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第248話。ユニコーンのルイがほかの馬に命ずると…?また同じ頃、元アトラス帝国大将軍ヴィレドが、塔の上に上がるべく少数精鋭で塔の中に入る。すると…。

第248話です。

「さあルイ、ここは彼らに任せて、私たちは行きましょう」

「………」

 そう話しかけると、まだ馬のふりをしているルイは口をもごもごさせて幾度も首を振ってから、小走りに走り出した。

 今いるのは城の南側。ヴァレリア様のいる丘は街の北側にあるから、まずは西側へ向けて移動する。

 ヴィレドさんがつけてくれた部下のボルドーさんと、風竜の長ミンティ・ラナクリフ様と、黒鋼竜ルシアンを乗せた馬もそれに続く。普通の馬たちは、上位種であるユニコーンに従うのが自然なのだ。

 城の西端まで到着すると、ルイはそのままボルドーさんの馬に先頭を譲った。

 ボルドーさんは北へ向けて斜めに走り出す。人々がごった返している中央付近は小走りに、やがて人々がまばらになり、ほとんどいなくなると、ルイが他の三頭の馬に命じた。

「…走れ!」

 ビクッ、と頭を上げて、ボルドーさんとラナクリフ様とルシアンの乗った馬たちは速度を上げた。二番目を走るルイと、最後方にいるラナクリフ様が風魔法を使ってそれを補助する。

「マ・リエ、角の布を解いてくれ。もっと風魔法を使うから」

「わかったわ」

 ルイの角に巻き付けられていた布が、ほどかれて後方へとなびいていく。飾りつけられていた花が風に散った。

 私のローブやラナクリフ様の衣装につけられていたリボンや花々が、次々に風にまき散らされてあっという間に後方に流れていった。


   ◆ ◆ ◆


 マ・リエたちを見送ったあと、ヴィレドは彼のもとに集まってきた、一般人に見せかけた兵士たちをぐるりと見回した。

 その数、二百人近くはいるだろうか。

 マ・リエの歌の効果も出ている。これだけいれば、とりあえず城とその中央にある塔を攻略することはできるだろう。

 しかし何より、塔の中の壁を走るらせん階段は狭い。大勢で上がっても、後ろが詰まるだけでいいことはないと思われた。

 ここは少数精鋭で攻めて、あとの者たちは城の攻略や、城と塔の周りを固めさせるのがよさそうだ。

 ヴィレドは十人ほどの精鋭と数人の魔法師のほかにはそう指示をして、塔の入り口に振り返った。

「さあ、行くぞ!」

「はい!」

「はい!」

 背後で精鋭たちの頼もしい声が、次々に上がる。

 ヴィレドはその声に押されるように、塔の入り口を開いて中へ押し入った。

 入り口にいるはずの兵士たちは誰ひとりおらず、中はひっそりとしていた。

 マ・リエの歌が効いているのだろう。

「よし」

 ヴィレドはその効果に思わず笑みを浮かべたが、この上にはマ・リエの歌が届かなかった者たちもいるはずだ。

 覚悟して進まねばならない。(続く)

第248話までお読みいただき、ありがとうございます。

塔の中へはどう入るのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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