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第191話。元アトラス帝国大将軍ヴィレドの案内で、あるものを見るための場所へとたどりついたダグ、ルイ、ラバン。まずその場所からあるものを見たダグは…。

第191話です。

 扉には当然厳重に鍵がかけられていたが、ヴィレドが持っていたマスターキーを使えば、すんなりと開いてくれた。この鍵は皇帝のほかには数人しか持っていないもので、帝都を出るときにも何かあったときのためにヴィレドが持ちだしていたものだった。

 いくつかの分岐をヴィレドの案内で通り過ぎ、彼らはやがて上り坂になっていることに気づいた。

 やがて通路の先に、ぽっかりと穴が開いていることにも。

「あの先には…何があるんだ?」

 まさか落とし穴とか…と、ルイが少しおびえたような声を出す。ヴィレドはルイを振り返って、いいや、と首を横に振ってみせた。

「確かにあの先は広い空間になっていて、通路はおしまいだが、落ちないように手すりがあるのだよ。竜を見られる場所が作られているのだ」

「竜を見る、場所だって…?」

 唸るようにダグが呟いた。だんだんと近づいてくるその通路の終わりの先からは、少しだけ明かりが漏れてきていた。

「さあ、この先だ」

 ヴィレドが先導して、通路の終わりをくぐる。その先にあったのは、広い空間の壁にバルコニーのように突き出した岩盤だった。バルコニーには決して下に落ちないように、手すりが幾重にも張り巡らされている。

「お…落ちそうには、ないな」

 おっかなびっくり、ヴィレドの後ろからルイが顔を覗かせた。

 ヴィレドと並んで先にバルコニーに出たダグが、固まっている。

 それを不審に思いながら、ルイはヴィレドとダグの間から、バルコニーの先の空間を覗き込んだ。

 その空間は、上から下まで岩盤を荒く削って出来ている洞窟のようだった。

 バルコニーから見上げれば、洞窟の天井がうっすらと見えた。

 あそこの上が、城の建物の地下部分なのだろう。

 洞窟の壁にはあちこちに魔導ランタンが灯っていて、内部をひっそりと照らしている。

 そのため、洞窟がどのようになっているかが見えるのだ。

 ルイはひとしきり壁を見回してから、ダグに話しかけた。

「そこまですごい広い空間ってわけじゃないんだな…ダグ、どうしたんだ?」

「……」

 ダグは下を見たまま答えない。

 不思議そうなルイに、ヴィレドが声をかけた。

「ルイ、きみも見てみてくれ。この、下だ」

「下?」

「ほらダグ、きみも…ちゃんと手すりにつかまって」

「?ダグ?」

 ダグは震える手を手すりに伸ばし、ゆっくりと近づいて、手すりの上から改めて下を覗き込んだ。

 手と同じように、その声も震えていた。

「アレ…は、あれは何…なんだ…?」(続く)

第191話までお読みいただき、ありがとうございます。

ダグが見たものとは一体…。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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