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第58話。仲間たちと再会しはしゃぐ鞠絵に、光竜スーリエが黒鋼竜と連絡をとるため使いを出そうと言ってくる。その後、仲間たちと天然温泉へ向かう鞠絵。

第58話です。

「姫様」

「ああ、お腹が痛い。すごく笑ったわ」

 サラが私の背を撫でてくれる。

「私も。あなたのこと、とても心配だったの。元気そうで良かったわ。昨日は大変だったんでしょう?」

 そう言うサラに頷いた私に、ダグも話しかけてくる。

「オレたちがついていてやれなくてすまない。…いや、ついていても何もしてやれなかっただろうが…せめて、お前の背を支えていることはできたなと思ってな」

「ダグ…ありがとう」

「ルイはきちんとお前を支えてやったか?」

 ダグの黒い瞳が、私を案じて優しくまたたく。本当に、彼は大人で優しい、懐の深い人だ。

「ええ。ルイは本当によくやってくれたわ。私の背をちゃんと守ってくれたのよ」

「そうか。それならいいんだ」

 ダグが差し出してくれた手を取って、私は立ち上がった。長いスカートの裾を、ヒト型に戻ったタニアがぱんぱん、と払ってくれる。

「ありがとう」

「いいえ、姫様」

 仲間たちが、笑っている。

 心がうきうきする。

「失礼いたします」

 その時ノックの音と共に入室してきたのは、昨日ユニコーンの村から一緒にこの炎竜の領地へとやって来た、光竜ハリー・スーリエ様だった。

「皆さまに、スーリエ殿からお話があるそうなのです」

 赤いロングドレス姿のリヴェレッタ様にそう言われ、私たちは何事かと一列になって姿勢を正した。

「実は、私の一番上の姉が、黒鋼竜様に嫁入りしておりまして。マ・リエ殿がもしお望みであれば、黒鋼様に連絡がとれると思うのです」

「えっ」

 黒鋼、の名称に反応したらしきナギが、私の中でうっすらと目を開く。本当に、最近ではふとしたことで起きることが多くなってきた。彼の傷も順調に治ってきていると、こんな時感じる。

 ナギの低い声が、私の中に響いた。

『マ・リエ、黒鋼に会え』

 黒鋼って、神竜の?まだ残ってるんだ?

『そのようだ。神金竜も聖銀竜もこの一万年でどうなってしまったのか、黒鋼ならば事情を知っていよう』

 なるほど、そうね。神竜が一万年を経て未だに残っているっていうだけでも驚きだけど、そこにスーリエ様のお姉さまがお嫁に行っているだなんて、なんて縁なのだろう。

 これを逃す手はないと、私は両手を胸の前で組んで一歩前に進みだし、スーリエ様に向かって深々と頭を下げた。

「スーリエ様。ぜひ、お願いいたします。使いを出してはいただけませんか。お話を聞いてみたいのです。私たちの今後について、どうすればいいのかを相談したいです」

 するとスーリエ様は頭を下げたままの私に歩み寄ってきて、そっと肩に手を置き、優しい声で答えてくれた。

「わかりました。神金竜様も聖銀竜様もいなくなった今、わずかに残った黒鋼竜様だけが、聖銀竜様であるあなた様にとって、道を示すことができるやもしれません」

「はい」

 そうね、ナギもそう望んでいるし。

『こちらから探す手間が省けた。黒鋼に会ったら我を起こせ』

 ナギはそう呟いて、また目を閉じてしまった。

 わかったわ。

 それまでおやすみ、ナギ。

「早速姉に使いを出しましょう。黒鋼様も聖銀様にお会いできることを拒みはしないはず。迎えが来るまで、ここでお待ちいただきたい。いいですかな、炎殿」

「もちろん」

 リヴェレッタ様は頷き、ダラス様の隣から歩いてきてスーリエ様の隣に立った。

「聖銀様をおもてなしできるなど、光栄の至りです、マ・リエ殿。お付きの者たちも到着したことですし、しばらくこの炎竜の領地でおくつろぎくださいませ」

 そう微笑んで右手を差し出してきてくれたので、私はその手を感謝の気持ちを込め両手で取って、きゅっと握った。

 すらりと背の高い、美しい女性にしては大きくてしっかりしているその手が、炎竜たちをまとめここまで導いてきた手なのだ。

「ありがとうございます。スーリエ様、リヴェレッタ様」

「では私は早速黒鋼様に使いを出しますゆえ、これにて失礼いたします」

 スーリエ様は見事な白金色の長い髪を揺らして私に一礼をし、皆を一人ずつ見つめてから部屋を出て行った。

「皆さま、お疲れでしょう。諸々のお話はまた明日にするとして、今夜は夕餉の前に風呂に入ってこられてはいかがですか?」

「お風呂?」

 私は目を輝かせて、皆を振り返った。あのお風呂に今度は仲間たちと入れるなんて、考えただけでも楽しい。

「昨晩も入ったけど、温かくて気持ちがいいのよ。とても広いお風呂でね、天然の温泉なの。露天風呂もあるのよ」

 そう私が説明すると、二人は首を傾げた。

「ろてんぶろ?ってなんですか姫様?」

「屋外にお湯が湧いているの。開放的でとても素敵よ」

「初めて聞くけど、マ・リエのオススメなら入ってみたいわ」

 リヴェレッタ様がそれならと微笑んで、昨日私のお世話をしてくれた人たちを呼びましょうかと言ったものだから、私はあわてて三人で入るから結構です、と両手を振って辞退した。

 また胸を洗うとか言い出されたら困っちゃう。

「ふふ、そうですね。お仲間と一緒に入られたらいいですね」

 私は昨日入っているから、場所とか入り方はもうわかる。タニアとサラを連れて、着替えを持って更衣室に行き、脱いだ服を藤で編んだ籠に入れた。他の二人も私にならうためのお手本だから仕方ないけれど、じっと見られている中脱ぐのはかなり恥ずかしくて、私は二人にできるだけ背を向けて服を脱いだのだけど、特にタニアからの視線が情け容赦なく突き刺さってきた。(続く)

第58話までお読みいただき、ありがとうございます。

いよいよ黒鋼竜と連絡がとれるのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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