完璧な君
「……うわぁ」
「なんだよ、その反応」
「いや、だって、ここまで綺麗になるとは思わなくて」
服もメイクも完璧に仕立て上げた俺は、自分で言うのもあれだが今までで1番綺麗だと思う。
やっぱ、美しいって罪だ。
「僕は本番、観客席で見てるけど何かあったら飛んでいくから。頑張って!レイ君!」
「おう。任せろ」
正直ユーゴと話す前と状況は何も変わってない。
でも、もう大丈夫な気がする。
最後に被るベールを手渡さた。
じっとそれを見つめてから、地面へポイっと放る。
やっぱりこの顔を隠すはもったいない。
髪も、俺に似合ってるんだから全部見せてやる。
「……あれ?レイ君ベールは?!」
ガゼルの声を無視して進む。
場所は予言の子がスピーチした同じ広場。
そこに後付けで設置された木製の台に上がった。
「「……え」」
静かだった場が一瞬にして騒がしくなる。
「嘘でしょ、赤髪……」
「俺あいつ見たことある。確か第三個隊の」
シャラン。
剣を振って鈴を鳴らす。
途端にそのざわめきは静まり返った。
(予言の子は……あのベールで包まれた場所にか)
大衆には見えないようにベールで包まれたテントのようなものがあった。
正面の俺が見れば中も見えるんだろうが、見る必要はない。
顔を下げて最初の構えをとる。
――チカッ、チカチカ
「……?」
なんだ?何かベールの中で光って……
(…………ユーゴ!?)
魔石を片手に持つ月の姿が見えた。
その横には予言の子が座っている。
(あいつ、そこまで信頼されてんのかよ……)
……………………待てよ。
周りからベールの中は見えないんだよな。
『次は絶対に間違えるな』
…………なるほどね。
(今度こそ、俺はお前を選ぶぞ。ユーゴ)
――――――――――
壇上に上がった赤髪を見て、人々は皆大丈夫なのかと心配したがその心配はすぐに打ち消された。
彼の一挙手一投足。
表情。
息遣い。
全員が釘付けだ。
特に、剣舞の経験者は彼の舞に込められた思いを感じ取って感極まった。
(尊敬とか、敬意とかそういう次元じゃない。彼は本当に全てを予言の子に捧げるように舞っている……!)
(何が『捧げるとか好きじゃない』だ。レイ君。めちゃくちゃ気持ちこもってるじゃん)
「……なぁ、リオン。あれ本当にあのレイか?」
「レイ君で間違いないよ。こんな特技があるとは知らなかったけど」
「ねぇ、私あのことよく知らないけど、もしあの子、赤髪じゃなかったら完璧じゃない?」
「私も思った。金髪が似合いそう」
「でもあの顔で金髪だと、それはそれで大変そうね……」




