当日
エアフェスタ当日。
あたりを見回せば食べ物の屋台や子供向けに設けられた紙芝居などの出し物が並んでいる。
その中で特に予言の子に関連するものには多く人が集まっていた。
ある少女はそれを見て父に聞く。
「よげんのこ?よげんってなに?」
「ん?あぁ、それはね、神様からいただいたありがたいお言葉のことだよ。神様は、予言の子が将来太陽になって人々を救うとおっしゃったんだ」
「ふーん……。じゃあよげんのこは今のたいようよりえらいの?」
「んー……。ちょっとそこは難しいなぁ。今の太陽様も頑張ってるし」
「でもすくってくれないんでしょ?」
「いや、別にそういうわけじゃ……イタッ」
ゲシッと尻に衝撃が走り、その父親が振り向くと
そこには見るからにガラの悪そうな大柄の男が立っていた。
「いい加減なこというとその嬢ちゃんにもよくないぜ。いいか、嬢ちゃん。今の太陽は予言の子がまだ子供だからって地位を譲らないゴミだ。よく覚えときな」
「ごみー?」
「そうそう、ゴミ」
娘からごみという言葉が出たことにショックを受け、父親は慌てて娘の耳を塞ぎその男を睨みつける。
すると、横からスッと誰かが間に入った。
キラキラと金色に輝く毛先と、根元の青がグラデーションになっている特徴的な髪色の青年だ。
そばを通りかかる人は皆一度は振り返る。
なんていったって、金色はこの世界で最も希少な髪色だから。
「お前、その髪……」
その男もその髪色に目を見開く。
しかしその青年は構わず言葉を遮った。
「おっさん、さっきなんて言った?」
ガタイのいい体をかがめしたからずいっと覗き込まれた男は無意識に一歩下がるが、その青年はさらに顔を近づけしっかり見つめる。
「太陽がゴミ、かぁ。それってさ」
明るいトーンの声色で、口角だけが上がった笑顔。
男は言葉に詰まる。
「今の太陽様を慕ってる学院生のこともゴミっていってる?」
「っ、…………」
シン……。
ポッカリと穴が空いたように賑わっている屋台は彼を中心に静まり返った。
何も言えずにいた男に、もう興味は失せたとでもいうように背を向けた青年は、元いた友達の元へ戻った。
「ちょっと、ダウト。ただでさえ目立つんだから余計なことしないでよ」
小柄な緑色の髪色の青年が嗜めるように言った。
それにダウトと呼ばれた青年は口を尖らせる。
「余計じゃないもーん。あいつが悪いー」
「でも実際、現太陽を慕ってる学院生ってダウトぐらいだけどな」
紫色の髪の青年はクスッと笑った。
「太陽科の生徒ですらそれなの普通におかしいから。俺は正常。お前らが異常!」
「ダウト声大きい。みんな見てるよ」
チラッと目線を動かす。
バチっと近くにいた人と目があった。
「んー、やっぱこの髪色って目立つ?」
「まぁ、そりゃ……」
「金髪なうえ、グラデーションだしなぁ……」
数千人に1人。
その確率で産まれる金髪は希少な上、皆揃って高いカリスマ性を持っている。
それだけでも珍しいのだが、彼、ダウトの場合は金髪のグラデーションというさらに珍しい特徴がある。
「それにしてもなんで変色期に変わらなかったんだろ?変色期に髪色が変わるのは別に珍しくないのに」
グラデーションは″変色期“という性格の変化に合わせて髪色が変化する時期を過ぎてから色が変わる場合に起こる。
「そりゃ、ダウトの精神の成長が遅いからでしょ。だから時期逃して中途半端に染まるんだよ」
「誰が中途半端だ!この緑小僧!」




