第300話。いかに神竜とはいえ、なぜヴァレリアには邪竜や闇竜のことまでわかるのか、その疑問に答えるヴァレリア。その素晴らしいギフトとは。そして邪竜の恐ろしい狙いとは。
第300話です。
そこまで私が考えたとき、私の中でナギがはっきりと、それはない、と答えた。
そうよね、それにしては、都合がよすぎるもの。
すると、ヴァレリア様が私の疑問に応えてくれた。
『それが、わらわの持つギフトなのじゃ。わらわが金竜ヴァレリーと融合した時に、神々から直々にたまわった能力なのじゃ』
神々から、直々に?
そんなことが、あるだなんて。
それにしても、ギフトと言われたけれど、それは人間だけが使える能力なのかと思っていたわ。
ヴァレリア様は言葉を続けた。
『全竜把握。それが…わらわの力。わらわのギフト。竜であれば、神竜・真竜はもちろんのこと、亜竜やタマゴに至るまで全ての名前、大体の能力、どこにいるかの位置…その他もろもろのことが全てわかる』
えっ!
全竜把握?
それはすごすぎる能力なのだけど。
『あれは炎竜を乗っ取り、その一部となった。それゆえ、その能力もある程度はわかる。念話で話すこともできるのじゃ』
「す…すごい。素晴らしい能力ですね」
でも、それなら。
「それなら、神竜の力をもって、あれに命令することばできないのですか? 炎竜は真竜。神竜の命令を聞くはずですよね?」
するとヴァレリア様の声が沈んだ。
『うむ、実はやってみたのだが…できなんだ』
「できなかった? それはなぜですか?」
『命令は神気の力を使うものだが、あれの持つ濃い邪気によって、中和されてしまうようなのだ。わらわの能力が全竜掌握であれば、全ての竜を従え操ることもできたであろうが…残念だ』
「そんなこと」
全ての竜を従えるだなんて、できるはずもない。
いくらギフトを持つ神金竜といえど、それはとても不可能に思えた。
それはすでに、神々の領域ではないかと。
もしもできたとしても、ヴァレリア様の負担が大きすぎて無理だろう。
全ての竜とつながることを考えただけでも、頭がおかしくなりそうなのに。
神々には、きっとそれがわかっていたのだろう。
でも全竜把握ができるヴァレリア様は、本当にすごいわ。
『マ・リエ、そろそろリュシエンヌが限界のようじゃ。結界を解除する。よいかマ・リエ、覚悟せよ。結界が消えると同時に、あれはそなたを壊そうとしてくるだろう。そなたの内に在るナギを出すために』
私を、こわす?
それは体を? それとも心を?
私には、そのどちらもではないかと思えた。
背筋をぞっと、冷たいものが駆け抜ける。(続く)
とうとう300話まできました。ここまで読んでくださいまして、ありがとうございます。
邪竜の恐ろしい狙いとは。
また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




