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決意

 いつも通り晴斗の席の周りには架純、祐希、千里、玲香の姿がある。


 クラスメイト達は男女関係なく、嫉妬の視線を向ける。中には違和感を抱くクラスメイトもいる。晴斗が学年でも有名な美少女と一緒にいることに。


 実際に晴斗自身、一緒にいること自体がおこがましいと自覚しているぐらいだ。


 しかし、彼女達はそれを気にせず話しかけてくる。


 正直なところ、この空間に慣れてきた自分が怖い。だから1つの決意をする必要があった。


「みんなに伝えたいことがあるんだけど。いいかな? 」


 勇気を振り絞って晴斗は話を切り出す。今まで自分から話を切り出すことなんてなかった晴斗にとって大きな進歩だった。


 だが、そんなことを知らない美少女人は、首を傾げて疑問符を浮かべる。


「どうした? 改まって……」


「……何だろうね? 」


「もしかして告白ですかぁ~!? やだー! 」


「いや、違うけど……」


「なんだ違うのかよぉ~!! 」


 落胆する祐希に対して晴斗はため息をつく。


「……で、伝えたいことって何かな?」


 千里が本題に入るよう促す。


「ああ、実はさ。俺は君達4人といること自体が立場的におこがましいと自覚してるんだ。クラスメイト達も何で陰キャのあいつが一緒にいるんだと感じてるともう」


 そう言い切ると晴斗の言葉に耳を傾けていた4人の顔色が変わる。


「おい晴斗……。それは本気で言ってんのか? 」

 

「えっ? うん。だってそうだろ。俺みたいな奴と一緒にいてメリットなんてないと思うし」


「……」


 4人が黙り込む中、沈黙を破ったのは千里だった。


「あのねぇ~。別にメリットとかそういうのじゃないんだよ。ただ私達が勝手にやってることだし」


「でも……」


「それにね。私達は一緒にいたいと思ってるんだよ白中君と。だからそれ以上もそれ以下もない。わかった? 」


 千里以外の3人を同意を示すように、頭を縦に振る。真剣な表情で晴斗を見つめながら。


「その言葉は嬉しいよ。でも俺は決意したんだ。君達4人と一緒にいても不思議に思われない人間になりたい。運動も勉強も立派にできる人間になるって」


「なるほどね。それが君なりの答えか……なら私達からのアドバイスだよ。まずは自分の気持ちに素直になること。そして、もっと自分に自信を持つ事。そうすれば自然と結果がついてくるから。」


 千里は優しい笑みを浮かべると、晴斗に手を差し伸べた。


「これからよろしくね。白中君」

 

差し出された手を見て一瞬戸惑ったが、晴斗はその手を握り返した。


「晴斗の望みは叶えなければならない。運動と勉強が両立できるようにあたしは協力するぞ! 」


「当然私も! 」


「玲香も!! 」


 架純達も晴斗の手を握る。晴斗と千里の手に被せるように。


「みんな……ありがとう」

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