ビジネス不仲?
ぺらっとページを捲る。
今度は月の国民のインタビュー欄だ。
月派 A氏
月様のあのクールな感じが痺れる!
月派 S氏
厨二病っぽくてカッコいい。
月派 D氏
言動全てに重みがある。信頼できる。
「…………。」
グシャッ
「え、ちょっと!僕も後で見る予定だったんですけど!?」
「いいよ、やるよ」
拳で握り潰した月のページを地面に投げ捨てる。
ラズはため息をもらしながら、それを拾って皺を伸ばす。
「なんでこうも月様と太陽様は代々険悪なんだ……」
おい聞こえてんぞ。
「せめて会議ではもっとピリピリした雰囲気隠してください。あの無言の圧がどれだけ胃に悪いか」
「俺は皮かぶって愛想よくしるっつーの。それを無視するあいつが悪い」
「愛想いい……?アレで……?」
どこ見てんだよお前。
俺の外面の分厚さ舐めんなよ。
……………………。
……ん?
ちょっと待てよ。月といえば……。
あっ
「眠くなってきた。俺もう寝るからお前帰っていいぞ」
「え?なんですかいきなり。さっき録画見る前にほっぽり出した書類がまだ……」
ぐだぐだ言うラズの背中を問答無用でドアまで押し進めて外に追いやる。
「はいはい明日やるよじゃあなバイバイおやすみ」
「ええ、ちょっ」
バタン。
「約束してたんだったわ。忘れてたー……」
時間過ぎてるけど……まあ10分ならセーフだろ。
コンコンコンコンと忙しなくノックされる扉を無視して俺は部屋の角にある床のタイルをカポッとはずし、そのまま隠し通路に入る。
「絶対人気投票のこと自慢すんだろーな、あいつ」
俺は月が嫌いだ。
これを否定する気は全くない。
ただ、みんなが思っているような仲でもない。
代々の月と太陽の不仲に例外はないが、それは俺らが神力を受け継いだ本物の月と太陽だったら、の話だ。
壁に手を当てつたいながら辿り着いた錆びついた扉。
開けるとギィっと古めかしい音が鳴った。
ここが俺の家だ。
六畳間ほどのサイズの部屋で、家具は布団しかないが。
「おう、レイ。おかえり」
「ただいまー。遅れて悪い」
敷布団の上でまた寝転んでいた月、ことユーゴがこちらを振り返る。
って、おい。代々受け継ぐ月様の神聖なローブを俺の布団の上に置くな。
「なぁ、お前これ見たか?」
ユーゴのローブを適当にどっかにぶん投げでボフッと布団の上に尻を置いた。
すると、ユーゴは昼の新聞を広げて見せてきた。
ほらやっぱり。
「うるせー黙れ死ね」
上から手を振り上げ破ってやろうとしたがヒョイと避けられる。
「やめろ、これしばらく壁に飾るんだから」
「は?キッモ。4%勝っただけで調子こくなよ、厨二病」
「うるせ。48パー」
「%で呼ぶなクソ」
ユーゴは鼻で笑い、俺の方は見ずに新聞を眺めたまま。
こういうところが本当に、もう、嫌いだ!
ばっと新聞を奪い取ってさっきと同じようにくしゃくしゃにしてユーゴに投げ飛ばす。
「ったく、ガキかよ」
呆れ顔で転がった新聞をつまんで直すユーゴに俺は背を向けて寝転んだ。
あーあ、こんなののどこがいいんだか。
こいつだって俺に負けず劣らず化けの皮被ってんぞ。
しかも、俺以上にタチの悪いサディスト野郎。




