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先輩、コロシです!ver.3 交通課編  作者: 双鶴


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8/11

第7話『先輩、加害者も被害者も泣いてます!』

その日の事故は、相馬にとって“初めての重さ”だった。


交差点での接触事故。

車は軽傷。

だが――


被害者は泣いていた。

加害者も泣いていた。


相馬はパニックになった。


相馬「先輩!!

加害者も被害者も泣いてます!!

どうしたらいいんですか!!」


先輩「落ち着け」


相馬「落ち着けるわけないでしょう!!

二人とも泣いてるんですよ!?

俺、どっちを慰めればいいんですか!?」


先輩「両方だ」


相馬「両方!?

俺、そんな器用じゃないです!!」


先輩は淡々と現場を確認しながら言う。


先輩「事故は“誰も幸せにならない”んだ。

加害者も被害者も、どっちも傷つく」


相馬「……そんなの、やるせなさすぎません?」


先輩「やるせないぞ」


相馬「即答!!」


被害者の女性が震える声で言う。


被害者「怖かったんです……本当に……」


相馬は慌てて駆け寄る。


相馬「だ、大丈夫です!救急車も呼んでますし、

順番に確認しますから!」


加害者の男性も泣きながら言う。


加害者「俺だって……避けたかったんだ……!

でも、気づいたら……!」


相馬はさらに混乱する。


相馬「先輩!!

こっちも泣いてます!!

俺、どうしたら!!」


先輩「泣かせておけ」


相馬「えっ!?」


先輩「涙は“心の整理”だ。

止めるな。

ただ、寄り添え」


相馬は息を呑んだ。


相馬「……寄り添う……」


先輩「事故は“悪”じゃない。

だが、“責任”は生まれる。

その責任の重さに、人は泣くんだ」


相馬「……深い」


先輩「深くない。事実だ」


相馬は二人の間に立ち、深呼吸した。


相馬「……大丈夫です。

順番に、全部説明します。

一緒に整理していきましょう」


被害者は少し落ち着き、加害者も涙を拭った。


先輩は小さくうなずく。


先輩「相馬。

お前、いい声してるな」


相馬「えっ、声ですか?」


先輩「落ち着く声だ。

現場では、それが一番効く」


相馬「……先輩、それ……褒めてます?」


先輩「寝不足じゃないから本気だ」


相馬「今日の先輩、素直すぎません!?」


先輩は続ける。


先輩「白バイに乗りたいなら覚えておけ。

事故現場で一番必要なのは、

スピードでも技術でもなく――

“人の心を落ち着かせる力”だ」


相馬は胸を打たれた。


相馬「……先輩。

俺、白バイに乗りたい気持ちは変わらないけど……

こういう“人の心”に触れる仕事も、悪くないですね」


先輩「悪くないどころか、

それが“警察官の本質”だ」


相馬はゆっくりとうなずいた。


白バイへの憧れは消えない。

だが、今日またひとつ――

**“事故は人の心を揺らす。だからこそ寄り添う”**

という現実が胸に刻まれた。


こうして相馬の7日目は、

涙と責任と優しさに満ちた、

確かな成長の一歩となった。


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