表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
343/356

第342話。邪竜と暗黒神竜エレサーレの戦いを見つめていたマ・リエが見たものは、小さな人影だった。エレサーレはそれを…。そして操る者を失った、邪竜のもととなっていた竜は地面に落ちていき…。

第342話です。

 その時、息をのんで見つめるマ・リエの目に、それは映った。

 邪気をまとい、本体のはっきりしない邪竜の中に、深々と顔をうずめて噛みついているエレサーレの口元に、小さな黒い人影があったのだ。

 その人影は、ボサボサの髪をした、やせ細った子どものようにマ・リエには見えた。

 枯れ枝のような両手両足をバタバタと振り回してもがいていたが、エレサーレはその口に子どもをくわえると空中に放り投げ、そのままぱくり、と飲み込んでしまった。

 マ・リエは思わず、あっ、と声を上げた。

「のっ…飲み込んじゃったの? 子どもよ、まだ小さな子どもなのに…!」

 背中の翼をはためかせ、思わずエレサーレのもとに飛んでいこうとするマ・リエを、彼女の中のナギが止めた。

『待て、マ・リエ。あれは本来の皇帝の魂を乗っ取っていた者の魂だ。肉体はない』

「そっ…そうなの?」

『うむ。エレサーレはあの者の魂を、自らの中に取り込んで、閉じ込めたのだろう』

「えっ、それは大丈夫なの? エレサーレが乗っ取られたりしたら…」

 空中に留まりはしたが、焦るマ・リエにナギが続けて言う。

『エレサーレは、多くの魂が集まって構成されている神竜だ。今取り込んだ者の魂が、たとえ少しの魂を乗っ取ったとしても、ほかの大多数の魂がその者を抑えて無力化するだろう。エレサーレもそれをわかってやったのだ。だから大丈夫だ、心配するな』

「そ…そうなのね、それなら…」

 少しほっとしたマ・リエが改めてエレサーレのほうを見ると、邪竜に変化が起きていた。

「あ、あれは…」

 邪竜の周りを覆っていた邪気が、その中心となっていた魂を失ったために制御できなくなり、四方八方に黒い煙となって散っていくではないか。

 そして、散っていく邪気の中から、さっきより更に小さな一体の黒い真竜が現れた。

 竜は意識がないようだ。ぐったりしたまま、地面へと落ちていく。

「マ・リエ、竜が…!」

 ルイが叫んであわてて向かったが、とても間に合いそうになかった。竜が地面に激突しそうになったその時、大地から二筋の赤い色が竜に向かい、触れると同時に竜を空中に持ち上げた。

 そして帝都の外の丘陵地に向けて、運んでいった。

 そこに待っていたのは、鮮やかな赤い竜たちだった。

「あれは…炎竜?」

『そうだな』

「いつの間に近くまで来ていたんだ」

 ルイがほっとしたように足を止めた。

「私たちも行きましょう」

「うん」

 マ・リエとルイは、運ばれていった竜を追って、草と低い立ち木しかない丘陵地へと下りていった。


   ◆  ◆  ◆


「マ・リエ、あそこだ」

「ええ、そうね」

 私とルイは、二つの赤い光によって運ばれて行った竜の近くに下り立った。(続く)

第342話までお読みいただき、ありがとうございます。

運ばれていった竜はどうなるのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ