第200話。聖銀竜の子どもたちを連れて、見事な夕日を見に外に出るマ・リエ。それぞれ親に似たウロコと瞳をした聖銀竜の子たち。またその翌日には、帝都に行っていた仲間たちが帰ってきて…。
第200話です。
マ・リンが産まれて一週間ほどして、体がしっかりしてきたので、私は乳母車に四頭の聖銀竜の子を乗せて、タニアと共に館の外に出た。
四頭がちょうど収まる乳母車の中はふかふかの布団で埋められていて、子竜たちは気持ちよさそうにもぞもぞしながら、兄弟と触れ合っていた。
外に出たのは、部屋の窓から見えた夕日がとても美しかったから。
子竜たちにも直接見せてあげたくて、おばば様に相談したら、この乳母車があるとのことで、乗せてみたらちょうど収まったので連れてきたのだ。
「見て、みんな。とっても綺麗な夕日よ」
「ぷあー」
「ぷ」
「ぴい」
「ぴやー」
私の言葉に反応した子竜たちが顔を上げる。
マ・コトは母親のナユによく似た、白銀色のウロコでバラ色の瞳。
マ・モルは叔父のナギによく似た、聖銀色のウロコでローズクオーツ色の瞳。
マ・ナミはナギが言うにはナギとナユの母親に似た、白っぽい銀色のウロコでピンク色の瞳。
マ・リンはきっと父親に似た、磨き上げた鉄っぽい銀色のウロコで真紅の瞳。
そのそれぞれの瞳に映る、見事な夕日。
さわやかな風が吹いて、私たちを撫でていく。
濃い影を落とす大木の緑も、夕日色に染まっている。
ああ、なんて穏やかな一日なのだろう。
このままこの子たちをここで育てて、暮らしていきたい。
けれど私は知らなかったのだ。
この日を境に激動の日々がやってきて、再び平穏な日々が戻るのを祈り待つようになることを。
夕日を見た翌日のこと。
私の部屋に、帝都から戻ってきたルイとダグとサラがやってきた。
「ただいま、マ・リエ!」
部屋に入ってくるなり私に抱き着いてきたサラを抱きとめて、私は笑った。
「お帰りなさい、サラ、ルイ、それにダグ!無事で良かったわ」
ああ、本当に嬉しい。
彼らが無事であったことが。
カルロスさんに頼まれて、私がお願いしたこととはいえ、行かせてしまったことに少しだけ後悔していたのだ。(続く)
第200話までお読みいただき、ありがとうございます。
ちょうど200話となりました。
お話もがんばっていきますので、また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




