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罪の鬼神と過ちの女神  作者: 坂本 天
第1章プロローグ--転生
9/33

最強の騎士団団員との修行



 一週間が経過した。

 今日まで領主としての仕事の都合で剣の修行が出来なかったが、それも一段落しついにガレスから修行をつけてもらえることとなった。

 ということで現在、ガレスと共にふもとの村から少し離れた平原に来ている。


「さて、と。これからお前を鍛えていくわけだが、実戦形式の修行ももちろんだが、この世界の剣士として必要な戦闘技術と技を教えていこうと思う」


「わかった」


 戦闘技術というとやはり魔力操作系の技術になってくるのだろうか。身体強化だけならなんとかできるが他の技術もあるとしたら、やはり魔力の奥は深いなと思う。


「と言っても、この世界の剣術の三大流派について説明しないとな」


「三大流派?」


 俺が首をかしげると「ああ」とうなずき、


「三つの流派は等しく魔力による身体強化が必要になってくる。まず一つ目、『魔剣術』。魔法を使いながら戦う魔法剣士タイプだ。どんな局面にも魔法を使いながら対応することのできる万能型だ」


「――――」


「次に『龍剣術』。一撃一撃が重くどんな防御も崩しに行く短期決戦型だ。この流派の者は基本的には大剣や大斧を主武器にしていることが多い」


「――――」


「最後に『聖剣術』。守備力が高く、守りながら相手の隙を突く防御主体の型。この流派はカウンター系の技が多いな」


 魔法を使いながら戦う『魔剣術』。

 一撃必殺の大技が多い『龍剣術』。

 絶対防御の守備力を誇る『聖剣術』。


 これまでのことを簡単にまとめるとこういうことだろう。


「……なるほど。だいたいわかったよ。それで、父さんはこの三つのうちどの流派なの?」


「俺は『魔剣術』だな。そもそも、三大流派と言っても『魔剣術』の使い手が剣士や王国騎士の六、七割を占めている。俺の所属する『円卓の聖騎士団』の半数近くもそうだからな」


「そうなんだ」


 この世界で主に使われている剣術ということは、それだけ安定して強いということだろう。しかし身体強化だけならまだしも、魔法を使いながら戦うとなると使いこなすまでにかなりの時間がかかりそうだ。


「それで、俺が教えるのは『魔剣術』だ」


「うん」


「教えるといっても剣技や魔法を使うタイミング、魔法の応用といったところだがな。ま、習うより慣れろだな。さっそく、基礎中の基礎、身体強化をやってみろ」


「――――」


 言われた通りに魔力を操作し、身体強化を発動する。その証拠に俺の体には白いオーラが纏われる。

 これに関してはこの前の熊との戦闘から、もっとスムーズにできた方がいいと思って毎日の特訓でものにしていたのだ。しかし、やはり完全ではないらしく余分に魔力が飛び出している。


「よし、まあ及第点と言ったところだな。じゃあ次はその剣に魔力を流すんだ。イメージとしては身体強化と同じ感じで少し腕が伸びたようなものだと思えばいい」


「ああ。それなら」


 身体強化と同じ要領で魔力を左手の剣に流す。すると薄い光がその剣に宿った。

 これもルイングリズリー戦で自力でできたことだったから割とすぐにできた。それに前世でも似たようなことをしていたからなおさらだ。


「魔力操作はそれなりに出来るようになったようだな」


「まあね。それで次はどうすれば?」


「そうだな……じゃあ、とりあえずこの技を習得するのを目標にしてもらおうか」


 言うと、ガレスは腰の鞘に納められた鉄剣を抜く。そして数歩進んで俺の前に出る。


「――」


 ガレスは持っていた剣を正眼に構え、銀色の刃に魔力が収束されていくのを肌で感じる。刀身が徐々に光に包まれて行き、そのまばゆいほどの輝きが、日中にもかかわらず、俺とガレスの周囲を明るく照らした。

 光はその強さの上限を知らないかの如く輝きを増していき、やがて雷のようなスパークが剣の刃を覆っていった。


「――はあっ!」


 そして一振り。上段から振り下ろした。

 魔力を帯びた光の剣撃は、落雷のような轟音を轟かせ、一撃を緑の大地に見舞った。

 

 魔力の波動によるものなのか、振り下ろした直後に光が解放されて、そのまぶしさと爆風に思わず腕で目元を守った。


「いったい、なにが……。――!」


 目を開けた俺は、振り下ろした剣をそのままに立っているガレスを初めに視界にとらえたが、直後、眼前に広がる景色を見て言葉を失ってしまった。

 そりゃそうだ。なにせ、ガレスの剣撃をくらった地面は広範囲にわたって抉られ、緑色のあった場所は茶色の土が露出していたのだ。


 この光景を目の前に言葉を失っていると、剣を鞘の納めたガレスがこちらに振り返り口を開いた。


「これは魔力を剣に蓄積させ一気に放出する、魔力を使った剣技の基礎の技だが、極めればここまでの範囲と威力になる」


「……これは、すごいね」


「ああ。この技は魔力を溜めるほど威力が上昇していく。が、勿論その間隙をさらすことになる。いわば諸刃の剣でもある技だが、その威力は今見せた通り本物だ」


 ガレスの言う通り、強力な一撃を放つために隙は多くなるだろうが必殺の一撃になりえる技だ。それに、使いようによっては隙すら関係なしに放てる可能性すらある。俺の魔力量を考えてみると、今の一撃よりも強い一撃が放てるかもしれない。今後のことを考えるとこの技を会得しておいて損はないはずだ。 


「これを覚えるには前段階の魔力付与エンチャントを習得するところからだな」


魔力付与エンチャント?」


 聞きなれない単語で思わずオウム返しのように聞いてしまう。すると、ガレスは小さくうなずき、


「さっきアルが剣に魔力を流したのは無属性の魔力付与エンチャントだ。これはただ単に武器の攻撃力や耐久度を高めることを目的とした技術」


 言いながら腰から抜剣し、無属性エンチャントを行った。その証拠に、元の剣の銀色の輝きから僅かに淡い光を感じた。


「そして、そこからさらに自分の適性の魔法属性を付与する。すると、それに見合った効果が現れる。俺の場合は雷属性の魔力付与エンチャントだな。アル、お前の適性は?」


「――適性って?」


 適正、と言われてもそんなもの全く心当たりがない。今までの修行の中、それっぽい言葉すら聞いたことがない。


「お前、魔法の修行もしているのにまさかそれを知らないのか?」


「う、うん」


 カーミラめ。魔法の修行と言っておきながらそんな重要なこと教えてくれてないぞ。


「そうか……まあいい、だったら今のうちに調べておくか」


「そんなこともできるの?」


「魔法に精通している者なら基本的にはな」


 言いながら俺の頭の上に手をかざし始めるガレス。そのまま目を閉じ魔力を確かめる。

 俺の中心にある魔力が探られ、身体強化とは別の感覚が俺を襲う。

 

 数秒の診断の後、ガレスはほうと息を吐いた。


「それでどうだった?」


「お前の適性は風と火の二つの属性だな」


「風と火?」


 魔法属性は火、水、土、風、雷、氷、光、闇の全部で八つ。

 基本的に適性のある魔法を使うのが通常ではあるが、別に適性がないからといって使えないというわけではないらしい。ただし、適性属性よりも会得難易度も上がれば、威力も出づらいのだそうだ。


「ああ。この二つは俺の雷と比べて扱いがしやすいし、それに複数の適性があるというのは剣士の中では中々珍しいことだ」


「へえ、それはいいね」


 今後の訓練次第ではあるが、使いやすい難易度の低い魔法は中々いいものだと思う。それに、俺には神様から貰った魔眼がある。もし仮に魔法に手こずっても最悪魔眼の補助でいくらでも何とかなる。

 そんなことを考えていると、ガレスが遠い目をして、


「……まあ全属性に適性のある怪物もこの世にはいるんだけどな」


「そんな人もいるの!?」


 衝撃の一言に驚愕する。


「ちなみに言っておくがそいつは俺よりも強いぞ。まあ、正直なところ、そいつの戦闘力は例外みたいなところもあるからな。そんなことより今は修行だ」


「う、うん」


 気になることもあったが、ガレスの言うとおり今は修行が優先だ。

 大地をえぐり取ったあの剣撃、あれを習得できるまでまずは属性魔法を習得するところからだが、まあ神様との修行と並行してやっていけば遅くとも数週間の時間さえあれば問題なくできると思う。


 せっかく目先の目標が出来たんだ。全力で頑張っていこう。



--------



 僕は、あの時死んだはずだった。

 いや、今も死んでいるのかもしれない。

 肉体の感覚はあるのに、手も足も胴も何もかもがない。あるのは黒い影だけ。漆黒の影が肉体の代わりだと言わんばかりに人型を作り上げている。


 肉体の代わりの影のほかにも、僕にあるものがある。それは感情――憎しみや憎悪。

 負の感情だ。

 僕の中で渦巻いている憎しみの炎。


 どうしてそんな感情を抱いているかはわからない。でもたしかにその感情が僕の胸の内で燃え盛っているのだ。

 燃え盛る烈火のごとき怒りの感情は、僕に復讐をしろと訴えかけてくる。憎きあの男を殺せと語りかけてくる。


 でも今のままじゃ到底かなわない。あの人の力は誰よりも僕が知っているから。だから僕は――悪魔に魂をささげた。









めっちゃ久々の投稿です


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