表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/356

第90話。ナギの記憶から夢をみる鞠絵。翌日ミンティと名乗る美少女が訪ねてきて、一方的に撫でくりまわされる鞠絵だが…?

第90話です。



 その日の夜、私はひとつの夢を見た。

 限りなく美しい草原や森林が広がる大自然の中、それらを見渡す小高い丘の上に立つ大きな木の下で、白銀色をした長い髪のすらりとした女性と、青銀色の短い髪をした小さな男の子が、手を繋いで立っている。

 こちらに背を向けているせいか、二人の会話は全く聞き取れなかったが、やがて女性がこちらを向いて男の子の前にしゃがみこみ、小さな体をそっと抱き締めた。

 その時の言葉だけは、私にもはっきりと聞き取れた。

『愛しているわ、私の小さなナギ。可愛い弟』

 ああ、これはナギの記憶なんだ。昼間のナユとの出会いで刺激された彼の記憶を、私も一緒に見ているんだ。

 二人がヒト型になっているのか、それとも私が人間だからヒト型として二人を見ているのか。

 抱き締められた小さな男の子…ナギは、背伸びをして女性…ナユの首に手を回し、ぎゅうと抱き返してその耳に囁いた。

「ぼくもだぁいすき…あねうえ」

 大きな木が二人を祝福するかのように立派な枝を揺らし、駆け抜けた風が二人の髪や服を舞い上げていった。

 その風はあたたかく、花々のかぐわしい薫りがした。




 翌日また私たちは談笑しながら和風の朝ごはんをいただいた。少し期待していた海苔はさすがになかったが、昨晩とは別の魚の干物と、くるくる巻いてはいないけど畳まれた卵焼きがあって、お漬物も美味しかった。

 そこへ突然ドアをバーンと開けて、飛び込んできた人は。

「はぁい!ミンティちゃんだよ!どの人が聖銀様なのかなっ?」

「え」

 薄い緑色のふわふわした短髪を揺らして入室してきた人は、明るい声でそう叫び、こちらをぐるりと見回してその視点をぴたりと私に向けた。

「あ、あの」

「あなたが聖銀様ね!う~ん、思ってたよりずっと可愛いじゃな~い!すごい!うん!いい!」

 い…いい…とは?

 それにこの人、すごい美少女なんですけど。小柄でこの世界での私と同じくらいの年齢に見える。こんな人が黒鋼竜の領域にいたなんて、全然知らなかったんですけど?

 すると美少女は細い両腕をぱっと私に向けて広げて、あろうことかこう叫んだ。

「ハグしていい?ぎゅってしていい?可愛い聖銀ちゃん!」

 あ、様からちゃんに変わってる。

「可愛いとは聞いていたけど、思ってたよりずっと小さくて美人で可憐で清楚で素敵っ!うーん、ぎゅー!」

「あ、あわわわわわわわ」

 初めて会う美少女にいきなり駆け寄られ抱き締められて、私は目を白黒させた。なに、何が起こってるの?

「いやーん、聖銀ちゃん、ちっちゃくて可愛い!柔らかくて気持ちいい~ほおら、撫で撫で~!」

 美少女の華奢な手が、私の頭や頬や肩や背中を撫でまくる。

 ふわっふわな髪の毛が、私の頬をくすぐる。

 私は突然のことに、自分の身に何が起こったか分からず、呼吸をすることも忘れて固まった。

「こ、こら、勝手に姫様を撫でくりまわさないで!」

 タニアがあわてて駆け寄ってくる。

「あの、は、離してください!?」

 ようやく我に返った私が叫べば、サラが私から彼女を引き離そうと手をかけた。

「ちょっと、あなた誰!?マ・リエから離れなさい!」

 ルイも触れないながらおろおろと後ろから声をかけてくる。

「あの、すまないがいったんマ・リエから離れてくれないか」

 タニアはサラとは反対側から、私にくっついている美少女を引っ張る。ダグはルイのさらに後ろから、女性二人に手をかけるわけにもいかず困っていた。

 わあ、この人からすごくいい香りがするんだけど。

 短くてウェーブのかかっている薄緑色の髪が顔に当たるたびに、そのやわらかさに胸がどきどきしてしまう。

 タニアに抱き着かれたときとは違って、当たる胸は小さい。やっぱりこの人は若いんだろうな。でも人間と違って長命の竜とかだったらわからないけれど…え、もしかして。

 サラとタニアが両方から引っ張ってもビクともしない力といい、これは見かけ通りの年齢の人じゃないのかもしれない。(続く)

第90話までお読みいただき、ありがとうございます。

ミンティちゃんとはいったい何者なのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ