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息子を溺愛

「晴斗~朝よ~」


 平日の午前7時。晴斗の母親の洋子が起こしに来る。


「すぅすぅ」


 一方、ベッドの上で晴斗はリズミカルに寝息を立てる。熟睡だ。


「ねぇ晴斗! 起きてってば!! 」


 洋子は熟睡する晴斗の身体を揺する。


「…もうちょっと…寝か…せて」


 寝ぼけながら、晴斗は無意識に応答する。言葉を選んだ記憶はない。


「もぅ。まあ仕方ないわね。疲れてるのよね。じゃあ、今日は学校や休んでもいいから。お母さんと一緒に寝ましょ! 」


 洋子は薄く微笑みを浮かべる。どこか嬉しそうだ。


「よいしょっと。お邪魔します」


 躊躇せずに洋子は晴斗のベッドに侵入する。


「本当にかわいいわね。息子だからかもしれないけど」


 優しく洋子は晴斗の頭を撫でる。


 気持ちいいのか。晴斗の顔も熟睡しながらも、わずかに綻ぶ。


「ふふっ。かわいい」


 ギュー。


 洋子は晴斗を抱きしめる。晴斗の顔が洋子の胸に覆われる。


「うぅぅん。なんだ? 」


 徐々に晴斗の意識が覚醒する。洋子の豊満な感触が心地よい。だが、それと同時に違和感から目も覚め始める。


 晴斗の視界がだんだん明瞭になる。嗅覚も稼働し始め、洋子の大人の香りがする。


「はっ。これは胸? それにホールドされてる。どうして? 」


「ふふっ。驚いちゃって。おはよう晴斗。安心して私の胸だから」


 安心させるように優しい口調で洋子は説明する。


「そういうことか。って何でお母さんが俺のベッドにいるのさ」


 当然の疑問が反射的に口から飛び出す。


「それは。晴斗が起こしても起きないからよ。正直、今日は晴斗を休ませて一緒に寝るつもりだったんだから」


「いやいや。それにしても最近、寝て起きたら隣にいること多くない? 」


「当然よ。息子が可愛くて仕方ないもの」


 誇るように洋子は得意げな顔を形成する。


「そろそろベッドから起きなさい。学校に遅刻するわよ。学校は休まないんでしょ? 」


 洋子はベッドから降りる。


「朝ご飯もうできてるから一緒に階段降りようか? 」


 洋子は晴斗に向けて右手を差し出す。どうやら起き上がらせてくれるみたいだ。


「…うん。…ありがとう」


 そっぽを向きながらも、晴斗は洋子の手を取り、立ち上がった。

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