表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/356

第203話。タニアに邪気竜エレサーレと彼が抱え込んでいた魂、そしてエレサーレによって邪気にまみれていた国を浄化したことを、サラ、ルイ、ダグにバラされそうになったマ・リエは…。

第203話です。

「私も姫様のことについて、皆さんにお話したいことがあるんですけど…」

 ぎくり。

 こわごわとタニアを見ると、彼女は獣のような瞳をキラリと輝かせて、私を映した。

 えっ、エレサーレのところに行った話をするの?

 しちゃうの?

 私、怒られちゃうんじゃないの?

 もう過ぎたことだから、このまま言わなくてもいいんじゃない、タニア?

 けれどタニアの瞳は、絶対に皆に言いますからね、と言っていて、私はあきらめてうなだれるしかなかった。

 そんな私の心の葛藤などお構いなく、お茶を飲んで一息ついたダグが、再び口を開いた。

「ところで、オレたちが留守にしている間、マ・リエはここでおとなしくしていたんだろうな?」

 ぎくり。

「え…ええと…」

 ルイが翠色の瞳をカッと見開いて、私を見る。

「まさか、何かしたんじゃないよな?」

 サラはにっこり笑ったが、目が笑っていなかった。

「ええ、私たちがいない間に何かするなんてないわよね?」

「えっと…その…」

 私が言い淀んでいると、横に座ったタニアが声を張り上げた。

「そのことで皆に話があるの!」

 私はあわてて彼女を止めようとした。

「たっタニア、あれはね…仕方がないことで…」

「あれってなに?」

「マ・リエ!」

「何かしたんだな?」

 あ、あわわわわわわわ。

「いっいえ何かをしたってことじゃなくてね、あれはほんとに声がしたから気になって行っただけであって、あんなことになるとは思っていなくって、でもたいしたことはしていなくって、それで」

「あんなことって?」

 サラが声を上げる。それにかぶせるように、タニアが拳を握った。

「姫様、たいしたことではないですって?姫様は戻って来られてから、二日間目を覚まされなかったんですよ?それでたいしたことはないなどと、よく申されます!」

「えっ二日間も?それどういうことなの、タニア?」

「説明してくれ、マ・リエ!」

 目の色を変えたサラとルイに迫られ、その背後からはダグの無言の圧力にも押されて、ソファの背もたれに押しつけられた私は、自分を守るように柔らかなクッションを盾のように目の前に掲げ、その端っこから三人を見た。

「あ、あのね。ちゃんと説明するから…その…椅子に戻って、ね?」

 ルイとサラの剣幕に、タニアも間に入ってくれた。

「そうね、このままでは姫様がお話できないわ。私からも説明するから」

 すると二人はダグが無言で座るソファに戻ってくれて、私はおずおずとクッションから顔を出した。(続く)

第203話までお読みいただき、ありがとうございます。

鞠絵はルイたちにきちんと説明できるのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ