actboy
「太陽様!月様に人気投票で三度目の敗北をした今のお気持ちは?」
「先の会議で月様との会話が一切なかったというのは本当ですか?!」
「いつ素顔を公開するおつもりで?」
「髪色を教えていただきたい!」
何人もが一ヶ所に集まり1人の男を囲む。
その男は長いローブに顔を全て覆い隠すベールを纏って、まるで神聖な存在であるかのようにそこにいた。
その表情は誰も見ることができないが、彼から漏れたふっという笑い声が、彼を取り囲んでいたメディアの関係者に清らかな笑顔を想像させる。
「僕は確かに月と仲がいいとは言えませんが、かといって競うつもりもありません。彼とは得意とすることが違っていますのでね。僕が目指すのはただ、みなさんを照らす太陽であり続けること、それだけです」
おおー、と大袈裟な感嘆が漏れた。
「素晴らしい考えでございます!」
側で控えていた幹部が言う。
太陽はそれに満足そうに笑った。
「はははは、そうでしょう。ハハハハハハ…」
ピッ。
「はー、クソキモ。これが俺とか信じられねえわ。オエッ」
魔石で録っておいたつい数分前の自分をスクリーン越しに見てえずく彼は、言葉遣いも声のトーンもガラリと変わったがその録画の人物で間違いない。
1000年以上前の英雄が遺した『神力』を受け継ぎ、『月』と並んで対魔組織の頂点に立つ現『太陽』だ。
「同感です。僕も見てて眩暈がします」
「黙れラズ。クビにすんぞ」
「側近が僕じゃなくなれば、その演技を一日中続けることになりますよ?それでもいいならどうぞご自由に」
「チッ……」
太陽の素を知ってるやつがこれ以上増えるわけにはいかねえ。
ラズだってバレたから仕方なかっただけだし。
あー、これがなかったらもうとっくにクビにしてたのによ。
「もういいから、あれとってきて」
「あれって何ですか?」
「わかんだろ。今回のやつだよ」
「……あぁ、あれか。もういい加減諦めたらどうです?」
「無理」
ラズは棚からある新聞を取り出した。
それには
『あなたは月派?太陽派?気になる結果発表!』
とデカデカと表紙に書かれている。
これはいわば月と太陽の支持率の投票だ。
代々真反対な性格で、対魔組織内部でも月派、太陽派が二極化してる。
この対立構図がエンタメ的にウケるんだろうが……。
正直こっちからしたらとんだ迷惑だ。
引っ掴むようにそれを受け取ってソファにドカッと座る。
ぐしゃぐしゃになったローブを見て、ラズはそっと眉間を押さえた。
「月52%、太陽48%……。4%差か」
「歴代に比べたらいい方ですよ」
そりゃそうだ。
前々太陽なんかは町中に自画像立てるくらいに痛かったし。
それ以前も同じく電波野郎ばっかだった。
でも俺は違うだろ。
俺に人気がねえのは、全部あいつの
(予言の子のせいだ)
『現太陽の地位はもう予言の子に譲るべき』
メディア関係者も、幹部も、対面では俺をおだてるが必ず頭のどこかではそう思ってる。
国民のインタビュー欄にその言葉ばかりが並んでいるのがその証拠だ。
「……死ねばいいのに」
「?何かおっしゃいましたか?」
「何でもねえ死ね」
「うわ、なんてさりげない暴言」




