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第213話。報告の内容が炎竜リンガル・リヴェレッタの逆鱗に触れ、怒り狂う彼女をなだめたマ・リエは、彼女に触れた両手をやけどしてしまう。それを癒したのは…。

第213話です。

「なん…だと…!」

 黙り込んでしまったダグの代わりに、ルイがその隣から続ける。

「オレたちは炎竜をたくさん見たから、間違いない。真っ黒になっていたけれど、あれは確かに炎竜の子どもだった。同行した只人の元大将軍も、百年前に盗んだタマゴから産まれた竜の子だと言っていた」

「ウウウ~~~ッ…!」

 リヴェレッタ様の激しい叫び声と共に、部屋の温度が急激に上がったのがわかった。リヴェレッタ様の普段は丸い瞳孔が縦長になり、真っ赤な髪の毛にちらちらと炎が見え始めて、私は思わず立ち上がった。

「リヴェレッタ様!」

 私たちは椅子を丸く並べて、円陣にして互いが見えるように座っていた。私はリヴェレッタ様の前まで走り寄り、彼女の握り締められた両方の拳に触れた。

「熱…!」

 じゅ、と音がして、私の手のひらが一瞬にして熱に負けた。

 火傷した両手を思わず引っ込めると、リヴェレッタ様がはっとしたように私を見下ろし、まだ熱い体では私に触れられずに、その両手を宙に泳がせた。

「マ・リエ殿!」

 全員が私の名を呼んだが、水竜エラストリ様が立ち上がって私に駆け寄り、両手のひらを上に向けさせると、両手を握った。

 エラストリ様の手のひらから冷たい水があふれ出て、私の両手を玉のように包み込み、火傷をした手のひらが冷たく冷やされていく。

「あとは、私が」

 しばらくすると、魔法師のシダーが落ち着いて進み出てきたので、エラストリ様は水をおさめてくれた。不思議なことに濡れてさえいない。

 シダーが詠唱を唱え始めて、私の両手を癒してくれた。

「す…すま、ない、聖銀、さま」

 リヴェレッタ様がぼろぼろと涙をこぼしながら、ようやく炎をおさめて私にそっと手を差し出してきた。

 私はその手を、エラストリ様とシダーのおかげで癒えた両手で優しく握り、リヴェレッタ様を見上げて静かに語り掛けた。

「大丈夫です、リヴェレッタ様。お気になさらないで」

「っ、で、でも、わたしの、ほのおが」

「もう大丈夫です。ほら、ね?」

 両手のひらを彼女に差し出して見せると、リヴェレッタ様はそれを覗き込んでまた、ほろほろと涙をこぼした。(続く)

第213話までお読みいただき、ありがとうございます。

リヴェレッタの怒りももっともですね。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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