表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先輩、コロシです!ver.3 交通課編  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/11

第2話『先輩、なんでこんなに人が集まってるんです?』

事故現場は、朝の通勤ラッシュでごった返していた。


車は交差点の真ん中で斜めに止まり、

当事者はお互いに何かを叫び合い、

その周りには――


野次馬、野次馬、野次馬。


相馬は思わず叫んだ。


相馬「先輩、なんでこんなに人が集まってるんです?」


先輩「人は“非日常”に吸い寄せられるんだよ」


相馬「吸い寄せられすぎじゃないですか!?」


先輩は淡々と三角コーンを並べながら言う。


先輩「お前も子どもの頃、消防車が来たら見に行っただろ」


相馬「……行きました」


先輩「人間はそういう生き物だ。

だが、俺たちは“見に行く側”じゃなくて“片付ける側”だ」


相馬「名言っぽいけど、やっぱり納得したくないです!」


先輩「納得しなくていい。手を動かせ」


相馬は慌てて現場整理に走る。


しかし――


相馬「すみません、通行止めです! あっ、そっちは危ないです!

え、写真撮らないでください! SNSに上げないでくださいってば!」


野次馬A「ちょっとだけ!ちょっとだけ!」


野次馬B「動画のほうがいいかな?」


野次馬C「ライブ配信していい?」


相馬「ダメですって言ってるじゃないですか!!」


先輩は遠くから見て、ため息をついた。


先輩「……あいつ、声だけはデカいな」


相馬は必死に人を押し返しながら、先輩のもとへ戻ってきた。


相馬「先輩、俺、白バイ乗る前に人混みで死にそうです!」


先輩「白バイはもっと大変だぞ。

事故現場に一番に着くのは白バイだ。

つまり“野次馬ゼロの状態で全部やる”」


相馬「……それ、逆に怖くないですか?」


先輩「だから言ったろ。

白バイは“選ばれし者”だって」


相馬はコーンを握りしめながら、遠くの白バイの姿を見つめた。


相馬「……俺、いつかあれに乗れるんですよね?」


先輩「努力すればな」


相馬「努力って、どれくらいですか?」


先輩「まずは野次馬をさばけるようになれ」


相馬「白バイ関係ないじゃないですか!」


先輩「全部つながってる。

現場は“人”でできてるんだ。

人を動かせない奴は、バイクも動かせない」


相馬はハッとした。


相馬「……深い」


先輩「深くない。事実だ」


そのとき、当事者の一人が泣きながら近づいてきた。


当事者「すみません…私、どうしたら…」


相馬は一瞬たじろぐが、先輩が小声で言う。


先輩「行け。

事故は“物”じゃなくて“人”を見る仕事だ」


相馬は大きく息を吸い、当事者の前に立った。


相馬「大丈夫です。順番に確認していきましょう」


声は震えていたが、目は真剣だった。


先輩はその様子を見て、ほんの少しだけ口元を緩めた。


先輩「……まあ、悪くないな」


野次馬のざわめきの中、

相馬は初めて“警察官としての役割”を自覚した。


白バイへの憧れはまだ強い。

だが――


“目の前の人を守る”という現実が、またひとつ胸に刻まれた。


こうして、相馬の2日目は、

汗と怒号と野次馬にまみれながらも、確かな一歩となった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ