表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
332/354

第331話。アトラス帝国皇帝を内包した巨大な邪竜に立ち向かう、小さな闇竜エレサーレ。大きさがひどく違う二頭が戦う姿に、地上の人々も声を上げる。邪竜の攻撃に、エレサーレは…。

第331話です。

「エレサーレ…!」

 マ・リエは声を上げたがそれにかまわず、彼女を背に乗せたルイは素早くエレサーレの背後から離れ、走って二頭の竜から距離をとった。

 そして、自分たちの周りを覆うだけの結界を張り直す。

 歌をやめたまま、マ・リエは心配そうにエレサーレを見つめた。彼女が歌えば、エレサーレがまとう邪気を消してしまうため、マ・リエはエレサーレを見た瞬間から歌うのをやめていたのだ。

 以前会ったときには、骨とはいえ体を持っていたエレサーレだったが、今は魂に邪気をまとっているだけだ。

 邪竜の力でもあるが、エレサーレの力でもある邪気を、マ・リエは消したくなかった。

「あれが…エレサーレ…」

 結界の中で、ルイがつぶやく。

「キュアアアアア…! ゴゥワァァ…!」

 金切声を上げながら、邪竜がエレサーレに飛びかかる。

「ウォォォォ…! ガゥゥゥ…!」

 それを受け止めて、エレサーレが吠える。

 大きさの全然違う二頭の竜は、凄まじい声で吠え合いながら、お互いに向かって攻撃を始めた。

 エレサーレと比べるべくもなく大きな邪竜は、多数の触手や邪気のつぶてを打ち出しては、闇竜…暗黒神竜エレサーレに対して、攻撃を繰り出した。

 それは圧倒的であるように見えた。

 だが。

 邪竜の触手やつぶては全くこれっぽっちも、暗黒神竜エレサーレを傷つけることはなかった。

 それどころか、触手もつぶてもエレサーレに当たると全て、すうっと消え去っていったのだ。まるで、最初からなかったかのように。

 邪竜の攻撃はどれ一つとして、エレサーレに対して有効ではなかった。

「同じ力を持っているから、邪竜に対抗できるって…こういうことだったのね」

 マ・リエはヴァレリアの言葉を思い出し、ルイの背中でそう呟いた。

 触手やつぶてがエレサーレに通用しないとわかると、邪竜はその大きさを生かして直接力でねじ伏せるべく、エレサーレを捕まえようとその手足を伸ばした。

 だが、スピードで遥かに勝る小さなエレサーレを捕らえることができずに、空中でギリギリと歯噛みする。

 その尾を叩きつけてわずかに当てたり、ブレスを吐きつけるのが精一杯だが、尾を叩きつけても邪気で膨らませた尾の力では大したダメージをエレサーレに与えることはできず、また邪気のブレスに至っては、まるで風に吹かれただけのように、エレサーレに全く影響を与えることはなかった。

 その風に吹き飛ばされても、エレサーレはすぐに空中を飛びながら体勢を立て直す。

 そして己に影響をおよぼさない邪竜の攻撃をかいくぐっては、その体に牙をたて爪で引っかいては、尾で殴りつけた。

「ギュ…アァア…!」

 小さなエレサーレの攻撃は、驚くほど邪竜にダメージを与え、邪竜は咆哮とも悲鳴ともつかぬ叫び声を上げる。

 それらを地上で見ていた人々は、歓声を上げた。

「闇竜様! 頑張れ…!」

「聖銀様を守って…!」

「ざまあみろ、邪竜め!」

「小さいからって、舐めるなよ!」(続く)

第331話までお読みいただき、ありがとうございます。

エレサーレは邪竜に勝てるのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ