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第225話。ほころびが開けば、帝国もその周辺も邪気に沈む。心を決めるマ・リエだったが、決行の日時について元アトラス帝国大将軍ヴィレドが提案をする。その日時とは…。

第225話です。

「このままでは、ヴァレリア様と炎竜の子どもを救出できないばかりでなく…帝国の城の塔の上部のほころびが開いてしまうのですね?」

 確かめるように、ゆっくりと話す私に、ヴィレドさんが顔を上げる。

「そうだと思われます」

 ガイウスさんも顔を上げ、私をしっかと見つめた。

「オレ様が皇帝になれば、神金竜も炎竜も救い出せる。ほころびが開く前に、そなたの歌で閉じたままにもできることだろう」

 ほころびが開けば、帝国とその周辺が邪気に沈む。

 ナギが決めたのならば、私も決めなければならない。

 私は祈りの形にして口に当てていた両手をほどき、ぎゅっと拳を握って、二人を見下ろした。

「わかりました。私の力をでき得る限り、ヴィレドさんの計画にお力添えいたします」

 ぱっと二人の表情が明るくなり、そして同時にまた二人とも、私に向かって土下座をした。

「ありがとうござます…マ・リエ殿…!」

「すまない。そなたの本意ではなかろうが…あ、ありがとう」

 不器用な感じでガイウスさんが、私に向かってあらためて頭を下げた。

 私はあわてて両手を打ち振る。

 だって帝国の第三皇子様ですもの。今は出奔しているとはいえ、その地位はまだ健在だ。

「い、いえ、お二人とも頭を上げてください。事が事ですから、私も決意しなければならないと思ったのです」

 そう言うとヴィレドさんが土下座から頭を上げてくれて、それからガイウスさんもそれにならった。

「お二人とも、椅子に座ってください。私も座りますから」

「わかった」

「わかりました」

 二人は床から立ち上がって、ガイウスさんはルイたちが用意した椅子に座ったけれど、ヴィレドさんは椅子の横に立ったまま、真竜の長たちや私たちをぐるりと見回して言った。

「それでは、決行の日時なのですが」

 真竜の長たちや私の隣に座るおばば様が、ひとつ頷いて先を促す。

「二ヵ月先に、アトラス帝国建国の日のお祭りがあります」

「祭りの日に決行するというのか?人出が多くはないか?」

「それも利用いたしますが…何より、お祭りの日には皇帝陛下が塔の頂上に一人で昇って祈りを捧げます。何でも、神金竜のウロコを使ってほころびの結界を強化する…とか」

 皆は神金竜、と聞いて表情を引き締めた。

「実際におこなっているのかどうかは、皇帝陛下以外そこには立ち入れないのでわかりませんが」

「なるほどな」

 おばば様が、その先を促した。

「それで、お主は我等に何を望む?ただし、反乱には直接手を貸さぬ。また反乱が失敗した折には、マ・リエ殿とヴァレリア様を助けるため、王都に攻め込むことになるぞ」

 おばば様のその言葉に、ヴィレドは表情を引き締めた。(続く)

第225話までお読みいただき、ありがとうございます。

ヴィレドが望むこととは一体…。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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