異世界ミリタリー、美少女アイコンは微笑まない
「タケミツ様、兵は逃げたみたいですね」
「またか、銃の恐ろしさが分かったのだな」
僕はしがない高校生だった竹光満。いわゆる異世界転移をした。
能力は現代武器召喚能力だ。
「じゃあ、行くよ」
今、僕の手には89式5.56ミリ小銃がある。
AASNIで実績のある銃だ。
「タケミツ殿、村は人がいません」
「またか・・・」
これは正統な戦いだ。王国の依頼を受け。今、僕はダキア王国を攻略中だ。
と言っても、帝国と戦う前のほんの腕ならしだ。
国境沿いの村を攻略して戦い方を覚える。訓練だ。
僕たちが戦って、後ろから騎士団が来て占領する作戦だ。
「あの建物にダキア王国の旗がありますわ」
「そのようだな。シリア」
僕の相棒は、女騎士のシリア、長い金髪を束ね。顔は細いが美人だ。エルフの血がはいっているそうだ。
「ねえ。今度は二人で行かせてよ。想定はどうする?」
「アマリア、そうだね。訓練で行こう。でも、気を抜かないで、ギミックに気をつけて」
女戦士、アマリアだ。黒髪のショートヘアーに豊満な体を持つ。
今夜はあの屋敷で3Pをしようか。
「想定は。どうせ。無人だろうけども、10人いるとしよう・・・」
訓練動画でも想定を間違えると炎上案件だった。
「良いですわ。圧倒できますわ。でも、銃の調子が悪くて、エスダ、油取って」
「・・・はい」
忘れていた。もう一人いた。女奴隷のエスダ。荷馬車をひかせている。リヤカーだ。
ここに召喚した武器弾薬を入れている。
元貴族でお高かった。あと少し体が大きくなったら4Pだ。
しかし、愛想が悪いな。ジト目系ヒロインか?
最近、銃の調子が悪い。これは、AKにした方が良かったかな。
「いいか。作戦を言う。ドアを開けたら、一斉射撃をして、シリアが後ろで、アマリアがアタッカー、エスダは、食事の準備をして」
「「はい」」
「・・・はい」
「では、ゴー!」
カン!
あれ、屋敷の前で、アマリアの体が大きく揺れた・・・倒れた!カンって音がしたけど、足を取られたか?
シュン!カン!
「キャア—!」
シリアも倒れた。カンって鎧を何かが貫通した金属音だ!
「ウギャー!」
僕の肩が熱い!まさか、
「撃たれたのか!」
☆☆☆300メートル先森林ダキア王国陣地
「マツナガ殿、三名に着弾しました・・」
「ああ、そのようだな」
「あの荷馬車を引いている女は・・」
「ありゃ、無害だ。武器を持っていない」
俺は松永康夫・・32歳、日本人、まあ、転生者だ。転移者か?日本での肉体は無くなっているらしいな。
俺は64式7.62ミリ小銃の脚をしまい。立ち上がった。伏せ撃ちで現代武器を使う日本人たちを射殺したのだ。
ホコリを払い。負ヒモで銃を吊し、銃を腰で構え。ダキア王国軍の騎士達と前進した。
数分かけて現場に到着した。
女二人は即死。
男は、高校生くらいか。まだ、息をしている。
ボロをまとっている女の子は・・・奴隷か。嫌だな。
「はあ、はあ、はあ、おっさん?日本人?何故!」
「何故って、君がいるのだもの。俺がいたっておかしくないだろう?」
自衛隊指揮システム人物評定発動!
と俺は心の中で唱える。
彼は・・・まあ、いわゆる兵士で終わるタイプだ。
軍隊は管理職だ。初年兵でも二年目に後輩がつく。後輩を管理しなければならない。
管理出来ない者は、兵士で終わる。よくて、上等兵か。日本なら陸士長か。
皮肉ながら、日本の場合、ミリオタほど、軍隊に不向きな人種はいない。
アメリカなら、銃はスーパーで買える。銃が生活に根付いているから別の見方も出来るが・・・まあ、米軍なら不適合者は継続できない。
若手将校が一人、おっさんは、お目付役の先任曹長だけ、後は全て若者なんて中隊をみたことがある。
循環は早い。
それから尋問だ。
「はあ、はあ、僕の銃・・・」
銃を取り上げる。89式か・・・ダメだ。分解して整備していないから装弾不良を起しやすい。外から油を差しやがったな。火薬のカーボン繊維と混ざって、ねっとりとなっている。
弾倉は30発入りか。取り回しが悪くなる。近接戦闘に特化しているのかしていないのか分からないな。
銃口は・・・切り替え軸部を安全装置の『ア』にして銃口をのぞき込んだ。
「土が詰まっている。おい、お前、もしかして、銃口を地面にさしたのか?」
「はあ、はあ、そうだよ。休憩中の銃の置き方・・・これも・・・」
「ネットの知識か」
ネットか、俺、日本時代、SNSでは美少女アイコンによく絡まれたな。
☆回想
『〇国の戦車がウクライナ戦争で損失しました。破壊されなかったという神話は崩れました!〇国国防部の発表、乗員は無事だったと悔し紛れに言っています』
>やはり、日本の90!
>軍隊には損耗率というのがあって、まあ、上出来、でも、乗員は無事だったと発表したのは苦しいな。
俺は・・・
>いや、乗員が無事ならすごいことじゃないか?戦車や装甲車は撃破されて当たり前。中の兵士が無事かどうかが最重要事項だよ。悔し紛れじゃないと思うね。
と書き込んだ。
すると、いつも、どこから目線か分からない美少女アイコンたちが現れる。
>税金は?納税者は黙っていませんよ。
>武器の性能を楽しく語る場所なの。似非ヒューマニズムはいらないね。
>そうだ。武器は如何に人を効率的に倒すかだけにある。壊れたら意味ないね。
イキリ陰キャか。まあ、どうでも良くないか。時々、美少女アイコンたちが怖くなる。SNSはやめよう。SNSと俺の相性は悪い。
・・・・・・・・・・・・・・
「マツナガ殿、敵の後詰めが来ております」
「距離は?」
「三百から四百!」
ダキア王国軍にミル物差しをあげた。距離を測る方法だ。
俺は89式を撃ちたくなった。
カチャ!カチャ!
銃は必ずジャムるものだ。経験則でいうと千発に一回か?でも、
銃がジャムった時の対処法には二つある。
一つは薬室をあけて、銃の弾倉の底部分を叩く方法だ。
今やっているのは手動で薬莢を強制排出だ。
コウカンを手動で動かす。
銃口に土が詰まっているが、大丈夫だろう。
バババン!バババン!ババン!
三連斉射で撃った。
自動小銃は連射機能がついている。しかし、連射機能を使うと、わずか数秒で弾倉が空になる。
だから、3発で連射が一回止る仕様だ。
「敵は驚いて退散したな。これでよし。ところで、君、何で銃を分解しようと思わなかったの?」
「はあ、はあ、全バラシは危険だって・・・」
「ネットで言っていたか。そうか、もういいや、軍監殿、報酬をもらい受ける」
「しかし、マツナガ殿・・・我国に仕官して頂けないのなら、こやつをもらい受けたい。騎士、兵士が300人以上、村が3つ壊滅した・・・」
「それは、俺の知ったことではない。国王陛下との約束だ」
バン!バン!
躊躇無く殺した。
彼は貴重な資源だ。魔力が枯れない限り武器は召喚続けるだろう。
国王陛下との約束は転移者の命も含めて全財産をもらういけるだ。
荷車に積んでいた武器類は、穴を掘り。
俺が召喚したTNT爆薬を抱かせて、敬礼した後、導火線に着火した。
ズドーーン!
爆破した。量産型だが、銃を大事にすると応えてくれる感触が好きだった。
来世では大事にしてくれる主人と出会えれば良いなと思う。
軍監は不服そうだ。
「奴隷の子は解放だ。自由だよ」
奴隷の子は、美少女だな。金髪に碧眼、元は貴族か?歳は14歳くらいか。体が細い。奴の女か?
荷車に積んでいた食料とお金を半分あげた。
そして、俺は急いでダキア王国とは別の国に行く。
しかし、女の子はついて来る。
「君・・・申訳ないけど、ついてこないでくれる?」
「・・・自由だからついていく」
俺はこうして、元女奴隷の子と旅をすることになった。
☆☆☆
「うほ、これは銃でござるな!」
宿屋で食事をしていたら、転移者がいきなり銃を触ろうとしてきた。
ガギ!
思わず銃床で打ち据えた。
「いたい!」
日本人だ。世界有数の銃規制のおかげでマナーが分かっていない。
いきなり騎士の剣を掴んだらどうなる。そういった想像力がない。
こいつも、軍事マニアか?
>武器は道具にすぎない。如何に効率よく倒すか。それに尽きる!
と美少女アイコンが勇ましく言っていたな。道具であって道具ではない。命を預ける相棒でもあるのだ。
それにしてもデブだな。
「異世界転移して、事務系のスキルで不安です。でも、いきなり、殴ることはない!」
どうしようか、説明面倒くさい。
いたな。高校の同級生に、ナイフや護身術、はては銃の撃ち方を電動ガンで練習している奴が、そいつはヒョロガリだった。
体を鍛えるのが先だろうと思ったものだ。
「あのな。まず。自分の技能を磨け。事務系なら体力が必須だよ。体力があって、思考に余裕が出るのだ」
「そんな・・・」
「じゃあ、いこうか」
「・・・・うん」
ついて来た奴隷の子の名前を知らない。ついてきているだけだ。
しかし、食事代ぐらいは出すようにしてあげた。
野営の時は、見張りが必要だ。その報酬だ。
しがない冒険者で俺は一生終わるのか?
すっかり安心したときに、それは起きた。
「・・・マツナガ・・」
木を背にウトウトしている時だ。か細い声で起きた。
彼女は、銃を構えていた。
しまったな。
「動いちゃ・・・だめ・・」
「ああ、そういう選択か、それも良いな・・」
彼女は弾込めまでしていた。俺の動作を見て覚えたのだ。
やはり、侮れないな。いや、俺も愚者だった。この異世界を舐めていた。
しがない冒険者でも生き残れたら御の字ではないか?
彼女は目をつぶって、引き金を引いた。これは失格だ。
バン!バン!
「ウギャー!」
俺の後ろから悲鳴が聞こえた・・・
これは・・・
「隠蔽術だよ・・・多分、数日前からずっと潜んでいた。マツナガがくるのを待っていた・・・目的は武器とマツナガ自身だよ。返す」
そうか、休憩しようとする場所を見抜かれ先回りされたのか。
「おれは松永康夫、君の名は?」
「エスダ・・・家門は無くなった。赤子の時に無くなったから分からない」
やはり、元貴族令嬢か。
初めて、相棒が出来たようだ。
軍隊は集団で戦う。そんな単純な基本を思い出した。二人から集団で戦術の幅が大きくなる。
彼女に武器を教え。基本的なことを教えた。
だが、
「マツナガ~」
今年で15歳、美少女すぎるから、顔になれるにはもう少しかかる。美少女アイコンのトラウマを克服しなければならない。
最後までお読み頂き有難うございました。