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第324話。少女マ・リエの両親の姿は光り輝き、彼女を守って結界を張る。石化からも解放され、傷も癒されて邪竜からの攻撃から束の間逃れたマ・リエの前に、一筋の光が現れて…。

第324話です。

 お父さんのヴァイオリンの音色が、私を守る壁のように、空中に浮いた私を中心にして広がってゆく。

 お母さんのフルートの音色が、邪気と虚無が消え去った私の周囲を満たす。

 その曲は、私が小さい頃によく聞いた、私の大好きな曲だった。

「ああ…」

 懐かしい曲の音色に包まれて、私はほう…と溜め息をついた。

 小さい頃、お父さんとお母さんの愛に包まれていたときのような気持ちに、安堵するとともに胸が締め付けられるようだった。

『なんと美しい…音楽なのだ…』

 私の中で聖銀竜ナギが、ふう…と私と同じように息を吐きながらそうつぶやく。

 さっきまで泣いていたその声はまだ少しかすれていたけれど、今はずっと落ち着いていた。

 きっと私の体が石化から解き放たれ、傷も癒されたので安心したのだろう。ナギにはつらい思いをさせてしまって、申し訳ない。

 心優しいナギにとって、己自身が傷つくよりも、私が傷つくほうが何倍もつらいことだろうに。

 ごめんなさい、ナギ。許してね。

 あなたを守るには、今の私にはああするしか方法がなかったの。

 両親が張ってくれた結界の壁を攻撃し続けている邪竜から、目を離さないようにしながらそんなことを思っていると、感動したようなナギの声がした。

『これがマ・リエの両親なのだな。私はタマゴから出る前に両親を亡くしているから、両親を知らないのだ…』

「でも、ナギにはナユがいたじゃない」

『もちろんそうだ。姉上は時に厳しい方でもあったが、いつも優しく私を慈しんで育ててくれた。それは感謝している。だが…』

「そうね。親に対する気持ちとは、また違うものね」

 私は懐かしそうに鼻を鳴らすナギに、そっと囁いた。

「私のお父さんとお母さんも、きっとナギのことを息子のように思っているわよ。だってナユ姉さんは、私のことを妹と言ってくれたもの。同じように、私の両親にとってもナギは息子なのよ」

『…そうだろうか』

 どこか遠いところを見つめているような声で、ナギは答えた。

 私は一人娘だったけれど、男の子がいたら良かったね、と両親が私に知られないように言い合っていたのを、私は知っている。

 きっと、こんな優しい息子がいたら、とても喜んだに違いないわ。

 その時、目の端に光の筋が走るのが見えた。

 その光はまるで流星のようだった。

 いいえ、流星なわけはないわ。

 だってその光は地平線と平行に走っていて、しかもまっすぐこちらに向かって来るのだもの。

 あれは…あれは何?

 見る間に大きくなったその光は、私たちの元に到達すると、両親の結界を叩き続けていた邪竜の右翼を背後から貫き、そのまま右肩をえぐった。

「ギャアアアア…!」

「…え…?」(続く)

第324話までお読みいただき、ありがとうございます。

突然現れた光はなんなのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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