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第59話。タニアとサラと3人で天然温泉に入る鞠絵。

第59話です。

「じゃあ、私たちも脱ぎましょう」

 サラは私たちに背を向けてもそもそと脱ぎ始めたが、タニアは私の方を向いたまま、がばっとワンピースをたくし上げたものだから、私はきゃっと叫んで両手で顔を覆った。

「ふふふ、姫様かわいい。恥ずかしがらなくてもいいんですよ?ほらほら」

「やっ…やめてタニア、胸、胸が…!」

 これからお風呂に入るのだから裸になるのは当然だけど、豊かな胸を揺らして私に見せつけてくるのはやめて。恥ずかしい。

 最初に会った時も思ったけど、両手の指の合間から見えてしまったタニアの体つきは、本当に女性らしいというか…ばいん、きゅっ、ぼーん!てやつ?うらやましい…。

 バスト、いくつあるんだろう。私が元いた世界だったら、下着に困るんじゃないかしら。

 ウエストもきゅっと締まっているし、お尻はぷりっとしてるし、同じ女性である私から見ても、溜め息が出るくらい抜群のスタイルだ。肌の色は少し浅黒くて、張りがあって艶々している。水を被ったら全部弾くんじゃないかと思うくらいに。

 サラはなめらかな象牙色の肌をしていて、柔らかな女性らしい体つきをしている。ふっくらした胸は私よりあるし、お尻だって女性らしいラインだ。そのお尻を見た時、ついユニコーン型のサラのお尻を思い出してしまったのは内緒だけど。

 二人とも女性として抜群のプロポーションで、ちょっと嫉妬してしまうくらいだ。私は十六歳くらいの今の体はもちろん、二十八歳だった元の体の時ですら二人に到底及ばないサイズだったから、この差にほんとに溜め息が出てしまう。

 はあ。いいなあ。

 女性として実に羨ましい。

 そんな私の内心を知らず、二人はきゃいきゃいはしゃいでいる。

「きゃっ、また裸のお付き合いですね姫様!タニア嬉しい!」

「マ・リエとタニアと一緒に入るのは、水竜様のところでお風呂に入って以来ね。でもここはもっと広いそうだから、楽しそう!」

 髪をくくるための紐と体を洗うためのタオルを持ち、洗い場に出ると、サラとタニアはまたきゃあ、と高い声を上げた。

「すごい、広い!洗い場もだけど、見てタニア、なんて大きな浴槽なの!」

「ほんとに!これは堪能しなくては!」

「まずは体を洗ってからね」

 私がそう言って洗い場に二人を連れていくと、やはりと言おうか、どちらが私の背中を流すかでひと悶着が始まった。

 サラが譲らずにいると、タニアが唇を尖らせてこう言う。

「じゃあいいですよーだ。私は姫様の前を洗いますから」

「ええっ」

 だっだから、どうしてそういう展開になるかな!?

「まっ待って、背中だけでいいから!じゃあ仲良く半分ずつで洗ってくれない?」

「えー…」

「マ・リエがそう言うなら…」

 今度は二人してとんがり唇になったけど、早く洗って早く浴槽に入りましょうと私が促すと、それもそうねと納得してくれた。

 はあ…長引かなくて良かった。昨日といい、私の背中、こすられすぎて赤くなっちゃわないかしら。

 三人で背中を流しっこするのはとても楽しかった。他愛もない話で盛り上がる私たちの笑い声が、他に誰もいない広い風呂場に響き渡る。途中で誰か入ってきたら静かにすればいいと思ってはしゃいでいたけれど、とうとう誰も入ってくることはなかった。

 もしかしたら、リヴェレッタ様が気をきかせて私たちだけにしてくれたのかもしれない。

 洗い髪を紐で頭の上におだんごにして留めて、私たちは浴槽に向かった。初めての広い浴槽に、サラとタニアのテンションが爆上がりする。

「うわあ、ここに入っていいの?こんなにお湯を出して、もったいないんじゃないの?」

「大丈夫よサラ、ここは地下からお湯が湧きだしてきているのよ。放っておいても勝手に湧いてくるの」

「そうなの?すごい!ユニコーンの村にもこんな所があればいいのに」

「そうね」

 私とサラを尻目に真っ先に浴槽に飛び込んだタニアが、姫様!とこちらを振り返る。

 ですから…胸が、胸が揺れてます…。

 目のやり場に困るからいきなりこっちを向くのはやめて、タニア。

「あったかくて気持ちがいいですよ!こうしてしゃがむと肩まで浸かれますし…ほら、二人とも早く、早く!」

 まずは屋内の浴槽三つをそれぞれ堪能し、程よく温まったところで、ドアを開けた先にある露天風呂に連れていけば、二人は期待を裏切らない反応をしてくれた。

「まあ、まるで池みたい!」

「わあ、素晴らしいですね!知ってますか姫様、虎は水浴びが好きなんですよ。混じりものじゃない野生の虎も、こんな池に入ったりするんです」

「えっそれは知らなかったわ」

「あっタニア!泳がないの!」

「だって気持ちいいんですもの~」

 ああ、タニアの尻尾がゆらゆらしていて本当に嬉しそう。可愛いけど…お風呂のお湯を尻尾でバシャバシャ叩くのはやめて欲しい。もろに顔に被るから。

 仲間たちと入るお風呂はとても楽しくて、私たちは湯あたり寸前まで露天風呂で遊んだ。お湯を掛け合ったり、どちらが先に向こう側に着くか競争したり、お互いの肌が温泉でつるつるになっているのを触りっこしたり。

 昨日も楽しかったけれど、やっぱりサラとタニアと入る温泉は格別だ。ルイたちも入ってゆっくりしていられるといいな。(続く)

第59話までお読みいただき、ありがとうございます。

天然温泉、気持ちよさそうでうらやましいですね。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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