表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
244/355

第244話。偽造した通行証で、マ・リエたちはアトラス帝国に入れるのか?そして進んだ先で聖銀竜ナギが声を上げる。彼が呟いた、「まずい」という訳とは…。

第244話です。

 ヴィレドさんが差し出した、お金で買ってあった通行証と私たちを交互に見やっていた兵士の一人が、やがて、よし!と声を上げる。

「祭りを盛り上げてくれよ、可愛い歌姫さんたち!」

 笑顔でそう言われて、私はにっこりとできるだけ華やかな笑顔を返した。心なしか頬を染めた兵士や門番さんたちが、私たちを通してくれる。

「おっ、可愛いな!さあ、次だ次!」

 良かった、無事に何事もなく通れたわ。

 帝都の中は華やかに飾り立てられていて、道ゆく人々も楽しそうでそれぞれ花をつけたり、きれいな服を着たりしていた。

 たくさんの屋台が出ていて、客寄せの声も盛大にあちこちから聞こえてくる。

 あちらこちらで芸人たちが芸を披露したり、歌を歌ったりしていて、笑い声や手拍子が上がっていた。

 こんな時でなければ、きっととても楽しめたでしょうね。

 そう残念に思いながら、帝都の中に入ってしばらく進むと、私の中でナギが声を上げた。

『あっ…!』

 どうしたの、ナギ?

『これは…まずいな…』

 まずい?何が?

 私の中に、ナギが感じているどす黒い霧のようなイメージが広がった。

 これは…邪気じゃないの?

 それは、帝都の中央にある城から広がってくるように感じられた。

 アトラス帝国の城は、塔を中心としてその周囲に作られている。その塔の上部は真っ黒になって、何も見えないくらいだ。

 この…イメージは。

 ナギが唸る。

『我が考えていたより…はるかに状況が悪い。あの塔の中にあるほころびの封印は、もう今日一日すらももたないだろう。よくて…今日の夕暮れまでだ。昼を過ぎれば、いつほころびの瞳が開いてもおかしくないぞ』

「なんですって!」

 私が大声を上げたので、全員が私に振り返った。

「どうなさいました、マ・リエ殿?」

 私の様子がおかしいと気づいたのだろう。ヴィレドさんが馬を寄せて聞いてきた。

 ルイとダグも私の異変に気づいたようだったが、馬のふりをしているため、声に出して聞くことができずにただ、心配そうに私を見つめていた。

「皆さん、お話があります。こちらに…ルイ、人のいないところまで走って」

「………」

 わかった、というように首を振って、ルイが走り出した。その後を皆がついてくる。

 祭りのため、人がいない場所に行くには、少し走らなければならなかった。少し小高い場所まで行くと、ルイは足を止めた。

 ここなら、人気はない。話しても大丈夫だろう。(続く)

第244話までお読みいただき、ありがとうございます。

ナギが語った内容を聞いた皆は…。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ