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第220話。元大将軍ヴィレドが言い出した内容とは、つまり…。その計画に第三皇子ガイウスはどう関係してくるのか。また、計画の障害となる第一皇子ギリアムを、どう対処するのか?

第220話です。

「それと我等は、なんの関係があるのかな?」

 それまで黙っていたおばば様が、静かな声で囁くように言った。

 ヴィレドさんは頷いて、おばば様に向き直る。

「新しい皇帝が、軍隊を解体しヴァレリア様と地下の炎竜の子の開放命令を出せば、被害も出ずに全てはまるくおさまるのではないか、ということです」

 するとおばば様は鼻先で笑った。

「つまりは、反乱を起こすということか。それを我等に手助けせよと?」

 ヴィレドさんは首を横に振って、おばば様の言葉を否定した。

「いいえ。私はもう十年も前から、反乱の準備をしてきました。私の掛け声ひとつで、もう動き出せるくらいにはなっています」

「ほう。そしてその新しい皇帝とは、そこにいる小僧のことかえ?」

「はっ?」

 考えてもいなかったのだろう、ガイウスさんがすっとんきょうな声を出す。

「混じりものを捕らえたり、竜を捕らえたりしているのはディガリアス皇帝です。新しい皇帝を…ガイウス様を皇帝に据えれば、ヴァレリア様も炎竜の子も救い出せて、人間主体の体制も変えられると思うのです」

 おばば様が、更に言い募る。

「しかし帝国には、その小僧のほかに皇子が三人いるのだろう。そやつらはその小僧が帝位につくのを、大人しく指をくわえて見ているのか?そんなはずはなかろう。またもめ事が起きるのではないか?」

 ヴィレドさんは頷いた。

「その点も、根回しはしております。第一皇子以外は、ガイウス様が帝位につくのに賛成しております」

「第一皇子はどうするのだ?」

「幸いなことに、第一皇子殿下には力がさしてありません。ですから事を起こす時に、身柄を押さえさせていただく所存でございます」

 ヴィレドさんが胸を張りそう宣言する。

 それは…いささか、乱暴ではないの?

 私は心配になり、顔を見合わせてざわついている真竜の長たちの中央にいるヴィレドさんに向かって問うてみた。

「第一皇子ギリアム様側に何の被害ももたらさずに、それは可能なのですか?」

「でき得る限り、ギリアム様を傷つけずに拘束すると、お約束いたしましょう」

 本当に?

 私は拳を握りしめた。

 真竜の長たちも不安げだ。

 彼らを束ねる光竜ハリー・スーリエ様が、長たちを代表するようにヴィレドさんに問いかけた。

「その方法はどのようにするのか、お伺いしたい」

「私の準備している反乱のための軍は、私の一言で動いてくれます。もちろん乱暴なやり方も行えますが、私がそうせよと命じれば、第一皇子ギリアム様を迅速に、かつ安全に拘束することが可能です」

「あなたがその場にいなくても、ですか?」

「はい。軍を束ねる各部隊長と私は、綿密に連絡を取りあっています。いざという時、私が指令をひとつ出せば、各自が動いてくれるようになっています。その中には、第一皇子を拘束するという目的をもって動く一団も含まれています」

 おばば様が目を細めた。(続く)

第220話までお読みいただき、ありがとうございます。

第一皇子を拘束することは、本当にできるのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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