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第325話。聖銀龍ナギを内包する少女マ・リエを守る、今は亡き両親の光の盾に、変わらず攻撃し続ける邪竜の片翼と右肩を貫いた、一陣の光。それは美しい翼と力を得たユニコーン、ルイだった。

第325話です。

 どす黒い邪竜の右肩から、金色の角が生えている。

 いいえ、よく見れば、金色の角を持った馬の首が生えていた。

「あ…あれは…」

 私とナギはあまりの驚きに、同時に声を上げた。

「『…ルイ?』」

 えっ…えっ、ル、ルイ?

 ルイなの?

 その馬は見る間に邪竜の肩を貫いて、全身を私たちの前に現した。

 それは確かにルイだった。

 でもでも、純白だったはずの角は金色に輝いているし、背中からは翼が生えているし…しかも、その翼も金色だわ。

 黄金の角と翼をもつ白い馬が、天を駆けて私のもとへと走り寄ってくる。

「マ・リエ! マ・リエ、助けに来たぞ!」

「ル、ルイなの? その姿はいったい」

「ヴァレリア様から御力を授かったんだ! マ・リエを助けるための力を!」

 なんて…なんてこと。

 光の角に貫かれた邪竜は、その傷の周りがきらきらと光り輝いていて、なかなか修復しないようだった。左手で右肩を押さえ、片翼でかろうじて宙に浮かんでいる。

 その顔は苦しそうに歪んでいて、苦悶の雄たけびをあげていた。

 そんな力を…あなたは得たというの?

 驚きと共に、私は目の前の中空に浮いたルイの姿を改めて見る。

 黄金の角と黄金のひづめ。たてがみとしっぽはそれより少し薄いシャンパンゴールドに輝いている。そして背中の翼は、鳥のそれではなく、金色をした竜の翼だった。

 なんて…なんて綺麗なの、ルイ。

 その姿から感じるのは、確かに神金竜ヴァレリア様の御力だった。邪竜を一息に貫ける、邪気を寄せ付けない神竜のユニコーンに、ルイは変貌していた。

「ああ…ルイ、あなたは」

 その姿は確かにとても美しいけれど、あなた本来の姿を捨ててまで、私の力になろうとしてくれたなんて。

 黒鋼竜のおばば様は言っていた。

 真竜にとっての眷属は、己と同じ属性を見出し、保護することだけれど、神竜にとっての眷属とは、自らの力を与え新たな存在を生み出すことなのだと。

 神竜の属性…つまり神気は、神竜以外誰も持たないものだからだ。

 その力は神竜の血を与えることで、与えられた者に宿るが、それには命の危険があるとも聞いたわ。力を与えられる者の器が、神竜の力を受け止めきれなければ、最悪死ぬこともあるのだと。

 だから、よほどのことがなければ神竜は、己の眷属を作ることはしないのだと。

 ああ、ルイ。

 こんなに姿が変わっているのだもの、生半可な覚悟などではなかったでしょうに。

 それこそ死にそうになるくらい、とてつもなく苦しくつらかったはずよ。

「だ…大丈夫、なの? ルイ」

 私の不安そうな声に、全てを察したのだろう。

 ルイは微笑んで首を左右に振った。

 シャンパンゴールド色のたてがみが、さらさらと美しく宙に舞った。

「オレはヴァレリア様の御力との相性が良かったみたいだ。白い生き物は器が大きいのだと言われた。だから耐えられるかもしれないって」

 かも、しれないって?

 それじゃあやっぱり、ルイは命を懸けてくれたのね。

 あなたは決してそうは言わないでしょうけれど。

 私の…ために。(続く)

第325話までお読みいただき、ありがとうございます。

ルイはマ・リエのために命をかけて力を得たのですね。

また次のお話もお読みいただけたら嬉しいです。


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