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第314話。人々は巨大な黒い竜と小さな白い光の少女の戦いから目を離せずにいた。少女マ・リエの疲労はたまってゆく。それでも負けまいと笑ってみせるマ・リエに、邪竜は…。

第314話です。

「ああっ…!」

「だ、駄目だ…!」

「ほころびの瞳が開いている限り、あの黒い竜は不死身なんだ…」

「聖銀様…ああ、聖銀様…」

 人々は失望の声を上げながらも、巨大な黒い竜と小さな白い光の少女の戦いから目を離せずにいた。


     ◆  ◆  ◆


 ああ…つかれたわ…戦いが始まってから、一体どれくらいたっただろう。

 邪竜と…皇帝と話をしたから、その間少しだけ休めたし、神気もその分回復したけれど、そのあとは動きっぱなし、歌いっぱなしで…いえ、もう歌とは言えないわね。

 声を出すのが精一杯。まるで昔やった、発声練習みたい。

 それでも邪気を祓うことができているから、なんとかなっていて本当に助かる。ちゃんとした歌でなければ祓えなかったら、私は今頃どうなっていたことだろう。

 それでも細かい傷は増える一方だし、治るのもどんどん遅くなっていく。

 ああ、ナギを守るんだって決めたのに。

 とても辛い。

 このままでは…私はあと、どのくらい頑張れるだろう。

 必死になって動き回るうちにも、皇帝の…邪竜の攻撃は次々とやってくるのに。

『ククク…どうだ、小娘よ? だいぶ傷が増えたようじゃないか? 疲れてきているのだろう、もう楽になったらどうだ?』

 私の心の中を読んだかのように、邪竜が高らかに笑う。

 私はそれに負けないように、笑ってみせた。

「こんなの、たいしたこと…ない、わよ。あなたは、知らない…みたい、ね。女は、男よりも痛みに…強い、って」

『なんだと?』

「だって女は子どもを産むんですもの。知ってる? その時の痛みは、男の人が味わったら…死んでしまうくらいなんですって。それを耐えて、子どもを産むのよ」

 すると、ふと邪竜の動きが止まった。

『子どもを…産む…?』

「?」

 どうしたのかしら。

 不思議に思ったけれど、おかげで一息つけたわ。

 私は悲鳴を上げる肺をなだめて、大きく深呼吸した。

 邪竜はギギギ…と軋むような音をたてて、ゆっくりと首を振っている。

 しかしその時間は長くは続かなかった。

 邪竜は真っ赤な口を大きく開けて、私に向かって叫んだ。

『ええい、強がりもいい加減にしろ! この、小娘が! 貴様など、ズタズタにしてくれるわ!』

 そして私が驚いたほど、今までとは比べ物にならないくらいの激しい攻撃が襲ってきた。(続く)

第314話までお読みいただき、ありがとうございます。

激しい攻撃にさらされるマ・リエは…。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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