本当と嘘
1000年以上も前の話。
人間は魔族と共存していた。
当時の王が平和を好んでいたこともあり、はじめは共存に反対していた者もいたが、彼の説得でしだいに賛成派に変わっていった。
今までになく平和だった。
魔族とも良好な関係を築けている、と人々はみな思っていた。
実際そうだったはずだ。
しかし、戦争は起こった。
魔王が何を狙って戦争を仕掛けたのかはいまだにわっかていないが、魔族が人間より体格、魔法、全てにおいて優っているということに気づいたからだろう。
そして、その時に現れた救世主が――そう、今で言うところの月と太陽だ。
2人の力で人間は滅びることなく、今のように魔族と住む世界を隔てて生きながらえている。
魔族と互角以上に渡り合えた彼らの力は代々信託によって受け継がれていった。
ある日突然、2人のどちらかに神託が下され次へ、また次へと彼らの神力は受け継がれていく。
時代が経つにつれ、月と太陽がどの代でも仲が険悪なこと、同じような性格のものが選ばれていることなどが分かっていった。
それに例外はなかった。
17年前までは。
17年前、今から二代前の太陽が受けた神託は今までとは違うものだった。
『次期太陽は人類を救う。金髪に紫色の瞳の男。今この瞬間に誕生した者』
金髪に紫の瞳――。
金髪の中で最も希少な組み合わせで、容姿端麗、高貴、気高い、繊細、素直、純粋などが特徴としてあげられる。
現に今この時代に金髪紫目は2人しかいない。
そのためその神託が下った瞬間に産まれた金髪紫目の子供はすぐに見つかった。
彼は早期に太陽としての教育を受け、5歳にして流行病を治すという偉業を成し遂げた。
予言の子と呼ばれる彼を皆慕った。
まだ子供ではあるが、もう太陽の職につけてもいいだろう。
誰しもがそう思ったが、前月は彼が成人するまではと代理の太陽を立てた。
それが今の太陽だ。
あと一年、予言の子が成人し太陽となるのをみな待ち侘びている。
あと一年……。
そう、あとたった1年――――。
「一年後、太陽としてみんなの前に立てるのを楽しみにしているよ。今日は僕のためにこんなに素晴らしい祭を開いてくれてありがとう。みんな十分に楽しんでね」




