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生徒会のお仕事のお手伝い

「よいしょよいしょ」


 束になった書類を抱えながら、千里は生徒会室に歩を進める。


「あ!? 白中君! 」


 たまたま廊下を晴斗が通り掛かる。


 隣接する職員室に用事があったのだ。担任から呼び出しがあったのだ。


 呼び出された理由は提出物の忘れだった。重要な課題を提出し忘れていた。


「橘さん。重そうなものを持ってるね」


 ギョッとする晴斗。


 体格に似合わないほど多くの書類を千里が持ち運んでいたためだ。


「手伝おうか? 」


 配慮し、晴斗は千里の手にある書類を代わりに持つ。


「あ…いいのに」


「いいよいいよ。重そうだったから。全然構わないから」


「本当に? じゃあお言葉に甘えて。ありがと」


 嬉しそうに千里がはにかむ。綺麗で白い歯があらわになる。歯並びも整う。


「どこまで運べばいいの? すぐ近所の生徒会室? 」


 器用に片手で書類を持ち、晴斗は生徒会室の戸を指さす。


「うんそう。お願いね」


 優しく千里は破顔する。


 晴斗は生徒会室まで書類を運ぶ。


 戸は何も持たない千里に開けてもらう。


「そこの机に置いといて」


「了解」


 千里の指示に従い、入ってすぐの机に晴斗は書類を置く。


 机の上には『橘千里』と記された名刺があった。机に直接貼り付けてある。


「ありがと! 重かったから苦労してたんだよね。助かったよ白中君」


 ぴょんぴょん跳ねながら、架純は晴斗の手を取る。優しく両手で包み込む。


 優しい感触が直で伝わる。女性特有の手触りだ。架純とはまた異なる肌触りだ。人それぞれ違いは存在する。


「う、うん。それは良かった。役に立てたならね」


 女性に慣れていないため、晴斗はキョドる。視線を彷徨わせ、落ち着かない。


 都合よく生徒会室には晴斗と千里しか身を置いていない。晴斗の恥ずかしく女性ならしていない姿を生徒会長に視認されずに済む。


「ふふ。女性を得意としてないんだね。可愛い」


 小悪魔な笑みを浮かべる。晴斗を可愛がるように。


「か、揶揄わないでよ。俺は陰キャなんだから仕方ないでしょ」


 自身で口にして恥ずかしくなる。少なからず陰キャだと自覚がある。


「うちは気にしないよ。陽キャ陰キャなんて関係ない。それに女性に慣れてる男子の方が気持ち悪いとうちは思うかな」


「本当に? 嘘じゃない? 」


「嘘ついても仕方ないよ。本心だから」


 上目遣いで千里は見つめる。低身長なため効果は絶大だ。


「あ。うっかり忘れてた。レイン交換しよ! 」


 その場の流れ、千里は制服のポケットからスマートフォンを取り出す。


 そのままレインの連絡先を交換した。

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