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第218話。自分の身はどうなろうとも、第三皇子ガイウスだけは守って欲しいと頼む元大将軍ヴィレド。神金竜ヴァレリアを救うには、彼に考えがあるというが…?

第218話です。

「事が終わったら、私のこの身は切り刻もうとも何をしようともかまいません。でもガイウス様だけは助けて欲しいのです」

「ヴィレド、それは…!」

 振り返り、何かを言おうとするガイウスさんを制して、ヴィレドさんは淡々と語った。

「ヴァレリア様のいる場所は、おいそれと向かうことができる場所にありません。私に考えがあります。それを聞いていただければ、きっとヴァレリア様も、帝都の地下の炎竜も、共に救い出すことができると思います」

 きゅっ、と炎竜リヴェレッタ様の瞳孔が縦長にすぼまった。

 円陣の中央、ガイウスさんたちの傍に立って話を聞いていた私は、呆然とヴィレドさんを見下ろした。

 まさか、また戦争をするって話になるんじゃないわよね?

 炎竜の子だけを救い出すだけでも、とても私たちだけでは不可能だと思われるのに、戦争をせずにヴァレリア様共々救い出せる策略があるというの?

 それは一体、どんな…。

 真竜の長たちも、カルロスさんや他の皆も、私と同じ思いだったのだろう。ヴィレドさんに皆の視線が一斉に集まり、膝立ちになっていたヴィレドさんはその場に腰を落として座りこんだ。

 それを見て、ガイウスさんも同じようにする。

 さっきからの二人を見ていると、二人の関係がわかるような気がした。きっと、ヴィレドさんはガイウスさんの親のような存在なのだろう。

 地位としてはガイウスさんのほうが上なのに、彼はヴィレドさんに命令しながらも従っているように見える。

 そこには確かに愛情が感じられて、二人の関係がただの皇子と将軍よりも、ずっと家族に近いように感じられた。

 今のヴィレドさんも、まるで息子を守ろうとしているかのようじゃない?

「我等は只人に戦を仕掛ける気はない。それは聖銀様の意に反することでもある。只人と竜…もしくは混じりものたちとの戦にせずに、ヴァレリア様も炎竜の子も、両方救い出す作戦があると…おぬしはそう申すのか」

 光竜スーリエ様の言葉に、ヴィレドさんは真向からスーリエ様を見つめて力強く頷いてみせた。

「はい」

「その作戦とは、どのような…」

「それをお話する前に、ガイウス様の身の安全をお願いしたい。マ・リエ殿…いや聖銀様。それに皆さま。どうか、私の願いを聞き入れてください」

 私を見上げ、それからぐるりと円陣の皆を見回して、ヴィレドさんは再び頭を下げた。

 スーリエ様は立ち上がり、円陣の皆に向かって声をかけた。

「私は彼の者の言葉を聞き入れようと思う。皆はどうだろうか。もし否と思われる者がいるのであれば、今ここで手を挙げてくれ」

 しばらく待ってみたが、手を挙げる者は誰ひとりとしていなかった。

 リヴェレッタ様も、エラストリ様も。

 スーリエ様はガイウスさんたちを見下ろして、静かな声で話しかけた。(続く)

第218話までお読みいただき、ありがとうございます。

ヴィレドの言葉は聞き入れられるのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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