番外編『先輩、なんでこの人こんなに元気なんですか?』
交通課の昼下がり。
相馬は書類と格闘していた。
そこへ、勢いよくドアが開く。
???「こんにちはーっ!!交通課さん、今日も元気ですかーっ!!」
相馬「うわっ!?誰ですか!?」
先輩「……来たか」
相馬「知ってるんですか先輩!?」
先輩「ミニパトの新人だ」
相馬「ミニパト!?
あの、街中をちょこちょこ走ってる可愛いパトカーの!?」
???「そうですっ!ミニパト担当の――
**桜井ひより(21)ですっ!!**」
相馬「元気すぎません!?」
ひよりは満面の笑みで敬礼した。
ひより「相馬さんですよね!白バイ志望の!」
相馬「なんで知ってるんですか!?」
ひより「顔に書いてあります!」
相馬「また顔に書いてあるって言われた!!」
先輩「お前は夢が顔に出るタイプだ」
相馬「褒めてます!?」
先輩「寝不足じゃないから本気だ」
ひよりは相馬の机を覗き込み、目を輝かせた。
ひより「相馬さんって、事故処理してるんですよね!?
すごいです!かっこいいです!」
相馬「えっ、かっこいい!?
俺、三角コーンしか持ってないですよ!?」
ひより「三角コーンを持つ男は強いんです!」
相馬「そんな価値観初めて聞きました!!」
先輩「……珍しいタイプだな」
ひよりは胸を張って言う。
ひより「私、警察官になった理由は“可愛いパトカーに乗りたいから”です!」
相馬「理由が軽い!!」
ひより「でも現実は……
夏は灼熱、冬は極寒、雨の日は湿気で髪が爆発……
ミニパトは地獄です!!」
相馬「急に重い!!」
先輩「現実はいつも重い」
ひより「でも!
それでも!
“街の安全を守ってる”って思うと、頑張れるんです!」
相馬は思わず息を呑んだ。
相馬「……ひよりさん。
なんか、俺より警察官してません?」
ひより「えへへ。
相馬さんも白バイ乗りたいんですよね?
じゃあ、私と同じです!」
相馬「同じ……?」
ひより「“可愛い”とか“かっこいい”とか、
最初の理由は軽くてもいいんです!
続ける理由は、あとから見つかるから!」
相馬は胸を打たれた。
先輩は小さくうなずく。
先輩「……悪くない新人だな」
ひより「ありがとうございます!
あ、相馬さん!今度ミニパト乗ります?
助手席なら乗れますよ!」
相馬「えっ、いいんですか!?
俺、白バイの前にミニパトデビュー!?」
先輩「やめとけ。
あれは揺れる」
ひより「揺れます!!」
相馬「そんなに揺れるんですか!?」
ひより「揺れます!!」
相馬「二回言った!!」
ひよりは笑顔で手を振った。
ひより「じゃあまた来ますねーっ!!
相馬さん、今度一緒に巡回しましょう!!」
相馬「は、はい!!」
ドアが閉まる。
相馬は呆然と立ち尽くした。
相馬「……先輩。
なんか、すごい人でしたね」
先輩「お前と同じだ。
“夢が顔に出るタイプ”だ」
相馬「褒めてます!?」
先輩「寝不足じゃないから本気だ」
相馬は照れくさく笑った。
白バイへの憧れは消えない。
だが今日――
**“同じ夢を持つ仲間”ができた。**
それだけで、相馬の胸は少しだけ軽くなった。




