27話
≪ケー…… レラ…… ガハッ≫
最後にその一言を残してクラーコは死んだ。
強敵だった。こちらが負けていた可能性も高かった。
しかし悠里は強敵を倒した爽快感よりも、その最後の言葉へのばつの悪さを感じていた。
思わず無言になる悠里。
≪た たおせましたね ユーリさん……≫
だがそんな彼に構わず、ストーリーは勝手に進行していく。
≪このりゅうぞく すさまじいパワーでした。 こいつを もってかえれば なにか つくれるかもしれません≫
感傷的になる悠里だが、しかしポッポロンは非常に現実的だ。
そんなセリフを見て、悠里の感傷はすぐに引っ込んだ。
「あー確かにね。こいつ、他の奴らとはかなり違ってたからな」
これでイベントは終わったらしく、メッセージウィンドウがそれ以上開くことは無かった。
ポッポロンの言葉を受け、悠里は倒れたクラーコの死骸を調べてみる。
”クラーコの したいだ”
”もって かえりますか?”
はい いいえ
「なんか、”はい”押すとすぐ戻りそうだな。一旦”いいえ”押そう」
はい ⇒いいえ
まだ砦を探索し終わっていない。
一旦”いいえ”を選択した悠里は、それよりも、と呟く。
「回復魔法覚えたっぽいから確認しよう。もうHPがヤバイことになってるからな。画面が真っ赤っ赤だ」
システムウィンドウを開くと、コマンドの白枠も赤に変わっている。
悠里はすぐに魔法欄を開く。
見てみると確かに、ユーリが新しくアースヒールを使えるようになっていた。
「今覚えるんかこれ。もうレベル30超えてるぞ。こういう回復魔法って、結構初期に覚えるもんじゃねぇ? これ覚えてたら、さっきの戦闘も楽になったかもしれないのに」
文句を言いつつも、ユーリとポッポロンにそれぞれ魔法をかけていく。
回復薬が尽きたため、このタイミングで覚えられたのは運が良かった。
回復量も40程度でそこそこある。
MP消費が6と微妙に高かったが、回復手段が乏しい今、悠里にとっては相当に嬉しい魔法だった。
HPを回復したら、今度はMPだ。
回復薬は尽きたが、携帯食はまだ沢山ある。
二人に携帯食を二つずつ食べさせ、ある程度戦えるようにしてから、悠里はまた砦の中を探索し始めた。
「エンカウントしなくなってるな。ボス倒したからか?」
クラーコを倒す前はひっきりなしに襲ってきた竜族が、ぱったりと遭遇しなくなっている。
悠里は砦の襲撃イベントが終わったのだと理解した。
そのまま悠々と砦の中の探索を進める。
すると最奥の部屋で、机の上に地図らしきものが置かれているのを発見した。
”ユーリは なにかのちず を てにいれた!”
「何かの地図ねぇ。これを手掛かりに次進めってわけだな?」
悠里は早速アイテムからその地図を選択する。
すると、四方を山に囲まれた荒野が画面一杯に表示された。
「山に囲まれた盆地か。マジでなんも無い場所だなここ。……で、だ」
その荒野の中に、バッテン印が書かれている場所が四つあった。
一つは荒野の北に。一つは荒野の西に。一つは荒野の南に。
そして最後の一つは、荒野の外れ、最西端にあった。
また北にあるバッテンは丸で囲まれていて、残り三つはバッテンのみ。
何かの位置情報であることを悠里はすぐに察した。
「こいつらの町か、砦か……だな。丸が付いてるのは今いる場所だろ。なら話は早いな」
悠里は地図を閉じた。
「他の場所に行けってことだよな? これは」
次の目的が明白になった。
ユーリは砦の探索を終え、集落に帰ることにした。
また荒野を歩いて帰るのかと、悠里は億劫になる。
しかしクラーコの死体を持って帰る決定をすると画面が暗転し、一瞬で集落へと戻ることができたのだった。




