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彼女は再び接触

「ねぇ。白中晴斗君。ちょっといいかな? 」


 玲香は晴斗の教室を訪れ、晴斗に接触する。


 今は休み時間なため教室内は騒がしい。クラスメイト達は各々雑談に勤しむ。趣味や授業などに関する話に従事する。


「お、おい! どういうつもりだよ。このいじめの被害者に玲香が何の用だよ! 」


 慌てて岸本は玲香の元に駆け寄る。動揺と不安が岸本の顔中に走る。現実を疑うような目も作る。


「うるさい外道。それと名前で呼ばないでくれる? 既に別れた身なんだから」


 冷酷な口調で玲香は告げる。心底嫌そうな表情も露見させる。


「お、おう。す、すまん…」


 怖気付き岸本は後方に後ずさる。完全に弱腰だ。


「ごめんね。余計な邪魔者が入ったね。いじめっ子は存在しない者と思ってね」


 にこっと玲香は優しい微笑を浮かべる。絶対に岸本には見せない表情を形成する。以前は見せていたのだが。


 わなわなと口元を震わせ、岸本は悔しそうだ。


「それは難しいよ。ただ何の用かな? 」

 

 岸本の顔を窺う。未だに岸本に対する恐怖は少なからず抜けない。いじめられていた過去がどうしても脳内にフラッシュバックする。嫌な経験をした過去の記憶が。


 当然、目のあった岸本は恨めしそうに晴斗を睨む。内心で晴斗は落ち着かない。心臓の鼓動も加速する。


「白中晴斗君が以前に玲香に謝らなくていいって主張がようやく腑に落ちたの。確かに、本人が謝罪が不必要なら余計なお世話だと納得した」


 うんうん。


 玲香は何度か頭を縦に振る。


「そっか。それなら良かった。でも余計なお世話ではなかったからね。気持ちは嬉しかったから」


 玲香が納得してくれたことに嬉しさを覚える。


 晴斗の説得が身を結んだようだ。


「うん! それを聞けて玲香も気分がいいかな。それにしても——」


 一旦、玲香は言葉を区切る。


 ジロリッ。


 軽蔑した目で時間を掛けて、岸本に視線を移す。


「白中君をいじめたあなたが近くにいると玲香も白中晴斗君も落ち着かないの。だから、自分の席に帰ってくれない? 目障りだから」


 辛辣な言葉を玲香は並ぶ。遠慮は見受けられない。


「な、何でだよ? どうしようと俺の自由だろ」


「何? 口答えするの? 」


 鋭い眼光で、玲香は睨みつける。威圧感も尋常ではない。


「っ…。何でだよ。ちっ。どうして俺がこんな目に」


 逃げるように岸本は自席に戻る。


 クラスメイト達のヒソヒソ話を背中に受けながら。


 クラスメイト達は未だに留まることなく、岸本と今水に暴力的な言葉を放つ。面と向かわず、友人達と協力して会話をする形で。


「邪魔者は消えたから! 残りの休み時間は気兼ねなく会話ができるね!! 」


 嬉々した満面の笑みで玲香は晴斗を見つめる。もちろん、岸本が自席に帰還した事実を確認した後だ。


「楽しい会話をする前にレインの連絡先を交換しようね! 」


 慣れた手つきで制服のポケットからスマートフォンを取り出し、玲香はQRコードを差し出す。


「読み取るよ? 」


「うん! お願いね!! 」


 玲香に倣い、スマートフォンを取り出し、晴斗はQRコードをスキャンする。


 レインの友達に玲香が追加される。


「試しに適当にメッセージを送ってみて」


「了解」


白中晴斗『宜しくお願いします!』


山本玲香『畏まりすぎ笑』


 簡単なメッセージのやり取りを交わす。


「これから何卒宜しくね。白中晴斗君」

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