第227話。ドラゴン会議の終盤、アトラス帝国へ乗り込むこととなったマ・リエに、どうしてもとユニコーンのルイが言い出したこととは。そしてそれを可能にする方法とは。
第227話です。
ヴィレドさんも頷く。
「そうなのですね。わかりました」
「それでは、あとは旅芸人として同行する者たちを募って」
「オレも…!オレも連れて行ってください…!」
おばば様の言葉を遮って、ルイが叫んだ。
皆は驚いて彼を見つめる。
「マ・リエが危ないところへ行くのに、オレが同行しないなんて考えられない…!お願いですから、オレも同行させてください…!」
しかし、とヴィレドさんが難しい顔をする。
「あなたはユニコーンではありませんか。私も今は知っていますが、あなたがたに助けていただいたときはすっかりだまされていました。けれど本来、混じりものがアトラス帝国に入るのは難しい。その角を隠そうにも、祭りの中でまじないがいつ破れてしまうかわからないのですよ」
「オレもそれは思いました。ですから、ユニコーンの姿でマ・リエを乗せて入ればいいんじゃないかって」
おばば様がふむ、と顔を上げる。
「なるほどな。旅芸人の連れとしてなら、ユニコーンも派手な恰好をして、着飾ったマ・リエを乗せれば、入れるかもしれぬ」
「しかし…」
するとラナクリフ様が、人差し指を唇にあてて、ぱちんとウインクをした。
「じゃあ、角の上から作り物の角をかぶせて、ひもをつけて耳から引っ張るようにでもしておけば、旅芸人が馬にユニコーンの作り物をさせてると思わせられるんじゃない?」
「なるほど」
私は思わず両手を胸の前で組み、椅子から立ち上がった。
「わ…私からもお願いします。ルイと一緒に行かせてください」
そして皆さんにそう懇願していた。
だって本当は…怖い。
争いの種火を切る役目を担うのは、怖くてたまらない。
でもルイが一緒なら、できる気がするの。
彼の背に乗って、歌を歌うなら…。
おばば様が私を見て、優しく微笑んだ。
「そうですな。ではルイも同行するということにしましょう」
「「ありがとうございます…!」」
私たちは皆さんに向かって頭を下げた。
「それでは、詳しいことは同行する者たちと我等黒鋼竜たちで、これからまた詰めていきます。今回はこれにてドラゴン会議を終了といたしましょう」
おばば様が立ち上がり、そう宣言すると、光竜ハリー・スーリエ様も頷いて腰を上げた。
「わかりました。皆の者、それでよいな?何か不満や意見のある者はいないか?」
真竜たちは全員が首を横に振ったので、スーリエ様は右手を上げた。
「それでは、後のことは風竜の長ラナクリフ殿と、黒鋼竜の皆さまに預けよう。何か我等にできることがあれば、その都度お申しつけください、黒鋼のおばば様」
「ありがとうございます、そうさせてもらいます」
おばば様が一礼したので、全員が立ち上がって礼を返し、ドラゴン会議はこれにて終了となった。
同行するラナクリフ様には、作戦が決まり次第連絡するということになり、真竜の長たちは黒鋼竜の領地からそれぞれの領地へと戻っていった。(続く)
第227話までお読みいただき、ありがとうございます。
ルイも行けることになって良かったですね。
また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




