閉幕
「いい剣舞だったね、月」
大きな拍手が響く中、予言の子は隣の月に微笑みかけた。
「はい、そうですね」
「相変わらず冷たいなぁ。通話してるの途中で遮ったのまだ怒ってる?あれからずっと不機嫌だったけど」
「いえ、そのようなことはありません」
そう?
と、月の方へ目をやる。
予言の子は、彼の口角がうっすら上がっているのをみて目を見開いた。
「……何その顔。そんなにさっきの剣舞よかった?」
「えぇ。とても……今まででみた中で1番でした」
――――――――――
「ふぃー。終わった終わった」
メイクも衣装も元に戻しながら、レイはグデーと椅子にもたれかかった。
「レイ君!!!めっっっちゃよかったよ!!!あのハウルでさえ見惚れてたもん!」
「いらねぇよその情報」
ガゼルはずっと興奮した様子で、ここの振り付けのこの部分がとか、この時の表情が、とか恥ずかしくなるくらいに褒めちぎってくれる。
「レイ君」
ガゼルの父もやってきた。
「お、ジジイ」
「とても良かったよ。始まる前は体調が悪そうで心配だったけどあんなに綺麗な演技ができるなんてね」
「そりゃまあ、俺だからな」
ハッハッハッハッ!
と豪快に笑うラウルにガゼルもつられて笑い、俺も思わず表情が緩んだ。
プルルルルルル
「あ、悪い」
「いいよ、でてきて」
ガゼルはそう言ってラウルと一緒に部屋を出た。
キョロキョロと辺りに誰もいないことを確認し、電話に出る。
『レイ、今大丈夫か?』
「おう。何だ?」
『魔剣は無事こっちに届いた。予言の子も、自分に向けて舞ってないことには気づいてない』
「おー。それは良かった。で?感想は?」
『……ま、及第点ってとこだな』
「ふはっ」
そんな声でよく言うよ。
『あ、あと、コピーの太陽の方がそろそろ魔力が切れそうなんだが今から交代できるか?』
「わかった。すぐ行く」
ピッ。
通話を切ってレイはそのまま外へ出た。
着替えは……またあのトイレの個室でいいか。
そうやって過ぎ去っていく彼の背中を多くの人々が見つめる。
その中で、異質な視線を向ける者が1人――。
彼は連れに聞いた。
「……さっき舞ってたのってあの子?」
「多分そうだ。赤髪だし」
「ふーん。確か学院の子なんだよね?」
「らしいな。それが何だ?」
「…………面白いこと思いついた。僕たちの留学、ちょっと早めにしよう」




