第210話。ドラゴン会議に参加するため、真竜の長たちがマ・リエのいる黒鋼竜の領地へと集まってくる。最初に到着した風竜ミンティ・ラナクリフの美しい姿に、マ・リエは…。
第210話です。
翌日の夕方、真竜の七頭の長たちが黒鋼竜の領地に集まってきた。
初めに到着したのは、風竜の長ミンティ・ラナクリフ様。
美しい翡翠でできたような、その竜の姿をまた見ることができて、迎えに出た私は胸躍らせた。
そのシャボン玉のように色々な光が混じりあっている四枚の羽根を、また見ることができるなんて…感動だわ。
「聖銀ちゃん!」
竜の姿のままでラナクリフ様は私に駆け寄ってきて、そっと私をその腕の中にくるむ。
「会いたかったよ。聖銀ちゃんに会いたくて、約束の時間よりずっと早く着いちゃった。えへ」
「私もまたミンティちゃんに会えて嬉しいわ。その姿も本当に綺麗。この前は朝日だったけれど、今日は夕日に照らされて、きらきらして素敵ね」
「………。えへ…。そう…かな」
「そうよ。私、大好き」
「…うん。ありがとう。聖銀ちゃんになら、この姿を見せてもいいかなって思って」
「そうなの?私は皆に見てもらいたいのに。ねえタニア」
「はい。素晴らしく、お美しいです」
私の背後に控えてくれていたタニアが、真面目な顔でそうはっきりと言い切ったので、ラナクリフ様は照れたように竜の顔で笑った。
「ありがとう」
それから竜の体が光って、みるみるうちにそのシルエットは小さくなり、光がおさまると人型のラナクリフ様がそこに立っていた。
「でも、こっちの姿のほうが聖銀ちゃんをハグしやすいよ!」
そう言って飛びついてきたラナクリフ様に、力いっぱい抱き締められて、私は目を白黒させた。人型といえど、力は竜のものなのだ。
「くく、苦しい!苦しいですミンティちゃん!」
「あっ、ごめんね聖銀ちゃん、嬉しくてつい」
「姫様、大丈夫ですか?」
タニアがあわてて、私とラナクリフ様をひきはがしてくれた。
ラナクリフ様の深い翡翠色の瞳が、私を優しく映している。
「それじゃ、またあとでゆっくりお話しようね。聖銀ちゃん」
「ユニコーンのみんなやタニアも一緒でいいですか?」
「もちろんだよ!それじゃあね!」
そう笑いながら、手を振って館の中に入っていったラナクリフ様のあとを追って、私とタニアも中に入った。
「マ・リエ!タニア!」
廊下の向こうから、サラが私たちに呼びかける。
「サラ」
「もうしばらくしたら、雷竜様と光竜様がお着きになるんですって。それまでこっちの部屋で待っていましょう」
「ありがとう」
私はそう手を振って、タニアと一緒にサラに向かって歩き出した。(続く)
第210話までお読みいただき、ありがとうございます。
ミンティちゃんは本当に美しいですね。
また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




