼリカが剣と言わず槍、弓、馬術と様々な武芸に秀でているのは私も姉も知っていたし、マイアラスト家というのは国内でも有名な家系のためリュカも既知のところであったらしい。

 なんでもリュカは将来自分の腕一本で食べて行けるように知識だけでなく多くの技術を身に付けたいと考えていて、そこには戦うための力も含まれているのだとか。

 だが学校では本格的な戦闘のための技など教えてはいないので、国内髄一の武家の子であるユーゼリカに指南してほしいとのことであった。

 ユーゼリカはそれに否を言うこともなくジョギングの後に軽く稽古を付けてあげることを約束し、ここに10歳と11歳の友人にして師弟という謎の関係が生まれたのであった。

 これは姉もユーゼリカも加護持ちということで多少の怪我なら自分たちでなんとか出来るし、私も時折混ぜてもらって素振りを見てもらったりとなかなか有意義な変化であったと言えよう。

 しかし獣人の少女が更に小さな人間の少女に武器の扱いを学ぶ姿というのは、傍から見ればなかなか奇妙な光景である。


 そして今日もまた鍛錬の締めとしてリュカがユーゼリカと剣を交えているのだが、やはりまだまだリュカの腕前ではユーゼリカに勝つには至らないようだ。

 獣人特有の身体能力を生かした素早い動きで何度も打ち掛かるリュカだが、いくら剣閃を重ねようとユーゼリカには届かない。逆にそれを捌かれた上で何度も反撃の太刀を浴びている。

 リュカの全身で叩き付ける様な力強い一撃に対し、ユーゼリカの剣は身体をふらりと揺らす様にして放たれる。一見剣で撫でているかの様にも見えるそれだが、実際に食らうと体が大きくのけぞってしまうほどの威力を秘めている。

 ユーゼリカいわく身体の力を無駄なく使うことが出来れば誰でも可能な技であるそうだが、それはいわゆる達人とかそういった次元の話ではなかろうか。

 逆袈裟の一撃をくぐって叩き込まれた胴への一撃にリュカが膝をついたところで今日の練習は終わりのようで、二人は向き合って一礼する。それから私と姉は二人の元に駆け寄り、剣撃を受けたリュカの体を治療する間軽く会話を交わす。


「あたたた……相変わらず容赦無いなぁ、ユーゼリカ」


「リュカが怪我をすればその分だけアリサの練習にもなるからね。二人は腕を伸ばせるし私はストレス発散になる。丁度いい木偶、ごほん、弟子が手に入ったものだわ」


「今何か不穏当な単語が!?」


「ああ、動かないでー。じっとしててよリュカ」


「ととっ、ごめんアリサ。それといつもありがとね」


「ユーゼリカの言じゃないけど、実際あたしの練習にもなってるし構わないよ。でもやっぱり、あまり怪我はして欲しくないかな」


「アタシがもっと強ければ怪我もしなくて済むんだけどね。うん、早く強くなれるように頑張るよっ」


 笑いながら話し合う二人だが、実際ユーゼリカは結構楽しんで剣を振っているように見える。

 先ほどのもまあ半分以上冗談で言っているのだとは分かっているが、しかし本当にSとしての本能が発露したという可能性も微レ存……?

 となれば、弄らないわけにはいくまい。


「というかユーゼリカはそもそもストレス溜まるような生活してないでしょ。練習中はずっと笑顔だし、むしろそういう性癖って言った方が納得できるよ? 人を殴って興奮するとかなにそれこわい」


「えっ!? ゆ、ユーゼリカってそんな趣味があったのっ!? 弟子入りするの早まったかな……」


 顔をわずかに引きつらせて距離を取るリュカに、慌てた様子でユーゼリカは両手を振って否定する。


「違うわよ!? ちょっとアドラ、訂正なさい!」


「ひい、矛先がこっちに向いた。またおしおきされるぅ」


「またって何!? 私そんなことした事ないでしょ、こっち向きなさい!」


「ごめんなさいぃ、ムチは、ムチは勘弁してぇ」


「こんなに怯えて……ユーゼリカ、もしかして本当に?」


「がががががっ……」


「アドラちゃん、そろそろやめないと取り返しが付かなく……」


「だめぇ、そんなおっきいの入りません、許してくださいユーゼリカ様、許してぇ」


「何が入らないの!? どこに何を入れようとしたのっ!?」


 混乱するリュカ。そしてとうとう顔を真っ赤にして口を開閉するだけになったユーゼリカを見て、まあそろそろかなと思ったので切り上げることにした。

 なあに、このくらいの弄りはいつもの事だ、ユーゼリカもちょっとした冗談で済ませてくれるだろう。なにやら姉がかわいそうなものを見る目をこちらに向けているが多分気のせいだと思う。


「リュカ、あなただけでも逃げて。まだ清らかな体のうちに少しでもユーゼリカから離rアガガガガガ」


 あ、限界超えた。


「淑女ワンハンドネックハンギングツリー!」


「か、片手でアドラを持ち上げたっ!?」


「アドラちゃんが! このままではアドラちゃんが死んでしまう!」


「ア、アイエエエ!?」


「あんたのそういう下らない嘘がストレスの原因なのよーっ!」


 今日も学校生活は平和である。……あれ? まだ日の出からあまり時間経ってない筈なのに、妙に目の前が明るいや……




*****




「アドラたちは、学校卒業した後ってどうするの?」


 食堂で四人揃って夕食を食べているとき、リュカはそんな話題を私たちに振ってきた。


「卒業した後って言われても、まだ二年以上あるからなぁ。まだ考えてないよ」


 姉はパスタをくるくるとフォークで巻き取りながらそう言う。


「私は冒険者になるわ」


 魚の骨をナイフとフォークで器用に取り除きながらユーゼリカはそう口にする。


「僕は神学でも始めようかと」


 私は厚切りの肉を一口大に切り分けながらそう話す。あ、ちなみに神官でも食肉や殺生は推奨こそされていないものの禁止されてはいない。不必要かつ過剰なそれは流石に問題とされるけれども。


「えーと、ちょっと待って。なにか奇妙な回答が二つほどあった気がするんだけど」


「そうよアリサ。学校での時間を有意義に使うためにも将来の事は早いうちに決めておかないと駄目じゃない。アドラも神学なんて聞いたこともない学問始めて何をするのよ」


「もう11歳も近いのにそんなので大丈夫なの姉さん? ユーゼリカもお似合いだとは思うけど、もうちょっと計画的な人生歩もうよ」


「えええええ、あ、あたしがおかしいの?」


「大丈夫だよアリサ、頭おかしいのはあの二人だから」


 最近では大分打ち解けてきて私からは親友と呼ぶのに何のためらいもないリュカではあるが、仲良くなるのに比例して突っ込みも容赦なくなってきてるなあ。


「というか、姉さんは教会に籍を置くのはほぼ確定してるじゃないか。それとも何か心変わりするようなことでもあったの?」


「ううん、神官にはなろうと思ってるよ。だけど、そこからどうしようかなって」


 神官になってから、その先どうするかという話か。

 大きく分けて神官になった後の身の振り方は二通りある。教会に腰を据えて地域に貢献するか、冒険者に同行して腕と名を上げるかだ。

 前者は危険も少なく平穏な日々を送ることが出来るし、収入だって決して低くない。教会内で高い地位を得るのであればこちらを選ぶべきだし、ほとんどの神官志望者はこちらを目指すことになる。

 対して後者は多くの経験を積むことで能力の向上が望める上、あわよくば大金と名声を得るチャンスもある。とはいえ教会勤めを蹴ってまで選ぶほどの旨味も無く不安定なため、こちらはやはり少数派となる。

 しかし腕の優れる神官であれば毎日の庶務でちまちまと功績を重ねていくサラリーマン的な教会勤務よりは、己の才覚一つで一攫千金を狙う探究生活のほうが力を生かすことが出来るのも確かである。

 姉さんには身内の贔屓目を除いても冒険者として頭角を現わすくらいの能力はあると思うが、性格からして荒事は望まないだろうし教会所属のほうを選択するだろうと考えていたのだが。一体どうして悩んでいるのだろうか。


「えっ、それってつまり教会で勤めるんじゃなくて冒険者として動くのを考えてるってこと?」


 驚いて声を上げるリュカに対して、姉は小さく頷いた。


「アルハー様から加護を頂いたときから考えてたんだけどね。やっぱり、アドラちゃんの体を治す為には魔法がうまくならなきゃ駄目だろうって」


「それは嬉しいけど、でもそんな理由で冒険者になろうっていうんなら僕は反対させてもらうよ。僕の為に姉さんが危険な目に遭うようじゃ本末転倒だからさ」


 最近では大分体力も付いてきて長時間の運動も可能になってきたが、それでも月に一度は体調不良で授業を欠席している。この虚弱体質の改善にはまだまだ時間がかかることだろう。

 それを別にしても私には『奇病の発症』という不可避のイベントが待ち構えているので、姉さんの魔法の効果が上がることには何ら不都合は無い。

 しかし、冒険者稼業というのは文字通り命がけである。そこまでして尽くして欲しいなどという傲慢な思考を私は生憎にして持ち合わせていないのだ。


「うん、そういうだろうと思ったから悩んでたの」


「まあそうよね、あなたたちほんとに相思相愛だから。お互いに心配し合ってて、それに気づいてるから身動きが取れなくなる」


 相思相愛なんてそんな、と恥ずかしそうに頬を赤らめる姉とそれに便乗していやんいやんと身をくねらせる私。そしてそれを完全に無視するリュカとユーゼリカだった。

 少しくらいリアクションしてくれてもいいじゃないか……しょぼん。


「ちなみにユーゼリカはなんで冒険者になろうとしてるの? マイアラスト家当主、というかあなたのお父様って確か国軍の武術指南役に就いてたよね」


「まあほんの一時期の話よ。男爵程度がどうのこうのって一部が騒いですぐにお役御免になったから。それはともかく、まあ正直言ってしばらくは国に関わるような面倒は背負いたくないからかしら」


 父様や母様に恨みは無いけど正直家名を捨てたいくらいだわ、という爆弾発言に一瞬空気が凍る。

 軍事においては国内でも最高位に近い発言権を持つマイアラスト家を出奔して一介の冒険者に身をやつすって……盗んだバイクで走り出すのがリアルに子供の悪戯に思える所業だな。


「実際の所そんなの無理でしょうけどね。まあ20過ぎた辺りで適当に婿でも取って、面倒事はその人に全部押し付けて気ままに生きていければいいわ」


「ユーゼリカと結婚する相手は大変だね。僕は絶対に結婚したくないな、それくらいなら死を選ぶ」


「……」


「……」


「アドラは女でしょうが! ってあれ、どうしたの二人とも?」


 物凄く微妙な顔をしたユーゼリカに苦笑いを浮かべる姉、そして軽やかに突っ込みを入れるリュカであった。


「……でもまあ卒業する時はまだ13だし、成人してギルドに登録するまでは実家で大人しくしてるしかないでしょうね」


「え、両親にはそのことを話して無いの?」


「全くもって。まあ反対はされないでしょうけど、いざとなればアリサの15歳の誕生日を待って二人で抜け出すわよ」


「なんであたしが巻き込まれてるの!?」


 突然話が振られてぎょっとする姉さんの反応を見て、ちらりとこちらに目線を送るユーゼリカ。オーケイ、寸劇の始まりですね。


「冒険者になるならパーティーが必要じゃない。アドラも私と組むのならアリサを手放しても文句言わないでしょ?」


「んー……ユーゼリカなら姉さんの貞操も守れそうだしな、許可しよう」


「貞操!? アドラちゃんの言ってた危険な目って命じゃなくてそっちの意味だったの!?」


「野蛮な冒険者連中の中に姉さんみたいな女の子を放り込んだらあっというまにそういうハメ……羽目になるのは目に見えてるじゃないか!」


「あらあら今何を言い直したのかしらアドラ。過度に下劣なネタは懲罰対象よ? アームロック、逝っとく?」


「あ、はい。すみませんでした。でも正直言って見ず知らずの男たちに囲まれる姉さんの姿はちょっと想像したくない」


「ううう、自分の体くらい自分で守れるよぉ」


「そんなこといっても、冒険者の仕事って他人の目が届かないような場所で何日も過ごすようなことだってあるのよ?」


「未知の領域を歩む警戒心に日々溜まる緊張とストレス、そして切り捨てた魔物の血に昂る男たちの精神。夜闇の中で囲んだ焚火に照らし出される若い女の躰は研ぎ澄まされた野性と本能を刺激し、ついに男たちは煩悩に支配された一頭のオスと化す――」


「たった今貴様はボーダーラインを超えた!」


「があああああああ!」


「ユーゼリカ、それ以上いけない!」


「なんだこの空間……たまげたなあ」


 リュカが付いて来れなくなってきたのでここでちょっと一息。


「でも、冒険者かあ。アタシもなりたいんだけどねー」


「そうなのリュカ? だったらユーゼリカと一緒にパーティ組んだらいいんじゃない?」


「そうね、あなたなら歓迎するわよ。ついでにアドラも加えて女の子だけでパーティを組もうかしら」


「僕を加えたって足を引っ張るだけでしょ、遠慮しとく」


 というか私は男だっての。その頃には流石に女装するのも厳しいと思うぞ? いやまあ一般論でね?

 ……成人しても女装が似合う男の娘だったらどうしよう。やはり筋トレも日課に取り入れるべきだろうか……


「ウチの両親はガチガチの貴族思考に固まってるからさ。労働なんて以ての外、泥と汗ではなくインクと香辛料で手を汚せって言われて育ってきたからねえ」


「気に障るような言い方で申し訳ないけれど、獣人にしては珍しいわね。いや、獣人だからこそなのかしら」


「獣人だからだろうね。他の奴らとは違うんだってことを主張したいんだろうけど、無理してるようにしか思えないんだよなあ」


 そう言って嫌そうに顔をしかめるリュカ。彼女はその親御さんたちと異なり、財や権力できらびやかに粉飾された生活よりも己の腕一本で渡り歩く生き様にこそ価値を見出しているようだ。


「アタシの家庭環境はともかくとして、さ。アドラの言う神学ってなんのことなの?」


「そうそう、あたしも気になってたの。神様の学問ってどういうこと?」


 説明を求められた私は、ふむ、と呟いてしばし考え込む。


「僕もまだ全体像がはっきりしてるわけじゃないから、あまり明確に話すことは出来ないんだけど」


 神学、といっても実際に神様が存在しているこの世界では議論になるような事柄など存在していないのかもしれない。なんせ聖書の解釈とか教会の歴史とか言われても、世界創生から現在まで特に変遷無く一貫して伝わってきているのだろうから。

 そもそも聖書なんて存在していないし、教会も神秘的な側面はほぼ形を潜めて生活に密着した文化の一つと化している。宗教戦争? 六大神まとめて一つの宗教みたいなものだからみんな仲良しですが何か。

 神や世界に関する書物は数多く執筆されているのは確かであるが、それらは表面的な事実を綴っているだけのものであり、それを基にして何かを研究するようなことはあまり活発に行われてはいないようでもある。

 生前の世界であれば哲学的なそれも、こちらではもう少し即物的な学問になるだろう。そう、例えば……


「六大神それぞれの教会の教義を詳しく調べてその差異を考察してみたり、教会と国家の関わりについて纏めてみたりとか、そんな感じになるのかな」


「うーん……それって面白いの?」


「僕は面白そうだと思ってるけど、まあリュカを始め他の人はあまり興味がなさそうな分野だろうとも思うよ」


 神様を研究したところで使える魔法が増えはしないし、加護を得られるのでもないのだから。学者の数自体が少ないこの世界ではほぼ手つかずの方面なのではないかと考えている。

 だからこそ自分のようなろくに学の無い人間であってもある程度の功績を上げられるのではないかと思ったのではあるが。


「内容はともかくとして、学者として身を立てるっていうのはアドラには合ってるかもしれないわね」


「そうだね。部屋に引きこもって本読むだけのお仕事になりそうだし」


「失敬な、それじゃまるで僕が一人じゃろくに友達も作れない交流能力皆無の根暗な引きこもりみたいじゃないか」


 おい、そこで視線を逸らすんじゃないよ三人娘。


「でもそれって、色んな教会に伝手が無いと難しいんじゃないかな? イフェル様とアルハー様は二人が付き添えばなんとかなるかもしれないけど、他の教会は大丈夫かな?」


「ああ、それは問題ないでしょうね」


「大丈夫なんじゃないかなぁ?」


「平気じゃないか、多分」


「? そうかなあ? みんなやけに軽く言うけど……」


 んーまあそうだね。簡潔に一言で根拠を挙げるのならば。


 六大神全ての加護持ちは伊達じゃないのさ。


 二か月近く掛かってしまいましたが、なんとか本編十話までこぎつけることが出来ました。閲覧及びお気に入り登録して頂いた全ての方に感謝致します。

 筆の進みが遅くて申し訳ありませんが、これからも本作を楽しんで頂けましたら幸いです。また感想・評価を頂きますと作者はPCの前で小躍りして喜びます。猿回しの調教師気分で気軽に書き込んでくださいませ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ