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レイチェルさんの好きなもの

レイチェル「はあ…」


小高い岩石でできた丘の上にレイチェルは鎮座して

いました。しかしその姿は人間のものではありませんでした。


レイチェル「満月だとこんな姿になるって、物語の

      中でもあるまいし、お母さんとお父さん

      もよく子供を作ろうと思ったよね」


狼の母と魔者の父との間に産まれたレイチェルは

人狼で、今は四足歩行の狼の姿になっていたのです。


レイチェル「もう嫌なんだけどこんな人生。

      特段やりたいこともないのに怒りが

      溜まっていく一方通行な私の道とか

      早く捨ててしまいたいわ」


レイチェルは人生を全うすることに対して大それた

理由がないと考えていました。生物的には子孫を

残して血を繋いでいくという本能が少なからずある筈ですが、魔者の血が入ってしまったことでそれすらも中途半端になってしまっているのです。


レイチェル「私、仕事とか未来とかより、仲間が

      ほしいのかも…」


なんていうことを思ったり思わなかったりする

レイチェルは、非常に情緒が不安定でした。

人一倍怒りを感じやすく、その怒りの矛先は仲間にも向けられているのです。怒りを感じず穏やかに過ごすことができる時もあるにはありますが、

簡単に打ち砕かれるのがオチでした。

そんなレイチェルにはつい最近転機が訪れました。


カルラ「私はカルラ!立ち上がってからは1日も経って

    ないけど、産まれてからは20年くらい

    経ってるよ!よろしくね!!」


とても愛らしい姿をした小さな女の子。一目見た時

にはレイチェルにしては珍しく「可愛い」という感情を持ちました。


レイチェル(あの子、とっても可愛い…)


レイチェルは気がつけばカルラに声を掛けて

いました。しかしいつものように冷ややかな態度で

無意識に接してしまいました。


レイチェル「…ねぇひとついい?貴女…甘いもの

      好きなの?」

カルラ「うん!大好き!」


冷たく接してしまったけれど、カルラは気にして

いない様子です。


レイチェル「じゃあ可愛いリボンとかは好き?」

カルラ「お姉ちゃんが持ってるリボン?」


何の因果か、たまたま持ち合わせていたリボンが

会話のきっかけとなったのです。


レイチェル「貴女に似合うと思うの。少し頭につけて

      みてもいい?」


ファッションなんて知らないレイチェルは、

ぶっきらぼうに頭に飾ってみました。


カルラ「うわぁ!とっても可愛い!!私このリボン

    欲しい!」

レイチェル「全然いいわよ。そのままあげちゃうわ」

カルラ「いいの?!やったー!」


レイチェルの顔には珍しく笑顔が浮かんでいました。

満更でもなさそうな顔です。レイチェルは何だか

嬉しい気持ちで満たされました。


レイチェル(可愛いなぁ。とっても可愛い)

メアリ「案外子ども好きなのね」

レイチェル「は?五月蝿いわよ」

ナンス「幼女趣味でもあんのか?」

レイチェル「違うわよ!!」


レイチェルはカルラのことをとても気に入ったの

です。最早カルラがいないとやる気が出ない程に、

珍しく一個人に依存していました。


レイチェル「もう寝ようかな。明日はカルラが遊びに

      くるし体力は温存しておこう」


レイチェルは否定するでしょうが、幼女趣味があると言っても差し支えがないほどカルラを溺愛していたのでした。





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