第252話。神金竜ヴァレリアのいると思われる丘までたどりついたマ・リエたち。そこの最上指揮官と思われるイーソンに、ナギの魔力を込めたマ・リエの『命令』をしてたどりついた入り口とは…。
第252話です。
イーソンさんは、確かにガルスさんより派手な鎧を着て、持っている槍も立派なものだった。
彼がこの丘の上の最上指揮官とみていいだろう。
「ご命令ですか」
トン、と槍を地面に突いて姿勢を正すイーソンさんに、私はまた声に力を込めた。
『はい。神金竜のところまで、私たちを案内してください』
「かしこまりました」
イーソンさんは歩き出したので、私は仕方なく、もう一度ガルスさんと同じお願いをすることになった。
走って着いたのは、周囲に何もないように見える丘の中腹だった。
「ここが?」
何にも見えない。ただの、丘の中腹だ。
けれどよおく気を凝らして見ると、周囲にはあちらこちらに魔石が埋め込まれ、結界が張られているのがわかった。
まるで…スパイ映画やSF映画に出てくる、赤外線の探知装置のように、魔力の線が張り巡らされているのだ。
「なるほど…これのせいで、ルシアンの先祖たちはヴァレリア様の居場所の入り口がわからなくなっていたのね」
結界と言えるほど緻密なものではないけれど、帝都の外から探知しようとすれば、搔き乱され入り口は見えなくなっていただろう。
私の中のナギが囁いた。
『これは、只人の魔力だ。これを張ったのは只人の魔法師だな。竜や混じり者の魔法師なら、もっと緻密な魔法陣を張るだろう』
そうなの?
確かに雑と言えば雑だけれど、探知されないようにという役割だけならば、これで十分ではないかしら。
私たちはイーソンさんに導かれ、結界の中へと足を踏み入れた。
するとどうだろう。
丘の中腹の光景が見る間に姿を変え、木枠で組まれた入り口が現れたではないか。
「まあ…!」
私は驚いて声を上げたが、ナギは平然としていた。
ここに入り口があることが、彼には見えていたのかもしれない。
巧妙に隠されていた入り口の中に、イーソンさんが私たちを導き入れてくれた。ルイはヒト型になってついてくる。
「こちらです」
イーソンさんが胸にかけたペンダントをドアの小さな紋様にかざし、ドアを押すと、音もなくドアは開いて奥のほのかな明かりが見えた。
この中に…ヴァレリア様がいるのね。
私は胸が高鳴るのを押さえ、ドアの中に足を踏み入れた。
中はひらけていて明かりもついており、所々に警備兵もいたが、私の歌が届いていたらしく、私の命令に従ってくれた。
良かった、結界の中だから心配したけれど、歌は大丈夫だったのね。(続く)
第252話までお読みいただき、ありがとうございます。
入り口の中はどうなっているのでしょう。
また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




