第223話。なぜ今になって反乱を起こそうとするのか、その理由を聞いたアトラス帝国第三皇子ガイウスが怒る。元大将軍ヴィレドが語る、その理由とは。またガイウスが腹をたてたわけとは…。
第223話です。
ヴィレドさんの一途さが伝わってきて、私は瞳の奥がジンとするのを感じて、あわてて口を引き結んだ。
「つまり、仲間にも隷属紋が打たれているから、それを解除してからでなければ反乱は起こせなかった、ということかな?」
おばば様が静かに聞く。
「はい、そうです。その方法を模索して、十年が経ってしまいました。しかしマ・リエ殿に出会って、私は思ったのです。マ・リエ殿の御力を借りれば、反乱が起こせる。やっと、ゴーサインを出すことができる…と」
私は複雑な気持ちになってうつむいた。
私の力が、私とナギの力が、人の役に立つことはとても嬉しいし良いことだと思うの。でもそれが…反乱のためとなると…素直にこの力があって良かった、と思えない。
その時、突然大声を出したのはガイウスさんだった。
「そんな計画があったなんて、オレ様は聞いてないぞ!ヴィレド!」
「それは…お話してませんから」
「どうしてだ!何故教えてくれなかった!オレ様は第三皇子だぞ、何かできることがあったかもしれんだろう!」
「いえ、それは…」
「オレ様は単に、このままでは命が危ないから、竜の国へ行って身の安全を保障してもらおうと言われて、それに納得して国を出てきただけだ。何故、本当のことを話してくれなかった、ヴィレド!」
ヴィレドさんは困ったように、ガイウスさんの前に膝まづいた。
「あなたを危険にさらしたくなかったからです」
「しかし!」
「あなたは責任感の強い御方だ。話せば、何か動こうとなさったでしょう。私はそれが怖かった。皇帝陛下に何か感づかれてしまうのではないかと…ガイウス様が、どこかに閉じ込められたり、無茶な命令を受けて死地に向かわされてしまうのではないかと、おそろしかったのです」
「…ヴィレド…」
「現に兄君たちが行くべき水竜の砦に、あなたは赴かされた。マ・リエ殿の御力によって計画は水の泡となり、帝国へ帰ることとなって、私は大将軍の地位をはく奪され、あなたは軍の指揮官としての地位を奪われることとなった。あなたの命を狙っているのはギリアム様だけではない。第二皇子グレゴリオ様、第四皇子ディオン様の周囲の者とて、あなたが帝国を出るとなれば襲ってくることでしょう。だから私は秘密裏にあなたを帝国から出そうとしましたが、失敗してしまいました」
きっと、密偵とかついていたのでしょうね。
「申し訳ございません、ガイウス様」
椅子に座ったガイウスさんに向かって膝まづいているヴィレドさんは、そのままの姿勢で頭を垂れた。
ガイウスさんはあわてて体を起こす。
「ヴィレド、お前がオレ様を小さな頃から大切にしていてくれたのはわかっている。賊に襲われたのもお前のせいではない。頭を上げてくれ」
「しかし…」
「こうなってしまった以上、もう仕方がないだろう」
「ガイウス様…」
「それに、今はオレ様の話をしているときではない。マ・リエ」
いきなり彼の低く野太い声に名前を呼ばれて、私は飛び上がった。(続く)
第223話までお読みいただき、ありがとうございます。
確かに今は、ガイウスの話をしている場合ではないですね。
また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




