赤の異物
ザワザワ、ガヤガヤ。
はしゃぐ子供。
友達と楽しそうに店を回る学生。
それを見守る大人たち。
この中に紛れている異物は、、、、
俺か。
ドンッ
「おい、ちゃんと前見て赤髪野郎!」
通りすがりに肩がぶつかった。
フラフラと歩いていたせいでそんな些細な衝撃にでも尻餅をつく。
俺を見下ろしてそう吐き捨てた男はフンと鼻を鳴らして背中を向けた。
「…………うっせえよクソが」
ボソッと発された声だが、その男には届いていたらしい。
「あ?今何つった?」
ピタッと足を止めて再びこっちに近づいてくる。
「おい、てめえ今なんて……っ!?」
ギリギリギリギリ
「うっせえっつってんだよ」
「ううぅっ」
その男の巨体を襟首を掴むだけで持ち上げた俺に、周囲はヒッと悲鳴を上げた。
「ク、クソ離せこの……!うわあっ!」
ベシッ
地面に叩きつけられた男はケツをさすりながら後ずさった。
「何赤髪に喧嘩売ってんだか。犯罪者予備軍ってか、もうほぼ確で犯罪者のやつじゃん」
「体格差で勝てると思ったんじゃねえの?あいつ弱そうだし」
「シッ!聞こえるって」
「ハズレ色には関わらないのが一番だよ」
「それに比べて、予言の子の金髪は綺麗だなあ――――」
………………………………。
……でっけえ声。
全部聞こえてんだよ。
こいつらも、さっきのやつみたいに――
「ちょっと待て、君……レイ君か!?どうしたんだ、すごく顔色が悪いぞ」
「……何だ。ジジイ」
顔を上げるとそこにいたのはガゼルの父がいた。
「大丈夫か?そろそろ剣舞の準備の時間だが……緊張してるのか?」
「……まあ、そう、そうだな。1人で落ち着きたいんだけど、控え室みたいなのはねえのか?」
「それならもちろん用意してある。本番用の剣もそこにあるから、行ってくるといい」
「分かった」
「あ、待ってくれ。今更だがこんなこと頼んで本当に悪かった。君が嫌がっていたのに、引き受けてくれてありがとう。頑張って」
「ほんと、今更だよ」
軽く笑って去っていくレイの背中を見て、ガゼルの父は一抹の不安を覚えた。
(あんな顔で笑う子だったか……?)




