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第66話。はるか昔、先読みのできる聖銀竜が残した予言とは。またその予言を残した聖銀竜の名を聞いた鞠絵とナギは…。

第66話です。

「あの、予言ってどういう内容なんですか?」

 するとおばば様は私の手を握ったまま目を閉じ、息を吸い込んで歌うように紡ぎ始めた。

「虚無の目が開き世界が滅びに瀕した時、一頭の聖銀竜が降臨する。その名はナギ。世界を支え、神金竜を目覚めさせ、聖銀竜を従えて、開いた虚無の目を閉じさせ封印するであろう…と、語られておりまする」

 ナギの名前が予言に入ってる。私はその正確さに息をのんだ。

 あと…神金竜を目覚めさせる?だとしたらこの世界にはまだ、ほころびを閉じるという神金竜が存在していることになるのだけれど…。

 それは…本当だろうか。

 もし本当だとしたら有難い。だって聖銀竜は閉じたほころびを封印することはできるけれど、神金竜がいなければ閉じさせること自体はできないのだから。

「予言は最後の聖銀様が残されたものでござりまする。最後の聖銀様は先読みのできる御方でございましたゆえ」

 先読み?それって予知ってことかな。私は首を傾げた。

「我らはその最後の聖銀様に、ずっと仕えて参った一族の末裔なのです」

「そうだったんですか…」

 そして私は、何気なくこう聞いてみた。

 本当に、何気なく。

「その聖銀竜のお名前は?」

「ナユ様と申されます」

 その、瞬間。

『―――!!』

 私の中のナギがくわっと目を開いて呻いたのと同時に、私は彼と同じ言葉を叫んでいた。

「姉上…!!」

「マ・リエ様!?」

 おばば様の声が急激に遠くなる。私は体の内側からあふれ出す感情に押し流されるまま、おばば様の手を離して両腕で自分の体を抱えて膝をついた。

 皆が驚いて駆け寄ってくる。おばば様の手が私の肩に乗せられ、何かを言っている。でも、何も聞こえない。何も、感じない。

 この、怒涛のような感情以外は。

 ああ、姉上、姉上。

 あなたは強くて厳しくて、そして優しかった。

 誰よりも聖銀竜の成すべきことを自覚していて、わたしが幼い頃からずっと語り聞かせては、自らもその責務を全うしていた。

 白銀色の美しいウロコに鮮やかで大きな薔薇色の瞳。いつでも柔らかく微笑む顔立ち、優雅な立ち回り、強大な力は他の聖銀竜たちを魅了し、いつでも求婚の話が絶えなかった。

 けれどあなたは未熟な弟がいるからとそれをことごとく断り、ずっとわたしを守っていてくれた。

 幼い頃には聖銀竜の責務だけでなく、絵本を読み聞かせてくれたり、綺麗な花の咲く景色のよい草原に連れ出して遊んでくれたりもしたっけ。

 姉弟二人だけの家族だったから、姉であり、母であり、時に優しく、時に厳しくわたしを育ててくれた。

 わたしが育って姉上が語り聞かせた通りの責務を果たせるようになって尚、わたしの小さなナギ、と呼んで可愛がってくれた。

 姉上、ああ、幼い頃から大好きだった、私の誇らしき姉上。

 この世でたった一人の、わたしの家族。

 とても、とても愛していた。

 傷を負い弾き飛ばされてこの世界から消え去った時、もう二度とあなたに会えないことが、寂しくて悲しかった。

 そんなあなたの名前を、ここで聞くことになろうとは。

 姉上、あなたは突然消え去ったわたしがこの世界にまた戻ることを予見して、自らは封印を守りつつ、予言を残してくださったのか。

 最後までわたしのために。

 ああ、わたしのために。

 涙が止まらない。

 懐かしくて、愛おしくて、胸が熱くて。

 わたしは両腕で自らを抱き締めるようにして、叫ぶように大きな声を上げて泣いた。

 姉上、姉上、姉上。

 わたしは帰ってきたよ。この世界に。あなたと暮らした、この世界に。

 帰ってこれたんだよ。

 マ・リエと共に、歌を引き連れて、姉上がずっと言っていた聖銀竜の役目をもう一度果たすために。(続く)

第66話までお読みいただき、ありがとうございます。

予言を残したのはナギの姉、ナユだったのですね。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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