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罪の鬼神と過ちの女神  作者: 坂本 天
第2章 白銀の願い
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予期せぬ襲来


 ゲイルが作戦会議を終えようとその合図を取った瞬間。その言葉をかき消すように、誰かの大声が耳に届いた。


「敵襲ー!!」


 たったその一言でこの空間の空気ががらりと変わる。

 ひとまず、状況を確認するために全員慌てて外へと飛び出す。


「はぁ、はあッ……隊長!」


 テントの外に出ると、走ってきた衛兵隊員の人が駆け寄ってきた。焦っている様子の隊員にゲイルが応じる。


「いったい何があった!?」


「突然森から魔物の軍勢が現れ、現在結界の破壊を進め多数の方角から攻め込まれている状況です」


「……っ」


 契約によってそれは絶対にありえないことだと判断して油断していた。やはり、俺の知らないところでどうやってかそのルールの隙をつき、このような手段に出たのだろう。

 こちらの戦闘態勢が完全に整う直前で攻めに来るとは、何ともいやらしい戦法だ。厄介にもほどがある。


「くっ、どうなっている……! いや、それよりもまずは対処しなければだ」


「想定外の状況ですが、やむをえません。兄さん、ルーズヴェルトさんのお二人は早急に準備を……ってもう出来てるみたいですね。さすがです」


 その通り。俺とルーズヴェルトさんはいち早く魔物の気配を察知していた。すでに臨戦態勢だ。


「少しだけ待ってくれ」

 

 そう一言言ってから、女神から授けられた魔眼を開眼し、『サーチ』を発動する。周囲に感じる魔力の反応。その総数はおよそ……。


「……二百。それが今攻め込んできてる敵の総数です。ほとんどが東側と南側に集まってます。父さんの部屋で見た山積みの書類が全部魔物の討伐依頼だったりすると……多分まだ半分くらいか」


「つまり、これから現れるのを想定すると、計四百程度ということか……絶望的な戦力差だな」


「何もすべてを倒す必要はありません。我々が敵将を落とすまで堪え切れれば、その時点で勝ちです」


 全くその通りではあるが、それを簡単に言ってのけるのはこの場においてルーズヴェルトさんだけだろう。というか、簡単じゃないのは分かっているが、それでもやらなければならないと感じさせる言葉だったと思う。


「簡単に言ってくれるね爺さん。……ま、ちょっと予定より早くなったってだけだから別にいいけどさ」


「ですね。じゃ、カーミラ作戦頼む」


「はい。冒険者の皆さんと衛兵さんたちはそれぞれ東と南に応援に向かってください。おそらく、ゴーレムもそう長くは持ちませんから出来るだけ早くお願いします」


「わかった! 行くぞ、みんな!」


 ウルヴェルを筆頭にユージンとミナ、エドが東側に。ゲイルは南側へ他の衛兵を連れて魔物たちを迎え撃ちに行った。

 それを見届け、カーミラが再び口を開く。


「ではお二人は私が遺跡まで飛ばします」


「……ん?」


 今、飛ばすとか言っていたような気がするが気のせいだろうか。


「お言葉ですがお嬢様、……飛ばすとは?」

 

 困ったようにルーズヴェルトが問いかける。

 あのルーズヴェルトさんが困るという中々お目にかかれない珍事ということで、やはり気のせいでも何でもないようだったが、とりあえずその真意を聞くためにカーミラが答えるのを黙って待つ。


「あんまり時間がないっぽいので多少端折りますが、わたしの魔法で遺跡の方向まで思いっきり飛ばします。その際、空中にいることになりますが、兄さんには地上の魔物に向かって魔法を撃ってほしいです。できる限り、他の皆さんの負担を減らせるようにしたいですし」

 

「あ、ああ、わかった。蒼炎でいいよな?」


 あまりわかってはいないがとりあえずそう返事をして、指示にあった魔法は得意なもので決定させる。


「なるほど……ではさっそく始めましょう。アルトリウス様、構えを」


「はい」


 ルーズヴェルトさんに倣い重心を低くして備えておく。


「二人とも、健闘を祈ります。――『アイシクルイラプト』!!」


「お……おお、おおお!?」


 カーミラが氷結の魔力を解放し、瞬間、足元から凄まじい勢いで氷が噴出して俺とルーズヴェルトさんを上へ上へと押し上げる。氷山のごとくせりあがった氷結が頂点へと達したと同時に、感性が働き、その勢いのまま身体を飛ばされ、遺跡の方向へと飛行する。


 飛行……いや、滑空中にカーミラの言っていたように魔物の群れが結界を破壊しようとしているのが見えてきた。

 あれだな……。サーチで数は把握していたが、実際に見るとその数の多さに言葉を失わずにいられない。カーミラが居なければ間違いなくここは陥落して皆殺しにされていたことだろう。今はまだウルヴェルたちは到着していないようだが、そういう未来もあったかもしれないと思うとぞっとする。


「……よし――『蒼炎』!」


 空中という慣れない場所で魔力を練り上げ、右手から蒼く燃え上がる炎魔法を魔物の軍勢に目掛けて解き放つ。数にしておよそ十発。高速滑空中だったから狙いも定まりはしなかったが、爆音と魔物、魔獣の断末魔が耳に届いていたから成功しただろうと思う。


 ルーズヴェルトさんの方を見ても、すでに次の目標に集中していたため、俺も敵の本拠地の遺跡へと意識を向けて、滑空を続けた。


どうもです。

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